改ざんされた就業規則は無効!上州貨物自動車の懲戒処分を許さない!
2023年6月12日(月)、上州貨物自動車との第3回団体交渉が開催された。この団交で会社は、2人の組合員に懲戒を出すという結論は決まっている、内容はこれから経営陣で決めるとした。そして、懲戒を出す前に2名の組合員に退職を勧奨すると通知した。組合と2名の組合員は断固としてこれを拒否した。どうしても会社は組合員を追い出したいようである。自宅待機命令明けの5月26日、会社は「懲戒とは別で」2人の組合員を本社と太田営業所へ配置転換を命令したばかりであるが、状況は懲戒処分をめぐって一気に切迫している。
しかし今回の団体交渉で重大なことが明らかになった。懲戒の根拠となる就業規則が書き換えられていたのだ。その時期は去年の11月28日頃。群馬合同労組が要求書を提出して組合通告をしたのが10日前の11月18日である。組合通告に対して、組合員を解雇するために就業規則を書き換えたことは明らかだ。さらにそれを、記録にも残さず、周知も行わず、従業員がわからないように改ざんしたのである。この改ざんされた就業規則で組合員を懲戒処分するということなのだ。
上州貨物自動車は「就業規則違反だ」「懲戒だ」と騒ぎながら、就業規則の写しを組合に提出せよという要求をかたくなに拒んできた。交渉に必要な個所を求められれば、その部分を提出するというのであるが、なぜ全体の提出を拒み続けたか、理由があったわけだ。群馬県労働委員会で調査が始まっているが決定的な証拠である。
2人の組合員に自宅待機命令が出され、会社は組合の求めに応じて自宅待機命令と懲戒の根拠となる就業規則の部分だけを提出した。ところが、これには労基署への届出印がなかった。そこで組合員が高崎労基署へ行って、届出のある就業規則の閲覧を申請して、確認をした。すると自宅待機命令書に書いてある「当社就業規則第38条123号の服務規律」が労基署に届け出た就業規則には存在しないのである。第80号までしかないのだ。
今回団体交渉の要求事項として、①現在の就業規則の最後の改定はいつであるか、②改定にあたり、改定した(する)こと、ならびに改定した部分を従業員に周知したか否か、③現在有効とする就業規則を労基署へ届け出ているか、についての回答を求めた。その回答は、①2022年11月、②従業員向け「通知書」を出した、③届け出ていない、だった。そして別紙として2022年11月28日付「執行役員 高崎営業所長 K」の名前の「通知書」が添付されてきた。これには「早速ですが、弊社顧問社労士より育児介護に関する法律が10月に刷新されたことを受け弊社就業規則についても現行法律に基づいて見直しをいたしました。刷新されました育児介護に関する就業規則を差し替えさせていただきましたので周知させていただきます。以上」とある。
就業規則を2022年11月に改訂して労基署に届け出ていなかったことは労基法違反である。しかし周知している就業規則があるならばその就業規則が有効であるとされる。しかし、変更を周知せず、記録にも残していないとなるとこれは明白な改ざんである。
しかも会社はこの改ざんの事実を隠そうとした。団体交渉の中で組合が2022年11月に改定したのはどこかとただすと、朝妻弁護士が通知書にある通り、昨年11月28日に育児休業に関する部分を差替えたと答える。組合がそこだけだということで間違いはないかと再度ただすと、朝妻弁護士も「ええ」と答え、K所長に「いいですよね?」と確認をする。そうするとK所長と佐藤賢一社長が小さな声で、「いや、いくつか変わってます」と答える。しばし沈黙。「リハビリ勤務制度」を追加したとやっと答える。「じゃあそこだけですね、間違いないですね?Kさん?」と組合がただすと「そうですね」と答えるK所長。組合がじゃあ、と続けようとすると、K所長が「補足させていただくと、取りまとめって言うんですかね、例えば懲戒部分にしても、その取りまとめって言うんですかね、…圧縮っていうんですか、懲戒部分の取りまとめ…」とごちゃごちゃ言い出した。組合が「懲戒部分を変更しているんですか?」とただすと「そうですね」とやっと認める。マンガだ。組合は服務規律が変わっていることを知っている。
