「新しい世界」の展望が見えた韓国訪問!

17 11月 by gungoroso

「新しい世界」の展望が見えた韓国訪問!

 

 

動労千葉訪韓団として4回目の韓国訪問

2018年11月9日、群馬合同労働組合を代表して、私(委員長清水)と須永副委員長が、動労千葉訪韓団の一員として韓国を訪問。11・10「チョンテイル烈士精神継承全国労働者大会」やAGC旭硝子の全員解雇と3年4ヶ月にわたって闘う旭非正規職支会との交流・連帯行動に参加した。
4年連続4回目のソウルの労働者大会。
1回目2015年11月はセウォル号沈没事件責任追及などパク・クネ政権打倒の民衆総決起闘争の激しい実力デモだった。放水銃直撃で農民のペク・ナムギ氏が殺された。主導した民主労総ハン・サンギュン委員長は後に逮捕、2年6ヶ月の獄中闘争を闘って今年奪還された。

2回目2016年11月は100万人のロウソクデモだった。パク・クネ大統領弾劾のデモは、陸軍のクーデターも計画される中、ついに大統領を監獄に送り込んだ。
3回目2017年11月はフェイブックで交流していたサムチョクの仲間たちと具体的な交流が始まった。
そして4回目の2018年11月。5月に旭非正規職支会支援共闘会議を動労千葉を中心に結成し、私は事務局長として日本での支援連帯行動に関わってきた。

大統領府前の路上で前夜祭に参加

11月9日第1日目の夜。大統領府(「青瓦台」)前で非正規職労働者などの前夜祭が行われるとのことで行ってみた。大統領府の目の前。この4車線道路の2車線を占領し、トラックが横付けにされてステージが組まれている。回りにはろう城テントがずらりと並ぶ。民衆のろうそくデモが生み出したムン・ジェイン政権。2016年のデモの中で私はムン・ジェインがしゃべるのを見た。そのムン・ジェインは空約束ばかりで、労働者の生活と権利は何も変わらない。とりわけ非正規労働者は不当に解雇されたまま、路上で、高空でろう城闘争を続けるしかない現実。「積弊清算!」「非正規職撤廃!」をスローガンに労働者の怒りが高まっている。それは大きな力で大統領府を揺るがしていた。
この集会場で、私たちは多くの仲間と会うことができた。チョン・テソンさん。チョン・テイル烈士の弟さん。日本から来た私たちに色々話してくれた。期待してくれているのが痛いほどにわかる。キム・キョンネさん。去年の労働者大会の前夜祭でサムチョクの仲間として紹介してもらった太平洋セメントの非正規労働者。旭硝子とともに高空ろう城を闘った同志だ。勝利して職場復帰を果たした。ばったり出会って抱き合って喜んだ。キム・ジョンギさん。律動グループ「宣言(ソゴン)」のメンバーで動労千葉との国際連帯行動でおなじみだ。彼女には旭非正規職支会訪問にも通訳として同行してもらうことになる。
21時頃から「闘争文化祭」は食事と飲み物が出される。大統領府前の路上を占拠して「飲み会」というところだろうか。4年目の私は仰天する力関係の転換だ。

 

 

6万人が結集して労働者大会

11月10日第2日目。民主労総ソウル本部にて、動労千葉訪韓団の結団式。総勢100名に近い訪韓団だ。民主労総ソウル本部から手厚い歓迎を受ける。
午後3時からソウル市庁前の労働者大会。
この集会を報じた「労働と世界」紙から引用する。

全国労働者大会6万人参加
“積弊清算!労組する権利!” 社会大改革を叫ぶ

太平路(テピョンロ)を埋め尽くす…

 

全国民主労働組合総連盟(民主労総)は11月10日午後3時,ソウル太平路(テピョンロ)で6万人の組合員および市民社会と民衆連帯単位の参加者が集まった中”全泰一(チョン・テイル)烈士精神継承2018全国労働者大会”を開いて△弾力勤労制期間拡大阻止 △最低賃金法原状回復及び追加改悪阻止 △ILO核心協約批准及び労動基本権保障労動法全面改正 △公共部門まともな不正規職正規職転換 △財閥積弊清算と財閥改革 △司法積弊と親財閥官僚積弊清算 △社会安全網強化とまともな国民年金改革などを政府と国会に促した。

ここに民主労総(キム・ミョンフン委員長)は来る 21日ソウルを含む全国で、‘積弊清算! 労組する権利! 社会大改革!’をスローガンでゼネスト·総力闘争を宣布した。
民主労総キム・ミョンフン委員長は大会挨拶を通じて “政府と国会は労動者の要求を執行しなければならない義務と責務とは反対に, 資本家の要求である弾力勤労制拡大をやろうとしている”と “包括賃金制廃止, 交代時間と休憩時間蝕む無料労動根絶, 法廷労動時間例外業種制度廃止, 5人未満事業場労動基準法適用, 新規雇用創出方案を論議することを提案する”と明らかにした。

