建設労働者に当たり前の権利を!

15 3月 by gungoroso

建設労働者に当たり前の権利を!

 建設現場で働く組合員から相談があった。しばらく続けられると思っていた現場で、「来週でこの現場は終わりだ」と知らされたのだという。雇用主からも雇用主の元請からも話はなく、たまたまその上の会社の社員から知らされた。寮に住んでいるし、寝耳に水の話でびっくりしてしまった。直接の雇用主である親方に問い合わせたがよくわからない。親方も聞いていないとの話である。元請に問い合わせればいいのだろうが、勝手に上の会社に聞いたりするなという。それで不安で困って組合に相談してきたのである。

 労働者には、労働基準法が適用され、労働者としての権利が守られなければならない。雇用契約には、期間、業務内容、就業場所、賃金などが明示されている必要がある。しかし、彼の場合、雇用契約もなく、あいまいなことだらけである。

 組合は、説明と補償を求めて、要求書を提出した。要求先は、元請から4次下請けの雇用主まで5社である。送付先は群馬に始まり、北海道、東北、九州…と全国に及んだ。団体交渉の拒否は不当労働行為になるので、そのようなことのないように、と念を押した。

 配達証明付きの要求書が届いた途端に、雇用主に「応援」を依頼した下請会社の社長から連絡があり、話を聞きたい、事情を説明したい、すぐ会いたいと連絡が入り、会った。事情を説明すると、彼は「話は分かるが、なんで騒ぎにするんだ?上から仕事をもらえなくなったらうちの従業員が食っていけなくなるんだ」という。しかし、なぜこのようなことが起こるのか?要求書を出さなければ問題は見えてこない。

派遣は禁止、しかし実態は…

 なぜこの組合員のような問題が起こるのか?交渉をしてわかってきた。そこには建設業界の根本的な問題がある。

 それは、一言で言えば、禁止されている「派遣」が、現場を支えるという現実である。

 派遣とは何か?

  派遣元事業主が自己の雇用する労働者を、派遣先の指揮命令を受けて、この派遣先のために労働に従事させるのが労働者派遣である。

 労働者派遣は戦後禁止されてきたが、2003年に原則自由化されてしまった。もともと日本では戦前「タコ部屋」のような人身売買が容認されてきた。人身売買とは、人身や行動範囲を強く拘束するような契約を、当人の了承を要さずに他人間で勝手に売買し、それが人道的に悪質であるものと言える。遊郭に身売りされた遊女だけではなく、借金を型に取られた労働者が「口入屋」によって建設現場(タコ部屋)に押し込められた。これを禁止したのが、戦後の労働基準法と職業安定法である。直接雇用を原則として、派遣労働は原則禁止するものであった。ところが新自由主義政策の中、2003年に逆に派遣労働が原則自由化され、工場での単純労働にも導入されるに至った。派遣や非正規労働が年々大きな比重を占めるようになり、労働者の雇用や労働条件が大きく切り崩されることになった。

 それなのに、建設業界では今も派遣労働が禁止されている。なぜかというと、①労働力需要が不安定、②雇用関係が不明確、③労務管理が不明確、④工事の遂行や指示を行う責任者と下請けの関係が不明確で労働者の保護が困難、といった深刻な現実があるからなのである。業種別でみても建設業はもっとも労災での死亡者が多い業種でもある。

 しかし、そんな建設業界に「下請」という名前で派遣労働者が入って、現場を支えている現実が根強くあるのである。

 交渉の場で、下請会社の社長は、私には何の落ち度もないという。しかし、それは違う。違法派遣は「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」。派遣する側も派遣される側も違反となる。

 そんな違法な派遣が当たり前になると、来週(明日)あなたがどこでどんな仕事をするのか、そんなことは知らなくていい。仕事は用意する、よくしてやっているんだからから文句を言うなということになるわけである。

 元請も下請もグルになって、この違法な建設業界での派遣労働を取り入れ、現場を回し、利益を上げている。現場から声をあげる請負(派遣)労働者が出てきたら、上から下へ、「迷惑かけるな」「仕事貰えなくなるぞ」と圧力をかけるのである。問題は突き詰めて言えば、業界そのもの、ゼネコンや政府・自民党、国にこそあるのだと言わざるをえない。この現実そのものを変える労働者の闘いが求められる。

 下請けいじめの業界体質も変えなければならない。労働者が声をあげても下請会社が責任を取らされ、仕事をほされるような現実は許してはいけない。労働者が労働組合に加入して声をあげたことが差別的に不利益扱いを受ければ、不当労働行為として罰する道がある。しかし下請会社がおかしいと声をあげて、仕事をほされるような場合は、もっとむずかしい。もちろん独占禁止法に「優越的地位の濫用」を違法とする規定があるのだが。下請会社も労働組合といっしょになって元請や、巨大独占資本と闘う道を作り出さなければならない。それは、いじめが横行する日本社会を根底から変革する足掛かりになるはずである。

 やはり労働者・労働組合の団結と闘いを、建設業界にも大きく作り出さなければいけない。建設労働者のみなさん、ともに闘いましょう!

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