N社は資格取得費用の請求をやめろ!

N社は資格取得費用の請求をやめろ!

 

8月、Fさんから労働相談があった。

Fさんは3年前からN社(前橋市)で働きはじめた。いい会社だと思って入った。入社して、業務に必要なので、大型自動車やフォークリフトなどの資格・免許を取るように指示をされ、取得した。費用は、当然会社が支払った。この時に、入社して5年以内に退職した場合は、資格取得費用を返還するという書類に署名をさせられたという。

Fさんは事情があって、3年たったこの8月をもって、退職することを決めた。するとN社は、資格取得費用約34万円を支払えと要求した。そして最後の8月の給与の支給は、通常の銀行振込ではなく現金渡しとすること、そしてその場で不足分の資格取得費用を支払え、つまり8月分の給与の支払いはゼロで、それでも足りない分を支払えと要求した。

困り果てたFさんから群馬合同労組に相談がよせられた。

N社の対応は労働基準法第16条=「賠償予定の禁止」、すなわち「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。」に明白に違反している。労働基準法では、使用者と労働者が労働契約を結ぶ際、違約金を定め、または損害賠償額を規定する契約を結ぶことは、労働者の退職の自由を奪うものであるとして明白に禁止しているのである。

Fさんは、このことを自ら調べて知り、会社に説明したものの、全く聞く耳をもたないという。Fさんは群馬合同労組に加入して、闘うことを決めた。

 

群馬合同労組は、8月1日付で、N社に対して、「要求書」を簡易書留で送付、Fさんが群馬合同労組に加入した通告を行うと同時に①資格取得費用の返還請求を撤回すること②理由のない出勤停止をさせないこと③過去の未払い残業代について支払うこと、の3点について、団体交渉を開催して回答することを要求した。

すると、8月6日付で、N社の代理人を名乗る弁護士から以下の内容の「催告書」が内容証明郵便でFさんに届いた。

 

催告書

…株式会社Nは、貴殿の免許取得費用として、合計34万6500円を立て替えています。貴殿の退職希望日は免許取得日より5年を経過していませんので、免除はありません。そこで、立替金の返還請求として、合計34万6500円の支払いを求めます。退職の日に持参のうえ支払ってください。万一支払いなき場合、法的手段を検討しますので、念のため申し添えます。

 

N社は、要求書を出されて、あわてて資格取得費用を、「立て替え」たのだ、貸したのだ、と事実をねじ曲げて、請求を貫こうとした。「法的手段を検討します」などと脅しも忘れずに。

また組合からの団体交渉についての申し入れに対して、明白に団体交渉は行わないと拒否をしてきた。

 

F組合員は群馬合同労組と連名で、8月9日に、以下の内容の通告書を送付した。

「Fの2016年8月分の給与の支払い方法について、通常の銀行振込ではなく、2016年8月26日に出社のうえ、現金払いにて支払うとのことでありますが、同意いたしかねますので、あらためてここにご通知申し上げます。通常通り、2016年8月26日に全額銀行振込にてお支払いいただきますようにお願いいたします。」

 

これで8月分の給与を通常通り銀行振込をしなければ、賃金未払いで明白な労働基準法違反である。

資格取得費用を「立て替え」「貸した」と言い張るのであれば、法的手段に訴えるのであれば、ちゃんと「貸した」という証拠を出してみよ、ということだ。そんなものがあるはずがない。

 

結局F組合員は無事に退職し、8月分給与は通常通り銀行振込で全額支払われた。その後、現在のところ、資格取得費用についての請求はない。

退職を決めてからの紛争であり、今回未払い残業代もたいしたことはないということで、組合としては現在様子を見ている。しかし、このような、違法を承知で、労働者の足下を見て、不当な請求をする会社・資本を許せない。たくさんの労働者が泣き寝入りを強いられているのだと思う。黙っていることはない。群馬合同労組とともに声をあげよう。

 

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労働相談「年間で残業と休日出勤が700時間」

先日ホームページを見たという労働者から匿名の相談メールをいただきました。「高崎にある工場で働いている。年間で残業と休日出勤が700時間くらいある。労働基準法違反ではないのでしょうか?」という相談でした。単純に計算すると月60時間弱でしょうか。これに対する回答は以下の通りです。

労働基準法は1日8時間かつ1週40時間を超えて労働者を働かせることを使用者に対し、刑罰をもって原則として禁止しています。これを法定労働時間といいます。法定時間を超えて働かせるには労働者代表との間で法が定める要件を全て満たした36協定が締結され、労基署長に届出られねばなりません。
この大原則が適用されないのは、みなし時間制が適法に適用されている労働者と法が認める適用除外者(主として、管理監督者)だけです。
そして、労働者が会社に対して、労働義務を負うのは、所定労働日における所定労働時間だけです。即ち、通常は就業規則に定められた労働日の労働時間だけ働けばよいのです。法定労働時間を超える残業命令や法定休日労働命令には36協定と残業や休日出勤の義務を定めた就業規則が最低限必要です。これを欠く残業命令等は無効であり、労働者に働く義務は全くありません。義務がないのですから、帰っても何ら非難されることはありません。まず、就業規則を確認しましょう。次いで、36協定を確認しましょう。いずれも使用者には周知義務が課されているので、これを見せない場合は、就業規則や36協定はないと思って構いません。
みなし時間制であるとか、管理監督者であるので適用除外と会社は言うかもしれませんが、それらの大半が違法な制度・運用です。

