群馬県労働委員会群馬バス不当労働行為救済命令について


群馬県労働委員会群馬バス不当労働行為救済申立併合事件の

救済命令についての声明

2019年6月19日

群馬合同労働組合

 昨日、私たち群馬合同労働組合の群馬バス分会が、株式会社群馬バスを相手に争ってきた群馬県労働委員会での不当労働行為救済申立事件の「命令書」(救済命令)が交付されました(群労委平成29年(不)第1号・同29年(不)第2号・同29年(不)第4号株式会社群馬バス不当労働行為救済申立併合事件)。群馬バス分会は、解雇された分会長を入れて3人のドライバーで組織しています。2016年夏に分会結成し、以来分会つぶしの不当労働行為を受けてきました。今回、あわせて7件の申立に対して、4件について、会社の不当労働行為を認定して救済するように命令が出されました。基本的には、団結権の擁護という立場に立って、株式会社群馬バスの不当労働行為を認定して、重要な救済を命令してくれました。しかしながら、M分会長の解雇をはじめ、O副分会長の停職処分など3件については不当労働行為を認定しませんでした。これは組合つぶしと現場で必死に闘ってきた組合の立場としてとうてい納得できません。今日の司法状況の限界を痛感します。しかしこれにくじけることなく、現場の組合運動を軸として、労働組合運動の発展のために今後も活動していく決意です。以下、命令の内容に関する群馬合同労働組合の立場を明らかにします。

  • M分会長の解雇について。

命令書は、2019年3月15日付解雇を不当労働行為ではないと結論付けました。私たちは、M分会長の解雇こそ、最大の不当労働行為であるという立場で闘ってきました。この結論には大きな怒りと失望を禁じえません。

命令書も書いている通り「本件のMの行為は…現実に事故を発生させるおそれはない。また、…検出されたアルコールの量も必ずしも多いとはいえず…解雇という制裁措置で臨むことは社会的相当性の観点からの疑義を否定できない」ものでした。

また本件事件の7件の申立中4件で不当労働行為が認定されていることからも、会社の不当労働行為意思は明白に認定されました。にもかかわらず、M分会長の解雇撤回がなされなかったことはとうてい納得がいきません。

組合としては、「勤務時間前8時間以内」に飲酒した場合、呼気中アルコール濃度が「酒気帯び」基準の0.15mg/lに満たなくとも「懲戒解雇または諭旨解雇」とするという会社規定は、M分会長も他の組合員も知らず、無効であると主張しました。知らないから事情聴取で自分で申告した時間で解雇される羽目になったのです。また以前の最終飲酒時間に関するアンケート調査で、8時間以内に飲酒したと回答しても大きな問題とされなかった事例も明らかになりました。ところが、群馬県労働委員会の命令は「(規定が)周知がされているならば、個々の従業員がそれを知っていたかどうかはその効果に影響を及ぼすものではない」と断じました。

しかし判例でこうだから、という理由では、労働者の団結権は守れません。実際にこの規定を読んでも、ほとんどの労働者が理解できないような条文なのです。この人手不足の中、群馬合同労組の組合員でなければ、会社が事前にこの規定のことを教えて、解雇には至らなかったのではないかと思わざるをえません。M分会長はだまし討ちのようなやり方で解雇されたのです。団結権とは、実際には、このような形で侵害されているのです。

私たちは、この不当な命令に対しては、M分会長先頭に、現場での組織拡大と、あらゆる職場に団結を拡大する闘いで応えます。決して群馬バスのM分会長不当解雇を許すことはありません。

  • O副分会長に対する休日出勤差別について

群馬バスはM分会長を解雇して間もない、2017年5月から一方的にO副分会長を法定外休日労働をさせないという暴挙を行いました。それにともなう給与の減額は月25,000円近くになりました。命令書は「会社がOを休日勤務指定の対象から除いた目的は、会社と激しい対立関係にあった組合の分会副分会長であるOに対し経済的不利益を与え、組合の活動を牽制しようとすることにあったと認めざるを得ない」と判断しました。そして減額された給与相当額を支払うように命じました。適切な判断と受け止めます。

  • O副分会長に対する停職処分について

2017年6月9日にO副分会長が経路間違いを行い、ミスに気づいて踏切停車中に運行管理者に携帯電話で報告したところ、踏切が開いて、携帯電話で通話しながらバスを出発させてしまいました。この件に関して、群馬バスは7日の停職処分を行いました。組合は不当に重い処分であり、不当労働行為であると救済を申し立てました。

命令書は「就業規則に該当するものとして、同規則に基づいて行われた処分であると認められ、不当な根拠に基づく処分であったとは認められない」「会社が組合に対し嫌悪感を有していたとしても、これが本件停職処分の決定的動機であるとは認められない」と判断しました。

M分会長の解雇同様、この携帯電話の運転中の使用も、ドライブレコーダーのチェックでまるであら探しのように見つけ出して処分しました。最初から最後まで、O副分会長に対する見せしめのようなやり方が行われ、経済的に大きな打撃になりました。この命令も納得ができません。二度とこのようなことを許しません。

  • 会社が2017年4月以降に従業員と締結した雇用契約書に「日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他団体」云々の誓約事項を追加したことに関して

命令書は以下の通り、不当労働行為と認定しました。良識ある判断です。

「本件誓約事項は、会社が新たに雇用される従業員が組合に加入することを躊躇させ、本件組合の組織拡大を阻止し、現時点における組合の影響力を削ごうとする意図を持って、あるいは、少なくともこのような効果を視野に入れて敢えて追加したと推認されることから、会社が雇用契約書に本件誓約事項を追加したことは、組合の運営に対する支配介入であって、労組法第7条第3号の不当労働行為に該当する」

