解雇と大失業に労働組合として対決を!


(月刊労働運動6月号投稿)

解雇と大失業に労働組合として対決を! 群馬合同労組 清水彰二

 新型コロナウイルス感染拡大の中で、空港送迎便を運航している中央タクシー(本社長野市)は、4月13日に「説明会」を開催して、群馬合同労組の組合員を含むほぼすべての労働者に解雇通告を行った。3月末には、6月いっぱいまでは雇用調整助成金を申請して休業補償で対応すると説明していたのを急きょ引っくり返した。また群馬合同労組の団体交渉開催要求に対して「緊急事態宣言」「多数での集まりの自粛」を口実として拒否をする続ける中で開催された「説明会」だった。

 群馬合同労組は、組合員が「説明会」に対して抗議、弾劾、オルグの宣伝行動に立ち上がった。会社は解雇回避義務を果たせ、不当解雇だと、ビラを配った。会社は、敷地から出ろと、妨害し、警察を呼んで弾圧を狙った。

 中央タクシーとの5年越しの闘いは、新自由主義を象徴するブラック企業との闘いとして、不屈に闘い抜かれ、新型コロナ感染拡大を契機とした大恐慌と大失業の到来の中で、これと労働組合として対決して希望を作り出す闘いとなった。

 これに先立って、今年の1月に60歳の誕生日、定年を迎えたT組合員に対して、中央タクシーは、時給1000円、月100時間程度という再雇用の労働条件を提示した。月10万円。どうやって生きて行けというのか?群馬合同労組は、他の従業員と同じように、正社員と同じ労働条件で再雇用しろと要求した。団体交渉で、会社は、他の従業員はこれまですべて正社員と同じ労働条件で再雇用したことを認めつつ、多少の譲歩は示しながらも、時給1000円は譲らなかった。群馬合同労組は、5月14日付で、団体交渉拒否と合わせて、労働組合法第7条の差別的な不利益取扱いとして救済を申し立てた。

 これは実は、中央タクシーが、割増賃金等(残業代)請求裁判で追い詰められた末の対応である。「説明会」が開かれた同じ4月13日の午前中に、4回に渡って延期された前橋地方裁判所の判決が出た。これは大きな問題がある判決であるが、T組合員には約38万円の残業代の支払いとタコグラフの改ざんなどの不法行為責任として同額の付加金の支払いを判決した。重要なことは、空港送迎便につきものの、膨大な待機時間を労働時間として認めるか否か、この点について、T組合員の証拠と主張を全面的に認めたことであった。

 中央タクシーは、この判決を不服として控訴した。従業員ほとんど解雇しておきながら、だ。これは解雇された労働者から同様の請求を起こされる恐怖からの対応だろう。宇都宮司社長、宇都宮恒久会長らは、あくまで東京オリンピックに望みをつないで、自分たちだけは生き延びようと必死だ。しかしそんなことは許さない。

 中央タクシーがやってきたことは、どういうことか?

 第一に、固定残業代制度を悪用した、「定額働かせ放題」の奴隷制度だ。「稼働手当」と称して、114600円を支払い、これで早朝深夜の区別なく、寝る時間も与えず、休日も与えず、労働者を酷使した。文句を言う労働者にはパワハラと差別的な配車で痛めつけ、たたき出した。実際に業務中に脳梗塞を起こして死亡した労働者がいたし、死なないまでも過労からくる脳や心臓の病気の話はいくつもあった。

 こうした地獄の職場から、分会を結成して、賃金カット、乗務外し、おり紙折りの業務命令などの悪らつな組合つぶしを打ち破って、ストライキ・デモや順法闘争、労基署申告や労働委員会申立、裁判などあらゆる闘いで、勝利してきた。とりわけ裁判闘争は、諸悪の根源にある「固定残業代制度」そのものの違法性を争う闘いであった。

 今年の3月30日、最高裁は、国際自動車のタクシー労働者が闘ってきた残業代(割増賃金)をめぐる裁判において、非常に重要な原告勝訴判決を出した。これは本質的に中央タクシーがやってきたことと同じ問題である。つまり形式的に「割増賃金」を算出して明細に記載していても、いわゆる固定残業手当から同額を引いて、結局基本的な賃金総額が変わらないという制度は、労働基準法第37条の定める割増賃金を支払ったことにはならないという判断である。

 この裁判を担ったのは、指宿昭一弁護士。ロイヤルリムジン(タクシー)のコロナ解雇などと闘っている弁護士だ。彼は言う。「このような労基法37条に違反する賃金規則が多くの会社でまかり通り、また、既存の労働組合はこれと闘ってこなかった。いや、むしろ、積極的に導入に協力し、または、容認してきたのである。」

 群馬合同労組は、中央タクシー分会が、闘ってきた闘いが、運輸労働者にとって、非常に普遍的で決定的な闘いであったことを再確認することができる。現在、さいたま市にある大石運輸分会でも、実はこれと同じ賃金体系があり、これを基にした組合差別を打ち破る闘いが始まっている。

 このような闘いであるからこそ、中央タクシー分会の闘いは熾烈を極めた。様々な苦難を乗り越えて、いよいよ少数派から多数派への闘いに入ろうとしたときに、分会長の襲撃事件が起こった。新たな家族とともに新たな住居で新たな生活に入ろうとした分会長を、犯人は暗闇に紛れて背後から木刀で襲ったのだ。出勤途上で。フラッシュバックと闘い、職場復帰したら、この新居が再び破壊された。分会長は、結局健康上の問題で退職を余儀なくされたが、堂々と勝利者として群馬合同労組の団結の中心に立っている。

 襲撃に関して、新居の住所、早朝の出勤、どちらも知っているのは会社だけだった。林群馬営業所長は、社内の犯行だろうと組合が言うと、その可能性は高いですねととぼけた。警察に被害届を出した方がいいとしきりと言う。団体交渉で宇都宮司社長も、被害届を出せと言った。最近わかったことがある。組合を脱退して一時敵対的だった元組合員が、この頃、分会長を殺してやると林所長に電話でまくし立てていたというのだ。思っていた通りだ。中央タクシーは、犯人をこの元組合員におっかぶせて、どちらも追い出そうとしたのだ。

 大恐慌と大失業。こんな資本との激しい闘いは避けられない。しかし労働者は負けない。そんな労働者の拠り所になる労働組合が求められているのだ。必ず解雇撤回させて勝利したい。

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