組合が、変更したら周知しなければいけない、だから育児休業の規定については「通知書」を出して周知した。しかし、懲戒部分について変更したのに通知書を出していないと追及する。会社は、変えたというより一つにまとめただけだと逃げようとする。佐藤社長が「処分に対して、この項目はこの処分、この項目はこの処分っていう風に分かれてたのを、そこを一まとめにしてある」と言う。それはどんな項目でも解雇できるようにしたということではないのか?しかも懲戒にもかかわる服務規律が80項目から124項目に大幅に増えている。佐藤社長は同じ日付の就業規則の古いバージョンと新しいバージョンがあると言った。組合は、変更箇所がどこであるのか、変更前と変更後の就業規則を提出するように要求した。
組合が自宅待機命令が出された時に要求して提出されたバージョン2の就業規則によると、「会社施設内や勤務時間中に政治・宗教活動・社会活動、労働組合活動等を行ったとき」には「会社の判断で、訓戒・減給・出勤停止・降格・諭旨解雇・諭旨退職・懲戒解雇のいずれかの懲戒処分を科す」とある。会社は今回の団体交渉の中で「退職勧奨」を行って、懲戒と解雇の意思を示した。群馬合同労組は、不当労働行為、不法行為として、解雇の狙いを絶対に粉砕する。
懲戒について、会社は内容はまだ決まっていないが出すことは決めているという。会社は2名を「就業時間中の組合活動」の嫌疑をかけ、2名に最大2カ月の自宅待機命令を出した。もう何日しか残っていない頃になって、会社から「弁明の機会」を設定するので5月22日に佐々木法律事務所に出頭せよとの「召喚状」が2名に届いた。弁明の機会だと書いてあるので弁明書を持参して、佐々木弘道弁護士に面談した。佐々木弘道弁護士は事実確認を依頼されているだけで弁明の場ではないといい、「召喚状」は会社のしろうとがつくったもので、理解に問題があるといい、自分は事実確認だけをするとした。しかしその事実確認も、話をした従業員の名前を間違えていたり、高崎営業所を本社と間違えていたりするもので、事実確認として大問題である。何より、事実確認の中に自宅待機命令書には記載されていないその後の組合としての抗議活動や申入れ行動の件が懲戒事由に付け加えられているのにも驚く。自宅待機で組合員2名が出勤しない間に会社がやったことは、高崎営業所の従業員から「陳情」書を出させて取りまとめ、配置転換と懲戒の材料を作ったことだ。
団体交渉の中で、懲戒を決定するのは、どこの場で決定するのかとただすと、朝妻弁護士が「ここに(会社側団体交渉参加者)に狩野会長を加えて」決めるという。公明正大にやると言って事実確認を第三者の弁護士に依頼して、結局この人たちで決めるのだ。とんだ茶番と言うしかない。
懲戒の嫌疑をかけられている事実はすべて群馬合同労組の組合方針に基づいた組合活動である。K高崎営業所長は3年前まで労働組合の委員長をしていたのだから、不当労働行為くらいは知っているだろう。不当労働行為というのは、組合差別である。この組合差別というのはK所長が組合委員長をしていた時の組合員と、群馬合同労組の組合員に対する扱いが違っていれば、差別的取り扱いだということだ。労働組合法違反で救済命令が出されるのは時間の問題だ。少し時間はかかるが、必ず解雇であろうと何であろうと、懲戒処分は撤回させる。
会社は、自宅待機命令が明けた5月26日に、2カ月ぶりに出勤したA分会長に対して高崎の本社への配置転換、B副分会長に対して太田営業所への配置転換を命令した。これを撤回せよとの要求に対して、会社は拒否回答を行った。
