脱法行為を「労使」で「覚書」!あきれた上州貨物自動車~第2回団交報告

2 4月 by gungoroso

脱法行為を「労使」で「覚書」!あきれた上州貨物自動車~第2回団交報告

 3月31日(金)16時から高崎市総合福祉センターで上州貨物自動車(株)との第2回団体交渉が開かれた。会社からはK高崎営業所長、朝妻太郎代理人弁護士(新潟の一新総合法律事務所)、薄田真司弁護士(同)の3名、組合からは上州貨物自動車分会の3役3名、及び本部委員長と書記長の5名が出席した。

 部屋に入ると、団交の場にビデオカメラが設置されている。どういうことかと説明を求めると、前回の団交で施設への影響があった、不穏当な発言があったから記録に残したいという。冗談じゃない。会社に問題があるからそうなった、知りもしない朝妻弁護士が当事者であるK所長の回答を遮って妨害したから大声になった、事前の申し入れもない、だから理由はなく不誠実なので同意はできないと抗議。撮影を許さなかった。

 最初に、要求書で要求した賃金規程と年俸制に関わる規定の写しを提出させる。賃金規程といっしょに出てきたのが、「覚書」と題された書類だ。これまた驚いた。2019年8月20日付で上州貨物自動車・佐藤賢一社長と「運輸労連上州貨物自動車労働組合 執行委員長 K」が締結した「覚書」である。一方の佐藤賢一社長は、団交にも出たことがなく、不当な自宅待機命令を受けて、組合が話し合いを求めて訪問したら「話すことはありません。110番通報します」と話合いすら拒否した社長だ。もう一方の労働組合執行委員長とは、目の前にいる、団交の責任者、現在の高崎営業所長・Kである。Kは2019年8月に会社と「覚書」に調印して、1カ月あまり後、その年の10月には営業所長にくら替えしている。労働組合は解散した。

 「覚書」には1として「年俸額480万円(大型車両)、519万9996円(特大車両)とする」とあり、2として「みなし残業として40時間は月割賃金に含まれているものとする」とある。3として「時間外賃金に対し正規時給にての割増賃金は会社経営を圧迫する点を考慮、月平均賃金より時給を算出、割増分を計上して支払うものとする」、4として「3項を締結するにあたり、時間外労働が発生しない様に管理者に対し徹底させることとする」とある。

 40時間分の残業代が「みなし残業」として年俸額に入っていることを「覚書」で確認したというのだ。しかしそんなことは雇用契約書にも賃金規程にも書かれていないことは代理人も認めた。就業規則や雇用契約書に定めていない「みなし残業」は違法である。組合員3名は誰も聞いたことがない。

 前回の団交で、組合はM分会長の割増賃金の計算が間違っていると指摘した。時給を計算するのに、所定労働日数で割るのではなく、30.5日で割って時給を出しているので、それは間違いだと組合が指摘をした。これに対してK所長はなぜこうなっているのかわからない様子で、回答を留保した。しかし、この計算方法は間違っているのではなく、この「覚書」通りの正しい計算方法だということなのだ。「正規時給にての割増賃金は会社経営を圧迫する点を考慮」して、「月平均賃金より時給を算出、割増分を計上して支払う」、つまり所定賃金を所定労働日数、例えば22日とかで割るのではなく、30.5日で割って日額を出し、さらに8時間で割って時給を算出するというのだ。賃金規程には書けない違法な計算方法を意図的に採用していたということなのだ。

 「覚書」で月40時間は「みなし残業」とする、つまり基本給は月額40万円ではなくて31万あまりということであり、さらに残業代の計算方法は違法な計算方法で安く算出する。このような違法行為・脱法行為を「覚書」と称した「労使協定」で確認したのである。その一方の労働組合は1か月後には解散して、署名当事者のK執行委員長が会社側所長にくら替えすることが示し合わされていたとしか考えられない。

 この会社は、運送事業者に義務付けされている点呼をきちんと行っていない。早朝や深夜は点呼者が不在だし、泊まりの時には中間点呼を行っていない。そもそも業務用の携帯電話も支給していないし、健康状態のチェックなど必要な点呼も行っていない。労働時間の管理をどうやって行うのかと確認するとチャート紙の記録で行うという。これがどうも、「みなし残業」らしい。労働時間の管理をちゃんとしていないのに「みなし」もクソもない。