「被申立人は、本命令書受領の日以降、従業員との間で『日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他団体を結成し、又はこれに加入いたしません。』及び『日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他団体の傘下、下部組織又は影響下にある組織に加入いたしません。またそれら組織の構成員又は支持者と契約行為はもとより、関与、接触いたしません。』という内容を含む雇用契約を締結してはならない。また、被申立人は、既に従業員との間で締結した雇用契約について、当該規定をなかったものとして扱わなければならない。」

「被申立人は本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容(※前文と同じ内容)の文書を55センチメートル×80センチメートルの白紙に楷書で明瞭に記載し、会社の全ての事業場の従業員が見やすい場所に、10日間掲示しなければならない。」

  • 会社が就業規則等を組合に交付しないことについて

命令書は以下の通り、不当労働行為と認定しました。良識ある判断です。

「被申立人は、申立人から申立人組合員の労働条件又は未払賃金の確認をするための団体交渉の申入れがあったときは、就業規則、三六協定等の当該団体交渉に必要な資料を交付するなどした上で、これに誠実に応じなければならない。」

「一般的に、労働組合等において、自らに所属する組合員の労働条件に関する事項について法令違反その他取扱い上の不備がないかどうかを調査点検し、団体交渉を通じてその是正改良を求めることは、日本国憲法第28条の団体交渉権に含まれ、正当な組合活動であると解するのが相当である。特に、結成間もない労働組合がこのような活動を行う場合においては、その必要性が高いことから、原則として会社には、誠実交渉義務の観点から上記活動に対して一定の協力をする義務が生じるというべきである。そして、当該活動に必要な資料について、労働組合からの提供要求に応じることができない正当な理由がある場合には、当該労働組合に対し、その正当な理由を充分に説明することが必要となる。」

「ダイヤグラム及びそれぞれのダイヤグラムのハンドル時間・中休時間を記した書類の性質をみると、組合員の日々の勤務の状況を確認するために必要な文書であるといえる。そうすると、これらの文書は、組合員の労働時間及びそれに基づく賃金計算が実際に上記の就業規則及び三六協定に照らし適正であるかを確認し、未払賃金が存在しているか否かを確かめるために、組合にとって不可欠な資料であるといえる。したがって、ダイヤグラム及びそれぞれのダイヤグラムのハンドル時間・中休時間を記した書類は、第3回団体交渉の際に、組合の要求に応じて会社が提供すべき資料であったといえる」

「団体交渉は、原則として、労働条件に関する合意形成を目指して行われるものであるが…組合が…組合員の労働条件が法令等に照らして適正に規律されているか否か、また、実際に業務を遂行する過程において法令及び就業規則等に定められた基準が遵守されているか否か検証する場であるともいえる」

  • 会社がOに対する不利益取扱いを議題とした団体交渉を拒否していることについて

命令書は以下の通り、不当労働行為と認定しました。良識ある判断です。

「時機の観点からも、団体交渉の必要性の観点からも、直近の団体交渉で確認された事項につき直ちに改めて団体交渉を行う必要はないとする会社の主張は、採用できない」

「団体交渉は、その制度の趣旨からみて、労使が直接話し合う方式によるのが原則というべきであり、書面の交換による方法によって誠実交渉義務の履行があったということができるのは、直接話し合う方式をとることが困難であるなど特段の事情があるときに限るべきである(最高裁判所第三小法廷5年4月6日判決。清和電器産業事件)。よって、そのような特段の事情が認められず、書面による回答のみを行っていた本件においては、事実関係を回答すれば足りる事項につき団体交渉を行う必要がないとの会社の主張も採用できない」

  • 会社が、組合からの2017年9月28日付け要求書に対して、回答していないとされることに関して

命令書は、不当労働行為と認定しませんでした。

「団体交渉を行うに当たっては、労使双方とも誠実な態度で臨むべきであることは当然であるが、要求書が団体交渉の開催と直接関係するものでない以上、当該要求書への回答を行わないことをのみをもって団体交渉を拒否したということはできない。」

  • 以上、見てきたように、本件命令書は、最大争点であるM分会長の解雇を不当労働行為と認定しなかった点において、許せないものです。7件の申立の内、4件を不当労働行為として認定していることからも、株式会社群馬バスの群馬合同労働組合に対する組合破壊の不当労働行為意思は明確でした。であるにもかかわらず、解雇撤回は認めないというのは納得ができません。

 しかしながら、私たち群馬合同労働組合は、解雇されたM分会長、2人の現場の組合員が、このような激しい組合つぶしに負けずに、団結して闘い抜いてきたことこそが勝利であると総括しています。結成間もない分会に、次々と不当な攻撃が襲いかかりました。会社とユニオンショップ協定を結ぶ群馬バス労働組合も、群馬合同労組の組合員に対して、話をするな、あいさつもするな、と会社といっしょになって組合つぶしを行いました。これらの攻撃に対して、負けずに、労働委員会をも闘いの軸に位置づけてがんばってきました。この労働委員会の申立をして闘わなければ、今分会はなくなっていたかもしれません。

 現在バス業界は、人手不足なのに、労働条件は最悪、こんなに働いて、なぜこんなに給料が安いのか、その理由もわからず、公共交通だといって奉仕を強いられます。私たちは、労働者が、社会を動かしている当事者であり、労働者が団結して、人間らしく生きられる社会を目指します。今回の群馬県労働委員会の救済命令は、そういう意味で大きな力になります。群馬合同労働組合は、今後も、群馬バスの職場、交通運輸労働者の労働条件の改善、労働組合運動の前進のために団結して闘います。ご支援・ご理解のほどをよろしくお願いいたします。

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