理由は、「従業員らから陳情の存在」、「両名が高崎事務所事務室にて代理人清水殿をして従業員に対して恐怖心を与えた行為」等だという。「異動がやむを得ない状況」であり、「業務環境を整えるために実施」したものであり適法だというのである。組合委員長が申入れを行った行為が組合員の配転の理由なのだそうだ。
これまでも何度も書いてきたが、2人に対する自宅待機命令は、そもそも「就業時間中の組合活動」が事実ではないこと、自宅待機命令は2カ月を上限として、当初賃金を無給ないし6割支給とする実質的な懲戒処分であったこと、期間が「2022年」とあり間違っていたこと、などから到底受け入れられるものではなかった。配置転換の理由とされている清水委員長が2人と共に高崎営業所事務所に申入れに行って、申入れと抗議を行った行動は、労働組合として当然の正当な行為である。これを理由とする配置転換は明らかな不当労働行為であり、組合は群馬県労働委員会への追加救済申立を準備している。
今回の団体交渉でさらに驚いたのは、K高崎営業所長は、これまでも「みなし残業」が40時間含まれているとして、自ら残業代の計算をしてきたと明言したことである。これは2019年8月20日の「覚書」に基づくというのだ。この「覚書」は、団交で会社側で並んで座っている佐藤賢一代表取締役社長と当時運輸労連上州貨物自動車労働組合執行委員長だったK高崎営業所長の二人の合意書である。合意したのならば会社が雇用契約書や賃金規程に明記すればいいだけである。朝妻弁護士は、「紙には書いてない」と認めた。知っているのはごく少数に過ぎない。
会社は、この問題の「覚書」を作文したのがK氏であることを認めたが、当時の高崎営業所の管理者は、「会長のご子息」であったとして、責任逃れを図っている。
驚くことがまだ続く。会社がA分会長に残業代を支給した月があったことを、組合は問いただした。K高崎営業所長は、「私の職権で残業代を手当て」した、実際は40時間をこえてなかったかもしれない、出さなくていいものを出して会社に損害を与えてしまった、自分自身が「処罰の対象になる」と認識していると言うのだ。しかも繁忙期にはこういう事例は多数あったというのである。残業代を払ってもらうことに、労働者は文句はない。しかし、基準もはっきりしないで、K所長の「職権で手当」してたというのだから、これほどあからさまな差別はない。K所長のお気に入りになれば、「職権で手当」してもらえるのではないのか?との疑念がわく。いや、自分の職権で自分に残業代を出しているのではないか?との疑念もわく。今後この調査と解明を求めなければならない。
また、今回の要求書で組合は組合員の残業代を請求した。①明記されていない月40時間の「みなし残業」、②インチキな残業代の計算方法、③泊まりの長距離業務の時に1日目の終業点呼と2日目の始業点呼を行っていないなどの会社の労働時間管理上の問題、など問題は大きい。組合の要求に従って、タコグラフと出勤簿と給与台帳の写しを会社は提出した。雇用契約、労働条件の問題も含めて、組合はすでに裁判の準備を始めている。職場の怒りと力を結集して、K所長を打倒しよう。
5月G7サミットでは、交戦国のゼレンスキー・ウクライナ大統領を呼んで、被爆地・広島からウクライナ軍事支援・戦火拡大のG7・主要国の勢いが加速した。ウクライナの反撃が始まり、戦火が拡大している。日本政府によるロシア・中国・北朝鮮を敵国扱いする戦争体制が急速に作られている。戦争反対を訴える街頭宣伝に、人を殺すために自衛隊に入ったのではないと自衛官からの相談が続いているらしい。
関西生コン支部への弾圧など、現場から闘う労働組合つぶしの攻撃が激しい。韓国でも米日韓の戦争体制に動くユン・ソンニョル政権による労働組合破壊が激しく、韓国の労働者の命がけの闘争が続いている。
こういう時代には、労働者は自らの生活のために苦しくても団結して闘うしかない。上州貨物自動車分会の仲間への攻撃を許さず、必ず守り抜こう。みなさんのご支援をお願いします!