 そしてこの「3項を締結するにあたり、時間外労働が発生しない様に管理者に対し徹底させることとする」というのである。何のことはない。Kを労働組合の委員長から所長にして、K所長に徹底させることにしたのである。いや、Kが自分がやると名乗りを上げたのかもしれない。おそろしいマンガだ。上州貨物自動車は違法・脱法行為をインチキな「労使」の「覚書」で決め、従業員にも内緒で処理してきたのだ。

 これで全部の構図が見える。

 上州貨物自動車は違法脱法行為を「秘密」とし、徹底した情報統制を行った。脱法行為がばれたら申し開きのしようがない。だから就業規則にも賃金規程にも書かない。書いてない就業規則・賃金規程だって「持ち出し・コピー厳禁」。なんと労働契約書でさえ「秘密書類につき社外漏洩・コピーなどは厳禁とし、漏洩行為者は懲戒処分と違約金200万円以内を請求する」と書かれている。組合に指摘されてこれは消したらしいが。

 M分会長は出勤時間の10分以前は会社敷地への入構を1年禁止されてきた。不当な命令の撤回を組合が求めると、会社は「社内機密情報等持ち出しに関する嫌疑」を理由の一つとして撤回を拒否した。どのような「嫌疑」なのか回答を組合が求めると、「人目を避け、社内にてメモを取っていた」というのだ。M分会長がメモを取ったのは公休日やその日の業務指示についてだけである。言いがかりもはなはだしい。写真撮影やコピーが禁止とされるのはやむを得ない。しかし、メモを取ることまで禁止というのは通らない。例えば組合員に自宅待機命令が出されたときに、根拠規定として「就業規則第38条〇〇号により」と書かれていたが、この条文の説明がない。これを確認するために営業所に行ったが、K所長はメモも禁止した。第38条だけで124号まである。どうやって覚えろというのか?

 上州貨物自動車は、残業時間の管理方法や割増賃金の計算方法という義務的労働条件の大事な部分を、当事者である労働者にも秘密にしておいて、労働者に疑問を抱かせない、秘密を調査するやつなんて容赦しない、という労務管理を行ってきたのだ。それを徹底するのがK所長の役割だったのだ。

 そしてK所長は、M分会長が危険な従業員だとにらんだ。車両点検が10分では足りないなどと会議で発言するM分会長のような従業員は怖くて置いておけない。だからM分会長だけ出勤時間の10分前以前には入構禁止などと不当な差別をして追い出そうとしていた。雇止めか異動か、いずれにしても追い出そうとしていたのだ。そのために契約も昨年知らないうちに1年契約に変えてしまった。皮肉なことにそのような扱いはM分会長を群馬合同労組への加入・組合としての闘いに追いやった。そしてついに組合の闘いでバレたのだ。

 今回の団体交渉で新たに明らかになったことがいくつかある。

 ひとつは、この3月に組合員3名以外は、すでに雇用契約書の締結は終了しているということと、雇用契約の内容は、「期間の定めなし」の正社員の雇用契約に戻したということである。理由を聞くと、一つに、組合との争いになると長期になりコストも高くつく(つまり負ける)ということ。さら従業員の希望が強かったこと(当たり前だ)。それから「今後の会社のあり方」を考えて(社会的にに通用しないのは当然)とのことだ。組合の闘いで非正規化の不利益変更を阻止したのだ。

 もうひとつは、組合員以外の従業員との雇用契約の内容は、「覚書」にある「40時間のみなし残業」を含めた年俸480万(520万)に変更したこと。基本賃金を31万円余りに減額したらしいという情報は組合に入っている。とんでもない不利益変更だ。結局違法脱法行為を居直って、それを正式な雇用契約に書き込んで居直ったのである。

 そして組合員にも、すでに組合員以外の従業員と「合意」したこの労働条件での雇用契約締結を考えているという。ふざけている。

 組合員の自宅待機命令について。

 当初、二人の組合員に対して、この期間は最大60日、賃金は無給(M分会長)と6割支給(N副分会長)との業務命令が出されたが、組合の抗議で100%賃金は支給すると変更された。

 就業規則の自宅待機の規定通りに出したと会社は言うが、これは事実上の出勤停止である、民法に反するとの、組合の抗議に扱いを変更せざるをえなかった。就業規則が民法や労働基準法に反しているのだ。