また “民主労総は財閥体制の清算と司法壟断勢力の処罰だけが私たちが求める真のロウソクのあかり、世の中であることを明確に宣言する”としながら“心を一つにしっかりと凍えた手を温めて聞いた2年前のろうそくが、もう一度韓国社会の新たな枠組み作り改革へと進むように支持と声援を集めてほしい”と国民に訴えた。

マレーシアから連帯しに訪韓したアナ・ロスディアナ(サラワク山林庁労組)活動家は“インドネシア、ネパールなどアジア活動家が3日間滞在して得た結論は非正規職、外注化、労働基本権弾圧と、同じ問題に直面していること”としながら“超国籍資本に対抗して国際連帯を強化しなければならない”と話した。

民衆共同行動の朴錫雲(パク·ソクウン)代表は”社会的弱者ではない民主労総が民衆と連帯して朴槿恵(パク·グンヘ)グループを追い出したにもかかわらず,労働者や民衆の暮らしが改善せず,今も生存権が踏みにじられているのが問題”“ろうそく政府が最低賃金法を改悪して弾力勤労制を拡大する誤った労動政策に対して労動者·都市貧民·農民たちがまた世の中を変えて行こう”と力説した.

公共運輸労組イ・テウイ副委員長は”ジョブワールド労働者たちは’子会社’という差別を拒否し,完全な正規職である直接雇用獲得のためストライキ闘争を展開しており,昨夜,会社側の屈辱的な提案を拒否し,頑強な闘争を決議した” としながら“公共機関、社内下請け、間接雇用、特殊雇用などの労働者が12日からムン・ジェイン大統領に‘100人面談’を要求して共闘を展開するだろう”と力説した。

建設産業連盟の金慶信(キム·ギョンシン)副委員長は”文在寅(ムン·ジェイン)大統領が批准を約束し,労働基本権と労組する権利について公約し,政権が変われば変わるだろうと思っていたが,労働者が労組できるようにするのがそんなに難しいことなのか。過程は公正で結果は平等だという言葉だけでなく,約束を守れ”と促した。

金属労組シンスンミン首席副委員長は“ムン・ジェイン政府は2年6ヶ月が過ぎる間最低賃金1万ウォン公約をひっくり返して、与党は算入範囲と追加改悪まで試みて21日まで弾力勤労制拡大を処理するといっている”としながら“積弊清算と社会大改革を政府と国会に任せては何の進展もないので民主労組が先に立って21日ゼネスト闘争をやりとげよう”と声を張り上げて話した。

大会参加者は‘ゼネスト決議文’を通じて△ILO核心協約批准と労働法改正、国民年金改革と非正規職撤廃△弾力勤労制、最低賃金法、規制緩和法改悪など阻止△公共部門における非正社員の一方的で異常な子会社への雇用強力阻止△労働者民衆の力で直接韓国社会大改革のために総力闘争することを決議した。

大会の終わった後参加者達は大統領府と東十字閣首相公館、2つの方向に行進し,大会を終えた。

この日の大会には甲乙オートテク(イ・テヒ支会長)·KTX(キム・スンハ支部長)·双竜車(キム・ドクチュン支部長)が一緒に登壇し “私たちは勝利したが闘いは続いているし, 私たちの闘いは労動者の権利を守る闘いだから最後まで共にする”と共同で労働者大会開始を宣言して目を引いた。

また、参加者は生存権を叫んで高空座り込み中である木洞(モクトン)のファインテック煙突座り込み(ホン・キタク、パク・ジュノ),全州タクシー(キム・ジェジュ)労働者と映像通話を通じて闘争状況を共有した。

一方民主労組は21日ゼネスト・総力闘争を控えて14日から20日まで大統領府噴水台の前で民主労組役員および加盟産別組織代表者が座り込みに突入する。12日から16日までは”非正規職を辞める”というスローガンで非正規職労働者が”労働者100人,大統領面談”を求めて共同闘争を繰り広げ,16日には全国単位事業長代表者決議大会が青瓦台サランチェの前で開催される予定だ。

亀尾(クミ)の旭非正規職支会闘争現場訪問

 

