調査はどうした?音沙汰なしの自宅待機命令
調査やるまでもない「嫌疑」
一か月たっても音沙汰なし
上州貨物自動車株式会社(代表取締役 佐藤賢一:高崎市大八木町573)が群馬合同労組上州貨物自動車分会組合員の2名に対して、3月24日に突如として自宅待機命令を発して、1ヶ月あまりが過ぎましたが、会社からはいまだになんの調査の指示も連絡 もありません。
自宅待機命令中の給料に関しては、組合の抗議行動によって、全額支払いを約束させました。しかし自宅待機命令の狙いが組合員を職場から排除して、他の従業員との接触をさせないことにあったことがますます明らかになっています。
そもそも、この自宅待機命令は2名が「就業時間中の組合活動」を行ったという嫌疑で発令されました。しかし、一方の副分会長の件はそもそも組合活動と主張できるような代物ではなく、もう一方の分会長の件は就業時間外の活動であることが確定しています。そもそもでっち上げなのです。
さらに、もしも嫌疑とされた活動が就業時間中の組合活動であったとしても、それが2カ月の自宅待機命令に付された上で、重い懲戒処分にされるような重大な問題でもありません。高崎営業所長のK所長は、3年前まで「運輸労連上州貨物自動車労働組合執行委員長」でした。佐藤賢一社長と「覚書」と題された合意書を取り交わして、違法な残業計算方法を合意した張本人です。就業時間中の組合活動を自分は行わなかったなどとは言わせません。
会社とK高崎営業所長の狙いは組合つぶしです。組合員を恐怖させるとともに、他の従業員には組合に関わるとろくなことはないと見せしめにするものです。
その証拠に、K所長は、「自宅待機命令書」を、いまだに高崎営業所の掲示板に貼り出したままにしています。しかもこの命令書は、賃金は「本人の責めに帰すべき事由により無給(ないし60%支給)とする」となっており、組合の抗議行動によって訂正される前の命令文です。ウソの情報をわざと掲示し続けて、見せしめにしているのです。
始まりはパワハラ
M分会長が最初に組合に加入したきっかけはK所長のパワハラでした。1年前、K所長はMさんに対して、出勤時間の10分前以前の構内立入りを禁止すると命令しました。理由は、①始業時間前に準備作業を行ったこと、②社内機密情報等持ち出しに関する嫌疑、でした。
写真を見てください。これは3月初めにM分会長が出庫時の点検で発見したタンクローリーのタイヤのパンクです。タイヤにボルトが突き刺さっていました。理由はわかりません。
K所長は、始業点検は10分でできると強弁してきました。Mさんは、10分では不安だ、できないと主張していました。スペアタイヤの積込み作業が必要な時に、仕方なく始業時間前に準備を行ったことをMさんはとがめられ、10分前以前の入構を禁止されたのです。
K所長は、安全に責任を負う立場にありながら、始業点検は10分で可能であるとして「証拠」のビデオ点検動画を組合に提出しました。しかし、その点検はタイヤなどほとんどチェックしていませんでした。そんなやり方であれば、M分会長は今回のこのボルトも発見できなかったでしょう。
団体交渉であらためてM分会長の出勤時間10分前以前の入構禁止命令を撤回するように要求したところ、K所長は「業務命令に従うとの誓約書を提出すれば見直す」と回答しました。冗談ではありません。業務命令に従わなければ、会社は容赦なく始末書を書かせたり、懲戒処分を出すのです(一方で何をやっても始末書を求められない従業員もいます)。そして今度はこの始末書や懲戒を理由にして、査定で賃金を減額するのです。
M分会長に対する10分前以前の入構禁止はパワハラです。即座に撤回すべきです。
会社の「詐欺行為」
上州貨物自動車とK所長は、組合の抗議行動に対して、「業務妨害」だ、「名誉棄損」だ、「脅迫」だ、と口にしました。冗談ではありません。
会社が行ってきたことは「詐欺的行為」と言われても仕方がありません。
会社は、従業員との、正社員・期間の定めなしの雇用契約を、2022年3月に「契約更新」と称して、1年の有期雇用に書き換えました。それは何の説明もせず、ほとんどの従業員が気づかないうちに署名なつ印させており、労働契約法違反であり、詐欺的行為です。
団体交渉の場では、小林所長は当該従業員に契約が変わることを説明したとの回答を行い、組合が面談の録音証拠を出してウソがばれると、全員に説明しなかったわけではないと言って、謝罪もしません。組合が、絶対にだまされてはいけない、契約更新に署名なつ印してはいけないと、従業員にあらゆる手をつくして訴えたのは、正当な組合活動です。
その結果として、会社は2023年3月の組合員以外の従業員との雇用契約書には無期雇用と明記せざるをえなくなったのです。
就業規則の周知義務も果たさず
会社は組合員の懲戒嫌疑を持ち出していますが、そもそも上州貨物自動車の就業規則が、民法や労働基準法に違反する代物です。例えば自宅待機の規定がそうでした。規定や、雇用契約書にまで「秘密書類につき社外漏洩・コピーなどは厳禁とし、漏洩行為者は懲戒処分と違約金200万円以内を請求する」などと書かれていました。これも組合が問題にすると削除したとのことですが、削除したことを周知していないからだれも知りません。
従業員に対する周知義務も果たしていません。組合が写しを提出するように要求しても原則拒否しています。このような上州貨物自動車には、労働者を懲戒に処する資格がありません。
不誠実交渉・不当労働行為
会社には、労働組合の団体交渉の要求に対しては誠実に応ずる義務があります。しかし、上州貨物自動車は、就業規則は提出しない、団体交渉を引きのばす、団体交渉で嘘を言う、問題があってもあやまらない、代理人弁護士が当事者の回答をさえぎって妨害するなど、問題だらけです。
3月の雇用契約「更新」の前に、事実を明らかにして、組合に労働条件の提示をするのが筋であるのに、団体交渉をいたずらに引き延ばしました。そして、組合員を差し置いて、何も知らない従業員に月給を40万円から31万円に引き下げる(固定残業手当9万円と合わせて40万円にする)契約書に署名なつ印させました。
労働者は、契約書に署名なつ印しなければ、仕事ができなくなってしまうかもしれないと不安になります。納得したわけではなく、仕方なく署名なつ印したのです。
上州貨物自動車の考えたことは、一番最後に組合員との契約更新の交渉をする、そして可能な限り組合員と他の従業員との接触を断つ、これでした。
群馬合同労組は、自宅待機命令自体が上州貨物自動車の不当労働行為であることを知っています。先に群馬県労働委員会に救済を申し立てた事件に加えて、自宅待機命令とこの間の会社の対応を不当労働行為として、救済申立を行う準備をしています。本日4月28日、第1回の労働委員会調査が開かれます。みなさんのご支援・ご協力をお願いいたします。