中央タクシーの解雇撤回へ要求書提出!


 群馬合同労組は、2020年4月13日の群馬営業所従業員への解雇通告に対して、4月16日付で要求書を提出して解雇の撤回を要求しました。中央タクシーは、長野本社以外の営業所をすべて閉鎖して、本社以外の従業員を解雇通告しました。

 要求項目は以下の通り。

1.    T組合員の解雇を撤回してください。雇用調整助成金の感染症の影響に伴う特例措置が取られています。2020年6月30日までの休業に関して国からの助成がなされます。貴社の解雇は、整理解雇4要件のうち、解雇回避努力義務の履行が十分に行われておらず、解雇権の濫用であり無効です。

2.    Tの解雇に関して、1の通り、争いますが、解雇予告手当については、将来の賃金の一部として、受領することを通告します。その上で、Tの解雇予告手当日額を2020年2月分と3月分の給与を平均して計算するとK総務部長から説明を受けていますが、計算方法は2020年1月分からの3ヶ月の平均から算出しなければなりません。訂正をしてください。

3.    今後の貴社の経営及び雇用についての見解・見通しについて説明をしてください。

4.    2020年4月1日付要求書、ならびに2020年4月2日付要求書で団体交渉の開催を要求したにもかかわらず、また群馬県労働委員会の場にて誠実団体交渉の和解協定書を締結したにもかかわらず、貴社は団体交渉を拒否して、2020年4月13日の全体説明会を開催しました。明白な不当労働行為と当労働組合は認識しています。謝罪をしてください。

 中央タクシーは、3月末に、雇用調整助成金の申請をするので、6月いっぱいはとりあえず6割の休業手当でがまんしてほしいと群馬営業所の従業員に説明したばかりでした。ところが、群馬合同労組の団体交渉開催の申し入れに対して、「緊急事態宣言」を口実として団交を拒否、組合員だけ排除して、他の従業員に解雇の合意を取り付け、4月13日の説明会を準備したのでした。

 説明会に対して群馬合同労組は、抗議と宣伝の行動を行いました。会社は、「施設管理権」を口実に「敷地に入るな」と騒ぎ、警察に通報して、弾圧を企みました。説明会に参加した労働者が組合にオルグされることを恐怖したのです。組合は、これは会社と労働組合の問題、警察は「民事不介入」の原則を守れと警察に抗議しました。警察官も共感してしまう状況でした。

 中央タクシーは、固定残業代制度を悪用し、規制緩和でグレーゾーンであった乗合タクシー事業・空港送迎便に企業としての生き残りを賭けてきました。しかしその実態は、過労死を招くとんでもない過酷労働でした。その中で3人のドライバーが立ち上がって、群馬合同労組に結集しました。これまでパワハラで労働者の不満を押さえつけるのが中央タクシーのやり方でした。組合つぶしのために、運転業務を外して「千羽鶴」を折らせる、固定残業代の「稼働手当」8万円のカットなどなど、悪辣な不当労働行為と5年間闘ってきました。組合は、団体交渉、労基署への違反申告、抗議行動、順法闘争、労働委員会闘争、裁判闘争、ストライキなど、あらゆる手を尽くして闘ってきました。長野の本社抗議行動や長野市内デモも闘いました。労働委員会闘争に勝利しました。職場や労働条件は、分会の闘いで大きく改善されました。

 これらの地平の上に2018年秋には、ついに分会を中心とした過半数組合の結成へと進みました。この意味は、とても大きなものがありました。

 しかしこの大前進に対する、大きな反動が起こります。分会長に対する個人襲撃事件でした。未明の暗闇の中、出勤のために家を出た分会長が背後から木刀のようなもので襲撃されたのです。再婚して、新たな生活を始めたばかりの分会長でした。新居を知っているのも、出勤時間を知っているのも、ごく限られた会社の人間でした。その後も新居に対する破壊活動が繰り返されました。

 この事件をめぐる団体交渉で、労災申請を拒否する一方、会社はしきりと、警察に被害届を出すべきだと執拗に繰り返しました。あとで判明するのですが、被害届を出していたら、組合を脱退した元組合員が容疑者として、逮捕される証拠を会社は用意していました。

 こうした激しいやり合いの中で、結果としてフラッシュバックに苦しむ分会長は退職して、新しい闘いを開始しました。

 しかし、どちらが勝ったのかは明白でした。4月13日の抗議行動の先頭には、元分会長が立っていました。「ゲームオーバーだ!社長!」との怒りの一声に、宇都宮司社長は激高して、「出て行け!」と元分会長に突っかかってきました。

 この闘いは、資本家階級が未来の主人公なのか、労働者階級が主人公なのか、が、かかった闘いなのだと思います。元分会長は、3月27日のAGC株主総会行動にも参加してマイクを握りました。労働者が解雇される、それがどんな苦しみなのかわかるか!労働組合を作ったことで解雇される、こんなことは絶対に許すことができない!