第3日目の11月11日㈰。やっと旭非正規職支会の闘争現場へ訪問することができた。韓国・亀尾(クミ)市にあるAGC旭硝子韓国工場前のテントだ。組合結成に対する請負会社全員解雇と闘って3年4ヶ月、工場門前にテントを作り、壊されてもまた作り、毎日毎日出勤闘争・門前闘争を続けている。
コレイル(韓国国鉄)のムグンファ号に乗って、ソウルから3時間半ほど。遠い。だが値段は安い。
クミに着くと、チャホノ支会長、オスイル副支会長、民主労総慶北(キョンブク)本部教育局長ペテソンさんが迎えに来てくれた。
チャホノ支会長。彼は2003年から金剛化繊という会社で565日の廃業闘争を闘った。刑務所生活を終えてクミの非正規労働者の中に身を投じた。やっと請負会社で組合を作ったら1ヶ月で請負会社ごと切られた。彼は10月4日から9日まで来日してもらってずっといっしょに行動した。1ヶ月ぶりだが、彼と会えるのは最高にうれしい。彼は「日本で会った時よりうれしい」と言った。
オスイル副支会長は、2017年4月から27日間の高空断食ろう城闘争をソウル光化門広告塔で闘った同志だ。広告塔に登ってから自分が高所恐怖症であることに気づいたという。
ペテソンさんは、後で知ったが、ハンサンギュン委員長のもとで民主労総本部組織争議室長に抜擢され、解雇された旭硝子の非正規労働者に「皆さんはとても運がいい。一生に一度、あるかないかの機会だ。労組をすれば新しい世界が見えるだろう。」と話してその気にさせた人だ。民衆総決起闘争を指導した罪でハンサンギュン委員長とともに収監され、1年6ヶ月の獄中闘争の末に奪還され、今は慶北(キョンブク)本部教育局長の役職だ。
まず工場とテントを案内してもらう。路上に作ったテント。すきま風が入る作りだが、屋根は金属板で、暖房も完備。壊されると次はもっと頑強に作ってきた。炊事もできるし、食料もカンパが絶えない。
クミで一番うまいという店でフグのチゲ料理をごちそうになる。うまかった。闘争資金が困難なのに、と、恐縮してしまう。
テントには支会の仲間が総結集してくれた。前日にはソウルの労働者大会に参加したばかりだったが、日本から来た、AGC旭硝子東京本社で抗議闘争を繰り返してくれている同志だと、大歓迎された。
うれしかったのは何より、旭非正規職支会の同志ひとりひとりの決意と困難を聞くことができたことだ。チャホノ支会長に何が一番大変か、質問してももいいかと聞くと、彼がみんなに聞いてくれた。子供に希望通りに進学させてやれない、彼女がいるが結婚を待ってもらっている、など、胸が痛い話ばかりだ。でもこうやって直接話を聞くのは、文字を読むのとはまるで違う。血が通う。
ペテソンさんから、なぜみなさんはここまで連帯してくれるのか、と問われる。こちらも思い思いに答える。その熱意と考え方は伝わったんだろうと思う。労働者は国と民族をこえて団結できることを確かめることができたのだと思う。
日本の労働者階級の闘いはこれからだ。私たちは必ずこの日の連帯行動を力に変えるだろう。

民主労総ソウル本部で理念交流集会

 

第3日目の11月12日。民主労総ソウル本部にて理念交流集会。日本からは私が「安倍政権の『働き方改革』について」報告した。
韓国の労働者同志にわかるように話さなければならないので、だいぶ苦労した。持ち時間は通訳入れて1時間。日本人で韓国在住7年の学生さんがうまく通訳してくれたので大変助かった。
時間もギリギリで収まり、韓国の労働者からいくつもの質問を受けた。とても有意義だったと思っている。日本の同志からも、体系的でよかった、自分はこう思う…など、報告後、色々話しかけられたので成功だと思っている。新自由主義と闘う路線の問題でもあり、ぜひみなさんにも読んでもらいたい。

大統領直接面談を求め、大統領府前で闘争

 

4日目の11月13日。この日は午後3時すぎの飛行機で帰国だ。労働者大会で宣言されていたように、前日の12日から旭非正規職支会、韓国GM非正規職支会、現代起亜自動車非正規職支会などの非正規労働者を中心に大統領に非正規職撤廃を求めて、100人の直接面談を要求する闘争が繰り広げられた。初日の9日に前夜祭がもたれた場所付近にさらにテントろう城が広がろうとした。これに対してムン・ジェイン大統領は警察の弾圧で応えた。フェイスブックで旭非正規職支会の同志がケガをして病院に運ばれたこと、テントの搬入が阻止され、ビニールを布団代わりに数十人が寒さに耐えながら夜を明かしたことを知った。
サムチョクの反原発闘争の仲間と再会し、いっしょに闘争現場に向かう。現場で旭非正規職支会の同志たちと再会を喜ぶ。チャホノ支会長が司会で全体をまとめる。彼の招きで私と須永副委員長も集会の中に入ることができた。
この後、5日間にわたって、闘争は大統領府、検察庁、国会前と、首都ソウルを席巻する。労働者も毎日何人もの病院送りを出しながら、必死で闘った。闘いは続いている。日本の私たちに何ができるか。闘う労働組合を全国に建設する、組織拡大で力ある勢力として登場する、まずはここに命がけで挑むことだろう。
労働者はひとつ。ともに闘おう!

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