残業について。
労働者が労働義務を負っているのは所定労働時間だけです。所定労働時間を超える残業は、まず第一に、臨時的・一時的な業務の必要がある場合に限られます。恒常的な残業は認められません。何よりも人員を増やすよう会社に要求すべきです。
次に、法定労働時間を超える残業には、36協定と残業をさせることができると定めた就業規則が必要です。36協定とは、ただ単に残業を認めるという抽象的な協定ではありません。残業をさせる事由(臨時的・一時的な、残業が必要となる事情)、残業する業務の種類(部署)と人数、そして何よりも残業させうる最高時間を協定しなければなりません。この最高時間は、日、月、年の3種類を協定することになっており、月と年には上限時間が定められています。月45時間、年360時間です。この上限時間を上回る36協定は原則として認められません。協定という以上、労働者側の代表(過半数組合、それがなければ選挙等で選ばれた過半数代表者)がハンコをついて初めて成立します。たとえ36協定が締結されていても月45時間を超える部分は協定違反の残業であり、違法であって、協定の上限時間を超えて残業する義務はありません。

このようにこの会社は、法律的にはとんでもない違法状態です。しかしながら、違法だから従わない、というのは実際には一人では無理です。返り討ちにあいます。そこで労働組合、しかも原則的に闘う労働組合が必要になるわけです。私たちは群馬合同労働組合はいつでもともに闘う労働組合です。ぜひいっしょに闘いましょう。

残念ながら相談者は、いろいろ事情があって転職を考えざるをえないとのことでした。労働者は家族も抱えて、なかなか思い通りにいかないものです。しかし、この数年、アベノミクスの「成功」が宣伝されるのとうらはらに、中小の会社の現実は、賃金は上がらずに人手不足で過重労働が急速に労働者に襲いかかっています。闘わなければ殺されかねない。腹さえ決まれば、いつでも群馬合同労組はともに闘います。
泣き寝入りはしたくない、誰もがそういう気持ちをもっています。その気持ちを、闘いと団結に結実させる、力ある労働組合が必要とされています。「陰ながら活動応援しております」との相談者のメールに、力をもらい、群馬合同労組はさらに前進します。

文書

某社が新入社員に提出させた「誓約書」がひどい

某社が新入社員に提出させた「誓約書」がひどい。

そこには①として就業規則その他規程の遵守義務を履行することを確認した上で②採用条件に違反する行為があった場合は解雇されても異議を申し立てない③試用期間ののちに従業員と不適格と認められた場合は正式採用を取り消されても異議を申し立てない④「故意又は重大な過失により」与えた一切の損害については賠償の責を負う、などとある。

さらに同時に提出を指示された「身元保証書」がまたひどい。

「身元保証人として会社の就業規則及び諸規定を遵守して勤務することを保証する」「万一、本人がこれに違反し、あるいは故意又は重大な過失によって貴社に損害を与えた時は、本人はもとより、私共も連帯してその損害を賠償する責任を負担する」。

 

このような「誓約書」を提出したとしても、もし解雇(もちろん「正式採用取り消し」を含む)されたときに、解雇が不当であれば、異議を申し立てることは当然の権利であり、会社が「誓約書」を根拠にそれを禁止したりすることができるわけがない。「異議」の方法が、組合の加入と要求書であろうが、裁判であろうが、労働者・人間としての基本的な権利を、会社の一方的な(新入社員が提出を拒否することは不可能に近い)「誓約書」ひとつで剥奪できるわけがない。

また就業規則だって、会社が一方的に決めて、ほぼ勝手に変えることができる。ときには違法であったりもする。そんなものに、ただただ従えという方がおかしいのだ。

そうであれば、この「誓約書」の意味は何か?「おまえは会社の奴隷になったんだ」、何があっても会社にさからってはいけない、さからってクビになっても文句は言えないんだと、労働者を自己暗示にかけるということ。こんな職場の先にあるのは、うつ病、過労死、自殺…の地獄。黙っていてはいけない。新入社員、試用期間の身であっても、おかしいことはおかしいと声をあげるべきだ。群成舎の闘いを見てほしい。闘えば必ず勝てる。未来のためにこそ、闘う労働組合に加入して闘おう。

組合に入って有給休暇が取れることになった

ブログを見て、Kさんが労働相談の電話をくれた。同族経営の小さな工場で3年前から働いている。日給月給のような職場だが、有給休暇が取れない。子供が小さくて、子供のことや健康上の問題で休まざるを得ないことがあり、そうすると賃金が減って、生活がままならない。有給休暇のこと、一人でも入れる労働組合があると人から聞いて、電話してみた、とのこと。組合のこと、労働運動のことを話して、加入してもらい、以下の要求書を会社に提出。無事に、要求書のとおり、有給休暇を認めるとの回答を受けた。当たり前のことでも勇気を出して、労働組合に相談してみることだ。

要 求 書

群馬合同労働組合は、群馬県を中心とした、一人でも加盟できる地域合同一般労働組合です。この度、貴社従業員・Kが当労働組合に加盟したので通知します。あわせて、下記の通り、要求をしますので、団体交渉を開催のうえ、回答されるように求めます。なお、組合加入ならびに要求書提出に関わり、会社役員による、Kに対する嫌がらせや不利益取扱いは不当労働行為として禁止をされていますので、ご理解を願います。

労働基準法第39条第1項「使用者は、その雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。」及び第2項(条文省略)にしたがい、間もなく勤続3年となるKに対して、今年度(2015年10月から2016年9月の期間)分として12日、前年度(2014年10月から2015年9月の期間)分として11日、合計23日の有給休暇の取得を認めること。

以上