日本を戦場にする日米合意を許さない
岸田首相は、2024年4月8日から14日まで訪米し、国賓として日米首脳会談や米議会演説を行った。
国賓として日本の首相が訪米するのは9年ぶり。ここで岸田首相は、日本の対中国戦争参戦を誓った。日本が再び侵略戦争に撃って出るということだ。これをバイデン大統領は、「日米同盟が発足して以来最も重要なアップグレード」と言った。日本の首相が国賓として訪米する時は、必ず米の戦争=世界支配戦略の重要な転換を日米同盟として推進することを合意してきた。2006年、小泉純一郎が米のイラク侵略を支持して自衛隊のイラク派遣と在日米軍基地再編に合意、2015年、安倍晋三が集団的自衛権の行使容認・安全保障法の整備を約束…などだ。
しかし今回の合意は、「防衛政策の転換」「防衛費倍増」「反撃能力」とマスコミが表現しているが、中国本土への先制攻撃能力を整備し、米軍と自衛隊の指揮統制の一体化に踏み込むというものだ。日本を最前線として、アメリカと一体で中国との戦争をやるという合意だ。「同じ未来へ 乾杯」などと晩さん会で音頭を取ったが、戦場になるのはアメリカではなく、日本だ。
そもそも「台湾有事」「中国による武力統一」が叫ばれているが、アメリカも日本も台湾を国家として承認していない。米中、日中間で、国交回復して50年余り。アメリカも日本も中国を代表する国家は中華人民共和国一つという立場である。であるならば、武力統一が許されないとしても、中国の国内問題である。それを抑止するとして、日米同盟を柱に、核兵器使用も不可避の対中国の全面戦争を行うのは、米日による新たな侵略戦争に他ならない。それはとんでもない虐殺、人類と地球に破滅をもたらすものであり、どんなことがあっても許してはならない。
(画像は2024年4月14日放送のサンデーモーニングから)
なぜアメリカはこのような破滅的な対中国戦争を行おうとしているのか。
アメリカは、第二次世界大戦後の唯一のスーパーパワーで、世界の覇者であった。しかし、アメリカの世界支配は、侵略戦争に支えられていた。諸民族民衆の民族解放の闘いは、アメリカと列強の支配を突き崩し続けてきた。中国も、日本と列強の侵略から、民族解放・中国革命に勝利して建設された国だ。しかし、「改革開放」路線のもとで、アメリカ的世界経済を補完する存在として経済大国化した。反人民的であり大民族主義の反動国家であるが、アメリカ支配の経済・経済圏に対抗する力と可能性を作り出した。
中国がGDPで日本を抜いて、米に次ぐ世界ナンバー2になったのが2010年だ。2008年のリーマンショックが世界経済を危機に突き落とし、それを救済したのが中国だった。2010年から2021までには、中国は約2.9倍、米国は約1.5倍(日本は0.85倍)の経済成長。簡単に言って中国はアメリカの2倍のスピードで成長した。2013年に習近平が「一帯一路」構想を打ち出し、それは陸路=鉄道でヨーロッパとつながることを軸に陸路と海路で世界を結びつける巨大経済圏構想だった。沿線国は、当初50か国あまりだったが、アジア、アフリカ、ヨーロッパのおよそ140か国に拡大し、沿線国だけで世界人口の6割、GDPは3割を占めることになった。途上国を先頭に、今後の国家の最大のパートナーをアメリカではなく中国にすると考える国が増え、もはやアメリカには放置できない構想となった。
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アメリカも日本もこのままでは世界に占める地位を脅かされる。軍事力においても、先端技術においても、中国に追い抜かれるのは不可避である。それを阻止する道は何か。それは、今のうちに習近平・中国を立ち直れないくらいに軍事的に打ちのめすことしかない。ウクライナも実はそこを見据えてアメリカは動いている。
日本の岸田首相と自民党・支配階級は、ただただアメリカの言いなりになっているというのではない。日本こそ、かつてのアジアの支配国からずり落ちて、没落の道へ真っ逆さまの情勢である。アメリカとの同盟をアップデートして運命共同体・軍事大国として、再び侵略戦争に突き進んでいるのだ。そのためには、かつての侵略の負の遺産を清算して、歴史を修正するしかない。私たちはその渦中にある。かつて凄惨な地上戦の戦場とされた沖縄を再び戦争の島にしてはならない。南西諸島を戦場にしてはならない。
ガザの虐殺をとめよう。ウクライナ戦争をとめよう。世界中の反戦の闘いと連帯して、日本から巨大な反戦闘争を作り出そう。労働者の国際連帯こそ希望だ。職場から地域から闘いをまき起こそう。4月20日、高崎デモへ!
2024年予測 世界GDP(国内総生産)ランキング(IMF)20
順位 | 国・地域名 | 2024年名目GDP(IMF予測) | GDP成長率 |
---|---|---|---|
1 | アメリカ | 27兆9665億5300万ドル | 3.8% |
2 | 中国 | 18兆5600億1300万ドル | 4.9% |
3 | ドイツ | 4兆7008億7500万ドル | 6.1% |
4 | 日本 | 4兆2861億8700万ドル | 1.3% |
5 | インド | 4兆1053億8100万ドル | 10.0% |
6 | イギリス | 3兆5877億5000万ドル | 7.7% |
7 | フランス | 3兆1834億8600万ドル | 4.4% |
8 | イタリア | 2兆2840億8400万ドル | 4.5% |
9 | ブラジル | 2兆2651億1700万ドル | 6.5% |
10 | カナダ | 2兆2385億6800万ドル | 5.7% |
11 | メキシコ | 1兆9941億4800万ドル | 10.1% |
12 | ロシア | 1兆9043億3600万ドル | 2.2% |
13 | 韓国 | 1兆7848億0500万ドル | 4.4% |
14 | オーストラリア | 1兆6856億6500万ドル | -0.1% |
15 | スペイン | 1兆6765億3900万ドル | 6.0% |
16 | インドネシア | 1兆5423億6600万ドル | 8.8% |
17 | トルコ | 1兆3406億8900万ドル | 16.1% |
18 | オランダ | 1兆1579億0600万ドル | 6.0% |
19 | サウジアラビア | 1兆1095億1000万ドル | 3.7% |
20 | スイス | 9779億4700万ドル | 8.0% |