退職させるための配転は無効!パワハラ許さない!フコク第2回団交報告
11月7日、館林市内で(株)フコクとの第2回団体交渉が行われた。当労働組合からは当該含めて5名が、会社側は人事部から3名と弁護士法人ほくと総合法律事務所の岩永弁護士、金子弁護士の合わせて5名が出席した。
今回の席上、会社は当初の回答に固執しぐずぐずと主張を述べるだけで、一向に交渉がまとまらなかった。ここで会社の提案を受け入れることは、当該にとっても、また労働組合にとっても何一つ問題の解決にならないと判断した。結局、合意せずに会社との闘いをより強化することを決定した。
ここからは、失当としか表現しえない会社の主張を見ていこう。
まず、会社は労働条件を明示していない。当該が正社員に登用された2007年当時、会社は必要事項を記載した書面を交付しなければならなかった。しかし会社は、登用した後に説明会を開いて口頭で話しただけで、明示義務を果たしていない。この点について会社は、明示した書面はすでに廃棄した、現在まで保存する義務はないと回答した。その一方で、給与の支払い記録ばかりか、法令で定められていない書類でさえ、20年以上前のものも保存しているのである。不要な書類は長期にわたって残しておきながら、必要なものに限って処分済みだというのだ。こうなると、最初から労働条件通知書など作成しなかったと白状しているに等しい。
次に、これまで異動した原因をすべて当該に帰責している。会社は、これまで複数の部署を異動した原因が、どれも当該の問題行動にあったと回答した。しかし実際は、異動が避けられなくなるまで状況を悪化させたのは会社である。なかでも、言葉遣いが乱暴な上司のもとにいるのが耐えられなくなって、当該が希望して異動したことがあったのだが、それを会社は、その上司でなく当該が問題だとしたのだ。さらに、異動の必要性を判断するとして、当事者の一方だけに、1年以上経過した後に聞き取り調査を行った。ほかにも、些細な揉め事で、当時は不問に付すとしたことを今さら蒸し返してきた。それだけでなく、配転が有効な業務命令であることを正当化するために、代理人弁護士は当該がいかにもダメな社員だと過去の行動をあげつらうのだ(これら代理人の腹立たしい言動により、当該は症状を悪化させた)。こうして、会社は必要な措置を取らずに、当該を追放して片付けようとしている。
続いて、当該を異動させるために、あえて必要な指導をせずに放置してきた経過がある。工場構内の通行方法、原料の測定・記録、設備の点検、休憩時間等、会社は異動が必要だとする理由を複数挙げてきた。しかし、そのどれも、会社は当該に必要な指導をしていない。それどころか、当該から十分に事情を聞かず状況を放置してきた。そして今になって、指導しても改善されないとして異動が必要だと主張する。こうした経過は、会社の目的は当該を異動させることであって、初めから指導する意思などなかったことを示している。
さらに、精神科医の診断書があっても休職させない。会社は、団体交渉での当該の様子からは休職が必要だと認められないという。閉口するのだが、会社側出席者に医師はいないのだから、当該の病状について正しく診断できるはずがない。加えて、産業医の診察を受けさせるという。これも、精神科専門医でないと誤診のおそれがあるから不適切である。こうして休職を認めることなく、診断書があってさえ無断欠勤であり、規則に反すると主張する。
そして、会社がここまでするのは、当該を退職に追い込むためにほかならない。当該は以前から、群馬県外への異動が決まったら、退職することになると会社に伝えていた。会社はこのことを悪用して、一方で義務を怠り、他方で当該が異動せざるを得ないように仕向けてきた。その最後の段階で、予想だにせず労働組合と相対することになり、これまでの不適法な行為が露見したのである。このような配転が人事権の濫用であって、無効であるのは明らかだ。なんといっても最初、部署を示さずに県外へ異動する事実だけ通告したのである。初めから退職させるためだけに異動を命じたのだ。訴訟に至れば勝てるだろう。会社が当初から少額での金銭解決にこだわることは冒頭記した通りである。前回に続き今回の団体交渉で、不当に配転してでも当該の退職を目的としていることが一層鮮明になった。この状況を少額の解決金で済ませることはできない。そこで、安易に早期解決せず、以前にも増して闘うことを決定した。
この事案は、会社が労働者の生殺与奪を握っていると思い込み、人事権を振りかざしてどこへでも配転して放逐しようとするものである。たしかに会社には広範な人事権があるのだが、それを配転や出向という形で脅迫するために用いて、労働者を支配しようとする会社はフコクだけではない。実際、現在も闘い続けている上州貨物自動車はその代表例といえる(https://gungoroso.org/?p=3104)。
苦境にある労働者の皆さんに呼びかける。群馬合同労組には確固たる決意のもと闘い、現に勝利を挙げている仲間が揃っている。これまで切り開いてきた地平は、労働者が全力で、断固として闘って得たものである。現在の状況に我慢ならない、職場を変えたいと思っている方は、ぜひ群馬合同労組に加入し、ともに闘おう。