 中央タクシー分会の闘いは、続きます。それは労働者階級が、絶対に屈しない存在だということ、労働者階級が資本家階級を打ち倒して、自分たちの社会を建設することが可能であることを示すでしょう。

 4月13日に、前橋地方裁判所で、組合員のTさん、元組合員のSさんが原告となる、中央タクシー割増賃金等請求裁判の一審判決がありました。

 判決文が手に入りました。

 Tさんには38万円あまりの割増賃金(残業代等)の支払いと、同額の「付加金」の支払いを命じました。Sさんについては訴えを棄却しました。

 驚いたことがいくつかあります。

  • 固定残業代を容認したこと。固定残業代については、いくつもの裁判が闘われてきました。3月30日に国際自動車の残業代裁判で最高裁で逆転勝利判決がありました。今回の中央タクシーの判決は、肝心な固定残業代を、賃金規程上の不備を前提にしても、労働者に説明していたなどの理由で容認する反動判決でした。やはりこれは認めがたいものです。
  • 休憩時間か、労働時間か…待機時間をめぐる争点で完勝しました。「始業時刻、終業時刻及び休憩時間に関する原告らの主張を採用するのが相当」との裁判所の判断が示されました。T組合員の詳細なメモ・記録が決め手になりました。
  • 付加金が認められたこと。「群馬営業所においては,営業所ぐるみで,1日の拘束時間を16時間,走行時間の前後合計1時間を拘束時間とすることを前提として乗務員に対し,15時間を超える走行時間をタコグラフ記録に残さないように記録用紙を抜く等の指示をしていた」などと認定、T組合員に対して、残業代と同額の付加金の支払いを判決しました。

 裁判に勝っても、会社が倒産したり、資産がなければ、ゼロになってしまうという、厳しい現実があります。しかし、労働組合が断固として団結して闘いを前に進めることでしか希望は生まれないでしょう。

 最後に、判決から、労働時間の認定について、判決を紹介しておきます。

2 争点2(原告らがした時間外労働等の時間)について

 (1)前記前提となる事実に証拠及び弁論の全趣旨を総合すれば、次の事実が認められる。被告代表者の代表者尋問における供述中、これに反する部分は、採用することができず、他にこれを覆すに足りる的確な証拠はない。

 ア 原告らの乗務開始前の準備作業

 原告らは、乗務開始前、乗務車両の鍵の受領、ETCカードの準備、運行前点検等のほか、次のような準備作業をする必要があった。

(ア)ジャンボタクシーは予約制であり、群馬営業所から予約顧客宅まで車両を回送して迎えに出向く必要があり、通常、複数の予約顧客宅に順次出向き、乗車させることとなる。そのため、乗務員は、予約顧客ごとに住宅地図を使用して経路を探知し、送迎時刻に遅延しないよう、顧客宅近隣の待機場所を探知する等の準備作業が必要であった。

(イ)被告の乗務員に対する配車伝票は、原則として乗務3日前に交付されるが、その後、急な予約顧客の追加、突発的キャンセル等の変更が発生する。そのため、配車伝票に基づき上記(ア)の経路探知等を終えても、事後的かつ五月雨式に経路探知等の準備作業が必要となり、経路探索等の準備作業は相当程度煩瑣であった。

(ウ)経路探知等の作業は、運転中に行うことはできず、住宅地図や配車伝票が群馬営業所内に保管されていることから、原告らは、主として群馬営業所内で乗務開始前等の乗務時間外に行っていた。

(エ)原告Tは、以上のような準備作業をタコグラフ記録上の走行開始時刻のおおむね40分から60分まで前に群馬営業所に出勤して行っていた。原告Sも、実情はほぼ同様であった。

イ 原告もの上里サービスエリア、成田空港及び羽田空港における待機時間

(ア)原告らは、①長野方面(上信越自動車道)又は新潟方面(関越自動車道)から羽田空港又は成田空港に向かう顧客を上里サービスエリアで出迎え、顧客を車両に乗り合わせた上で、羽田空港又は成田空港まで運送する業務、②羽田空港又は成田空港で顧客を車両に乗り合わせた上で上里サービスエリアまで運送する業務、③群馬県内から羽田空港又は成田空港に向かう顧客宅に出向き、その顧客を顧客宅かち上里サービスエリアまで運送する業務、④羽田空港又は成田空港から帰宅する顧客を上里サービスエリアで出迎え、群馬県内の顧客宅まで運送する業務に従事していた。いずれについても、上里サービスエリアが重要拠点であり、「ドッキング」と呼ばれる業務を上里サービスエリアで行っていた。

