㈱フコクはパワハラをやめよ!
株式会社フコクは「ワイパーブレードラバーの生産で世界No.1」(ホームページ)をうたう工業用ゴム製品製造企業だ。埼玉県さいたま市に本社を置き、上尾工場(本店)、群馬工場、群馬第2工場、愛知工場などの生産拠点がある。群馬合同労組元組合員Bさんから千代田町にある群馬第2工場で働いてきた友人Aさんが不当に退職に追い込まれている、助けてほしいと相談が来た。
Aさんは1999年からフコクの群馬県内の工場で働いてきた。2005年まではパート・アルバイトとして、2007年までは1年契約社員として働き、2007年に推薦され正社員登用制度に合格して正社員となった。20歳そこそこから25年間働いてきたのだ。
しかし今年8月に人事部の面談に呼び出され、「ルールが守れない」「面倒見切れない」として上尾工場への異動を命令された。上尾までは通勤に片道2時間ほどかかる。通勤は無理だ。同意を固辞すると退職する以外ない状況に追いやられた。会社都合で一か月分の給料を払うという条件で退職の合意書を交わすことになった。それをBさんに話すと、Bさんがそれは許せないと群馬合同労組を紹介してくれた。個人加盟ユニオンなんて知らなかったとAさんはいう。
群馬合同労組は2024年9月2日付で要求書を送付して、A組合員への不当な配置転換の撤回・謝罪、人事部のパワハラの謝罪、群馬県内での就労の補償、解決までの賃金の補償を求めた。そして10月4日に第1回団体交渉が館林市で開催された。組合から当該はじめ5名が出席、会社からは人事部から3名、代理人として弁護士法人ほくと総合法律事務所の岩永弁護士、金子弁護士の合計5名が出席した。
会社は、本件異動命令は正社員就業規則に人事異動の規定があるので有効であること、Aは業務遂行に関するルールに違反する行動があり、注意されても改善せず改善する意志すらみられない、よって業務上の必要性も認められる、異動の撤回はしない、パワハラではないと回答した。
冗談ではない。群馬の居住地から上尾まで、会社は片道1時間で不利益は大きくないというが、朝8時の出勤時間までに上尾に出勤するには2時間近くかかるのだろう。転居も検討せざるをえない配転である。
A組合員は現地採用された現場労働者であり25年群馬で働いてきた。突然「ルールを守れない」「改善する意志がない」などと言って、群馬では受け入れ先がない、上尾工場か愛知工場に行くしかないなどというのは、退職に追い込むために発令された権利濫用の配転命令であり無効だ。事実、会社は群馬での配転先を検討した形跡もない。
「ルールを守れない」として、原料の重量の記入を測定前に記入したことが挙げられるが、それは指導して改善されなければ懲戒という方法がある。また防毒マスクのつけ方がルール違反というが、A組合員が指導されたようにつけていたと答えているにも関わらず、会社は聞く耳をもたない。さらに、昼休みが長い、ということが指摘された。朝礼で注意したはず、〇月〇日の駐車場の防犯ビデオの証拠写真を用意して、A組合員が規定を越えて自家用車で休憩を取っていたという。これだって指摘して是正されなければ懲戒というやり方がある。A組合員に限らず職場にルーズな状況があるからこういうことが起こったのであり、A組合員の配転は見せしめにされたに等しい。
A組合員は今回の配転命令と退職に追いやられそうになったことで、うつ状態になってしまった。団体交渉で、状況を聞かれて、「死にたくなる」と答えている。フコクで働き続けるのはメンタル的にきついので、退職前提の解決も申し入れた。しかし、その要求に対して、フコクはA組合員が就労不能状態とは認められない、現在は正当な理由のない欠勤状態、解決できない場合は解雇予告を行うと恫喝する始末である。
フコクは正社員に対して、雇用契約書を締結せず、労働条件明示義務も果たしていない。そもそも配置転換が有効であるという前に労働基準法を守れ。こういうやり方で、不当な配転、いじめやパワハラを受けた労働者がたくさんいるのではないか?フコクの労働者は群馬合同労組に加入してともに闘おう。すべての職場に闘う労働組合をつくりだそう。