労働相談「年間で残業と休日出勤が700時間」

9 6月 by gungoroso

労働相談「年間で残業と休日出勤が700時間」

先日ホームページを見たという労働者から匿名の相談メールをいただきました。「高崎にある工場で働いている。年間で残業と休日出勤が700時間くらいある。労働基準法違反ではないのでしょうか?」という相談でした。単純に計算すると月60時間弱でしょうか。これに対する回答は以下の通りです。

労働基準法は1日8時間かつ1週40時間を超えて労働者を働かせることを使用者に対し、刑罰をもって原則として禁止しています。これを法定労働時間といいます。法定時間を超えて働かせるには労働者代表との間で法が定める要件を全て満たした36協定が締結され、労基署長に届出られねばなりません。
この大原則が適用されないのは、みなし時間制が適法に適用されている労働者と法が認める適用除外者(主として、管理監督者)だけです。
そして、労働者が会社に対して、労働義務を負うのは、所定労働日における所定労働時間だけです。即ち、通常は就業規則に定められた労働日の労働時間だけ働けばよいのです。法定労働時間を超える残業命令や法定休日労働命令には36協定と残業や休日出勤の義務を定めた就業規則が最低限必要です。これを欠く残業命令等は無効であり、労働者に働く義務は全くありません。義務がないのですから、帰っても何ら非難されることはありません。まず、就業規則を確認しましょう。次いで、36協定を確認しましょう。いずれも使用者には周知義務が課されているので、これを見せない場合は、就業規則や36協定はないと思って構いません。
みなし時間制であるとか、管理監督者であるので適用除外と会社は言うかもしれませんが、それらの大半が違法な制度・運用です。

残業について。
労働者が労働義務を負っているのは所定労働時間だけです。所定労働時間を超える残業は、まず第一に、臨時的・一時的な業務の必要がある場合に限られます。恒常的な残業は認められません。何よりも人員を増やすよう会社に要求すべきです。
次に、法定労働時間を超える残業には、36協定と残業をさせることができると定めた就業規則が必要です。36協定とは、ただ単に残業を認めるという抽象的な協定ではありません。残業をさせる事由(臨時的・一時的な、残業が必要となる事情)、残業する業務の種類(部署)と人数、そして何よりも残業させうる最高時間を協定しなければなりません。この最高時間は、日、月、年の3種類を協定することになっており、月と年には上限時間が定められています。月45時間、年360時間です。この上限時間を上回る36協定は原則として認められません。協定という以上、労働者側の代表(過半数組合、それがなければ選挙等で選ばれた過半数代表者)がハンコをついて初めて成立します。たとえ36協定が締結されていても月45時間を超える部分は協定違反の残業であり、違法であって、協定の上限時間を超えて残業する義務はありません。

このようにこの会社は、法律的にはとんでもない違法状態です。しかしながら、違法だから従わない、というのは実際には一人では無理です。返り討ちにあいます。そこで労働組合、しかも原則的に闘う労働組合が必要になるわけです。私たちは群馬合同労働組合はいつでもともに闘う労働組合です。ぜひいっしょに闘いましょう。

残念ながら相談者は、いろいろ事情があって転職を考えざるをえないとのことでした。労働者は家族も抱えて、なかなか思い通りにいかないものです。しかし、この数年、アベノミクスの「成功」が宣伝されるのとうらはらに、中小の会社の現実は、賃金は上がらずに人手不足で過重労働が急速に労働者に襲いかかっています。闘わなければ殺されかねない。腹さえ決まれば、いつでも群馬合同労組はともに闘います。
泣き寝入りはしたくない、誰もがそういう気持ちをもっています。その気持ちを、闘いと団結に結実させる、力ある労働組合が必要とされています。「陰ながら活動応援しております」との相談者のメールに、力をもらい、群馬合同労組はさらに前進します。

文書

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