(イ)上記(ア)①の業務は、長野方面又は新潟方面からの顧客が一定の時間帯に上里サービスエリアに到着することを予定するが、予定通りに到着するかどうかは、道路事情、天候等に左右される。乗務員は、時により、連絡を取り合い、状況把握に努めることとなる。早めに到着する顧客もあれば、遅延する顧客もあるところ、乗務員は、顧客が到着する都度、荷物を持った顧客がタクシーに乗り換える際の補助をし、顧客に適宜の休憩をとらせることになるが、タクシー内で待機する顧客がある場合、顧客の荷物を積載したタクシーを離れて自由に行動することは困難である。

 このように、ジャンボタクシー運転手の上里サービスエリアにおける待機時間は、通常のタクシー運転手の客待ち時間とは業務内容が大きく異なり、労働密度は通常のタクシー運転手の客待ち時間よりも濃密である。また通常のタクシー運転手の待機時間は場所的拘束を伴うことが少ないが、ジャンボタクシー運転手の場合には、上里サービスエリア内という場所拘束を伴うこととなる。

(ウ)上記(ア)②の業務においては、乗務員は、顧客を出迎えるため、羽田空港又は成田空港の航空機(国際便)の到着時刻前に、タクシーを駐車した上で、被告が顧客に指示した出迎え場所まで徒歩で移動しなければならない。被告は、この場合の駐車場所を空港内に確保していない。乗務員は、空港内のタクシー送迎場所に長時間駐車することはできず、また、警察が空港周辺の路上駐車を比較的厳しく取り締まることから、路上駐車で時間を過ごすこともできない。空港周辺には、空港利用者向けの有料駐車場(駐車開始後30分まで無料)があるが、被告が30分経過後の駐車料金を全額負担することはなく、被告は、乗務員に対し、無料駐車時間の範囲で対応するよう指示をしている。さらに、国際便が到着予定時刻に到着することは少なく、到着時刻の変更が生じることが多い。

 乗務員は、待機時間中、航空機の到着時刻の変更をこまめに確認しなければならず、かつ、路上駐車をすることも困難であるため、長時間にわたる場合でも、労働から解放されて、待機時間を自由利用することはできない。

(エ)上記(ア)③及び④の業務は併せて命じられることも少なくない。このため、上里サービスエリアでは、顧客の入れ替えが必要となり、入れ替えの対象となる顧客が予定時刻通りに到着するものではないことから、上記(ア)①の業務と同様の状況となることが多く、場所的拘束も強く、かつ、待機時間の自由利用は保証されない。

ウ 車両整備等に要する時間

 原告らは、乗務終了前に、ガソリンスタンドで給油等を行う。群馬営業所に帰庫した後は、タコグラフの提出、ETCカードの返還、車両内部の清掃、一定の装備に関する安全点検を行う必要があり、時にはオイル交換をすることもあった。また、乗務記録を被告に提出する等の事務作業も必要であった。帰庫後の車両整備等に要する時間はおおむね60分程度であった。

エ 走行終了時刻(走行時間)の偽装

 遅くとも原告らが被告との間で労働契約を締結した頃以降、群馬営業所においては、営業所ぐるみで、1日の拘束時間を16時間、走行時間の前後合計1時間を拘束時間とすることを前提として乗務員に対し、15時間を超える走行時間をタコグラフ記録に残さないように記録用紙を抜く等の指示をしていた。

(2)以上によれば、始業時刻、終業時刻及び休憩時間に関する原告らの主張を採用するのが相当であり(時間外労働等の時間は、別紙T時間計算書及び別紙S時間計算書各記載のとおりとなる。)、稼働手当を割増賃金の既払分として控除すると、原告Tの割増賃金の残額は、別紙T割増賃金計算書(認定)「合計」欄記載の金額となり、原告Sの割増賃金の残額は、別紙S割増賃金計算書(認定)「合計」欄記載のとおり、0円となる。

………

待機時間が労働時間なのか休憩時間なのか、そもそもこれだけ会社の認識が違っているというのに、固定残業代で残業代等の割増賃金は支払われているとの判決は、どう考えても自己矛盾でしょう。

3月30日の国際自動車事件の最高裁判決をも武器にして、ギリギリまで闘い抜きたいと思います。ご支援をよろしくお願いいたします。

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