 調査の対象の「嫌疑」であるが、「就業時間中の組合活動」だという。N副分会長は今年3月10日の就業時間中に、Kさんという同僚に、会社は3月の契約更新時に期間の定めなしの正社員雇用から、1年の有期=非正規雇用に変更しようとしている、雇用契約書にサインしない方がいいと話したことが問題となっている。N副分会長が組合に加入した通知を行ったのは3月5日。加入した理由は、組合に入らないと、この契約変更に応じさせられてしまうと怖れたから。自分だけよければいいとは思わない。だから3月10日に、契約変更には応じない方がいいと同僚のKさんに話したのである。

 しかし、大事なことは、組合に加入してくれとは言っていない、ということである。

 会社は「就業時間中の組合活動」が懲戒規定に抵触するとして、調査を決め、自宅待機命令を出したのだ。ところが、実際は「組合に加入してくれ」と組合勧誘・組合活動は行っていないのだ。代理人に組合勧誘がなければ組合活動ではないだろうと確認すると、そうだという。そもそもがでっちあげなのだ。

 Kさんが「組合に加入してくれ」と言われたと言っているのかと確認すると、それは確認できていないという。冗談ではない。本人に聞けば、すぐにわかる話だ。自宅待機命令まで2週間あった。聞けばすぐにでっち上げがばれてしまう。「嫌疑」をかけ、そのあいだ調査期間だとして、自宅待機命令を出して、その従業員に働きかけを行うかもしれないと言って、他の従業員との接触を絶つ。しかもこれを当初賃金は6割支給の実質的な減給処分としたのだ。組合に関わるとこうなるという見せしめだ。このような組合つぶしの不当労働行為は許さない。群馬県労働委員会への救済申立を行うことを会社に通告した。

 M分会長の嫌疑もひどい。ラインで組合からの契約更新を拒否しようとのメッセージを転送した行為が問題になっている。それが就業時間中であるか否かなど、証拠は残っているのだ。もちろん送ったのは就業時間外である。ところが、朝妻太郎弁護士は、それが相手に届いた時間が就業時間中である可能性があるのだという。こんなでっち上げに加担する弁護士がいるのだ。許せない。

 就業時間外だから正当な組合活動である。しかも組合活動というが、会社がまともに団体交渉を行って違法行為の是正を約束すれば、このような組合活動を展開する必要はなかった。組合は1月中に団体交渉を開いて、3月の契約更新の内容を説明せよ、一方的な不利益変更を行うなと要求してきたのである。会社は、この団交を引きのばし、不利益変更を強行する構えであった。契約更新を仲間が了解してしまえば、元に戻しようがなくなる。組合員は、自分だけよければいいとは思わなかった。会社のやっている契約変更は労働契約法違反で詐欺に等しいと仲間に訴えたのである。どちらが違法行為を行っているのか?

 業務用のグループラインの従業員のアカウントを利用したことが問題だという。そもそも業務用の携帯電話も支給せず、対面点呼も、泊まり業務の中間点呼も行わず、ラインワークスの導入さえ行わず、従業員のラインアカウントを業務用に利用していた会社の問題である。冗談ではない。

 組合は、2022年3月の「契約更新」時に、K所長が説明もせずに、無期雇用=正社員雇用を、1年の有期=非正規雇用に変更したことについて、謝罪はしないのかとK所長に確認した。まずは従業員に謝罪すべきではないのかと。すると、K所長は、黙り込んだ。難しいことは聞いてないと組合が言うと、K所長は、確かにM分会長には説明をしていなかった、しかし全員に説明していなかったとは言えない、と弁解する。組合は、そうかもしれないが、M分会長に説明しなかったのは事実なんだから謝罪すべきではないのかとただす。K所長は答えられず、またしても朝妻弁護士が割って入って助けようとする。結局、これからはきちんと説明するというのみ。謝罪する気はないんですねと確認すると、はい、という。なんという所長だろうか。所長失格である。

 すでに会社はボロボロだ。勝てるような材料など何もない。組合員は、自宅待機命令時間外の早朝に会社前での抗議のスタンディングを続けている。佐藤賢一社長もK所長も許さない。組合つぶしの自宅待機命令を撤回せよ!