全国バスゼネスト切り開く群馬バス分会の春闘スト!
月刊『労働運動』5月号に寄稿しました。
全国バスゼネスト切り開く群馬バス分会の春闘スト!
群馬合同労組 執行委員長 清水彰二
群馬合同労組群馬バス分会は、3月16日に結成以来はじめての24時間ストに立ち上がった。同時に群馬合同労組は群馬春闘行動2019を一日行動として闘い抜いた。
群馬合同労組群馬バス分会の大幅賃上げ中心とした春闘要求に対して、群馬バスは団交を3月29日に指定してきた。年度最終日だ。ユニオンショップの私鉄総連群馬バス労組とは3月半ばに団体交渉を行っている。全く許しがたい不当労働行為。ストはこれに対する抗議と春闘要求貫徹の闘いとして設定された。公益事業なので労働関係調整法に従い10日前に県知事と県労働委員会に争議行為の予告を行う。
当日朝結集した組合員は、まず貸切バスセンターに移動して、T組合員のスト突入通告と門前宣伝行動をともに闘った。その後榛名営業所に移動して、O組合員のスト突入通告を行った。榛名営業所は、ちょうど2年前にM分会長の不当解雇を行い、所長先頭に分会つぶしの先頭に立ってきた営業所だ。今回のストライキに対しても事前にO組合員のダイヤをはずして予備に入れてしまった。許しがたいスト破壊だ。スト通告を所長に対して行い、この件について抗議する。群馬バス労組の組合員が「営業妨害はやめろ」と文句を言ってくるが冗談ではない。O組合員が断固として「ストに入る」と通告する。M分会長も必ず職場に戻る決意を叩きつける。最後は箕郷総合バスセンターへの抗議宣伝行動。これまでの抗議集会では、必ず警察を呼んで、敷地に入るなと、弾圧してきたが、今回は何も介入がなく、拍子抜けする。組合員が「ストライキ決行中」の横断幕を見えやすい敷地内で掲げると、しぶしぶ管理職が出てきて、「敷地の中は困る」と注意しただけだ。分会の組合員は、日頃の怒りをここぞとばかりにマイクに込める。多くの運転手がストに入った組合員に「がんばれ!」と声援を送った。
破綻する路線バス
4月9日にNHKクローズアップ現代+が「ドル箱路線が次々と 都市の路線バス減便の衝撃」という特集番組を組んだ。表題の通り、都市部のドル箱路線さえも、運転手不足で減便が続き、都市生活に深刻な影響を及ぼしている。取材した会社では社長自らも運転せざるをえない状況だ。登場した元路線バス運転手(高速バス運転手に転職)は「1か月でおよそ220時間働いても、給与は手取りで23万円」「『ここまでやったのに、これだけ?』みたいな感じ。」「給料も安いし、それなりの拘束時間で割に合わない。高速バスでズバーンと行ってしまった方が、止まったり降ろしたりというストレス的なものが、本当にない。精神面でも体力面でも、すごい楽になった。」などと語る。
爆発寸前の群馬バス労働者の怒り
今春闘では、ユニオンショップを結ぶ私鉄総連の群馬バス労働組合の中からも怒りの声があがった。貸切営業所に掲示された「春闘趣旨説明」という文書には次のような言葉が並ぶ。
「現在は貸切のみ100キロから2円のキロ手当が付いているが、他のバス会社では0キロから7円付いている。他社を上回らないと乗務員は集まらないのではないか?」「前回の秋闘では『バス部門が安定軌道に乗るまでは導入できない』という回答だったが、そのように悠長に構えていては乗務員がどんどん辞めていってしまう。」「どの中小企業でも通勤費の支給は当たり前だ。」「泊まりの業務になると、翌日の業務をひかえて、ずっと拘束されているのと同等の状況にある。他の会社では3,000円出ている。」…
全国の路線バス労働者のゼネストが必要だ
もはや全国のバス労働者の怒りは爆発寸前だ。問題は闘う労働組合と職場の団結を取り戻すことである。
群馬合同労組群馬バス分会に結集する3名の組合員は、2016年8月に分会を結成して、会社と御用組合による職場支配に対して闘いの火柱をあげた。しかし会社は、それ以降、組合つぶしにやっきになった。分会長の不当解雇、組合員への処分と兵糧攻め、不誠実団体交渉などかさにかかって襲いかかった。榛名営業所では、群馬バス労働組合が会社と一体となって、いまだにO組合員とは話も挨拶もするなという、組織的パワハラを繰り返している。
極めつけは、会社と御用組合一体となって、群馬合同労組は過激派というキャンペーンを組織して、「日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他団体」またはその「下部組織又は影響下にある組織」の「加入」はもとより、「関与」「接触」も禁ずるという誓約事項を、雇用契約書に書き加えたのである。
しかし、分会の組合員は、幾多の試練を乗りこえて、団結と分会を守り抜いてきた。そしていよいよストライキを闘い、5月にはこれらすべてを粉砕する労働委員会の命令を勝ち取って、全国バス労働者ゼネストの先頭に立とうとしている。
今こそブラック企業と新自由主義をぶっとばす全国の闘いを!
新自由主義によって、資本そのものがつぶれる危機に立ち至っている。この時こそ、労働者が闘って勝利する決定的なチャンスの到来だ。労働者が、自分の職場的・職業的な狭さを、闘いと団結の中で打ち破り、新しい社会を建設する主人公として躍り出ることで、すべてが動き出していく。
群馬合同労組は、動労千葉の闘いに学び、ここに労働者階級の勝利の道があると確信をもって闘ってきた。中央タクシー分会の闘いは、分会長の襲撃事件という衝撃の中で、ブラック企業との現場の闘いが、単なるブラック企業との闘いには終わらないこと、新自由主義との、やるかやられるかの闘いであることを突き出した。闘えば壁にぶち当たる、このくり返しを、しかし群馬合同労組は団結の力で打ち破って前進している。
千曲ユニオン河野副委員長を先頭とするコンビニ関連ユニオンの闘いは、決定的だ。群馬合同労組にはセブンイレブンのオーナーが結集して、新自由主義を打ち倒す力強い闘いも始まった。今こそ勝負の時だ。全国の仲間のみなさん、労働者のみなさん。ともに立ち上がろう!