3・17群馬バス分会24時間ストへ!
2023年3月3日、群馬バスとの第12回団体交渉が開催された。このままでは生きていけない、退職を考えざるをえないという労働者の切実な声を受けて、群馬合同労組は基本給一律5%のベースアップを軸に賃上げを求めた。このささやかな要求に対して群馬バスは「対応を致しかねます」と回答した。群馬合同労組群馬バス分会は3月17日に24時間のストライキ突入を決めた。群馬バスで働く仲間のみなさんに、群馬合同労組に加入してともに闘うことを呼びかける。
団交のゼロ回答?に怒り爆発
第12回団体交渉には、群馬バスからは前社長が退任して新たに就任した羽鳥社長以下、総務部長、箕郷・榛名・下芝(貸切)・東京の各営業所長、代理人の弁護士2名の8名、組合からはA(箕郷営業所運転手)、B(榛名営業所運転手)、C(貸切センター運転手)、元群馬バス貸切運転手D、委員長、副委員長、書記長、執行委員Eの8組合員が出席した。
事前に要求書に対する回答がファクスで届いた。しかし春闘の賃上げ要求に対して具体的で前向きな回答は一つもなかった。
組合員からは、怨嗟の声が上がり、自分の給料明細をビラにしてまいてもいいかとの申し出さえ出た。
事前の会合で会社の態度と回答が変わらないのであればストライキを配置して闘う。休憩時間として1日あたり30分の未払賃金が発生する問題については裁判闘争も含めて闘うと確認して団体交渉に臨んだ。
燃料代は払っても賃金は払わない?
春闘の一律5%のベースアップ要求は物価上昇に対応するささやかな要求である。連合の調査でも妥当な数字だ。しかし群馬バスは「対応を致しかねます」と回答した。組合は、まったく賃上げはしないのかとただした。すると会社は賃上げは検討せざるをえないが、3月末の決算が出そろわないと決められないという。組合は、何のために春闘要求書を出して今団体交渉をしているのか?労働組合にはスト権だってある。団体交渉の否定ではないかとただした。すると、羽鳥新社長は、ストは労働組合の権利なので、致し方ないと言う。
労働者の賃金を何だと思っているのだろう?燃料が値上がりすれば燃料費をそれだけ計上しなければならない。ところが、労働者が生活を維持するには賃上げが必要だというのに、労働者には泣いてもらえばいいというのが群馬バスなのだ。バス事業には燃料が必要なのと同じように労働者が必要だということをわかろうとしないのだ。
他の手当の新設や増額、支給基準の見直しの要求についても「財源を伴う」からできないの一点張りである。以前、群馬バスは賃上げや手当の増額をすると金融機関などからの融資が受けられなくなると回答したが、そんな金融機関があるならば組合が抗議をする。世間では物価上昇で賃上げは当然という状況なのにいまだにそんなことをいう金融機関がどこにあるのか?
上げるというよりもとに戻せ、という要求
団交に、現在は他の運送会社で働く元群馬バス貸切運転手のD組合員が出席したが、要求書にあるワンマン手当てが500円となっていて驚いた、自分がいた8年前は1000円だったのがいつから半分になったのかと質問した。これに対して答えられる会社側出席者はいない。
組合の要求は賃上げだが、実質的には大きく減額され続けてきた賃金や手当を元に戻せというレベルをこえてはいないのである。
さらに組合の要求は、通勤費を支給せよ、駐車場を無料にせよ、など他の会社の人が聞いたら驚くような、信じられない要求が並ぶ。駐車場は入社1年目は無料だが、2年目以降は月1000円を徴収される。会社が取り扱う任意損害保険に加入すれば無料になるという。「他の駐車場に比較しても安価な駐車場代」だという。駐車場というが、担当するバスの空いたスペースに止めたりするだけだったりする。
通勤費は、生活関連手当9000円の中に交通費が含まれている、対応できないとの回答である。なぜ通勤手当ではなく、生活関連手当という名前かというと、生活関連手当には扶養手当が含まれているのだ。扶養家族がいると、支給額は9000円から10000円になる。つまり扶養家族が何人いようと月1000円が扶養手当だということになる。扶養家族が5人いれば一人当たり月200円の扶養手当ということになる。ふざけているのか?
しかもこういう手品のようなやり方で生活関連手当は一律支給ではないという形にしてある。一律支給ならばこれは所定賃金とみなされ、割増賃金の基礎に算入されるのだが、扶養家族のあるなしで金額が変わる仕組みで割増賃金の基礎から除外されるのである。せこい。せこすぎる。
大島会長(CEO)のやりたい放題?
こんなせこい会社にもCEOを名乗る人物がいる。大島会長である。自分で何でも決めるくせに群馬合同労組の団体交渉には出てきたことがない。
今回の要求項目に東京営業所のバスガイドのF組合員にペガサス(高級仕様車)を担当させろというものがある。東京営業所には現在バスガイドが一人しかいないにも関わらず、F組合員にはペガサスを担当させないという差別処遇がされ続けてきた。ただでさえコロナでバスガイドに仕事がないのに、ペガサスを担当させないとなれば収入に影響する。これも元をただせば大島会長のえり好みらしいのである。団体交渉でなぜF組合員に担当させないのかとただすと、客からのクレームだとか上司や同僚の評価だという。クレームだとかいうが、指導しても改善しない事実があるのかというと東京営業所長は「改善している」という。それで2年も3年もやらせないのはいじめだろう、組合は容認しないと通告した。
未払い賃金を払えと要求
今回組合は、休憩時間の扱いに関して一日30分の未払い賃金が発生している、3年分を支払えと要求した。群馬バスでは、路線バスの折り返しの待機時間(「中休時間」)に関して、拘束時間が9時間を超える場合には中休時間の半分を労働時間として扱うという規定がある。これ自体、労働者を長時間拘束すればするだけ安上がりになるという代物で許せない。これは全国の路線バス労働者共通の問題だが、最近の裁判ではこれを原則休憩時間として扱うことに問題はないという不当な判決が続いている。
今回の群馬合同労組の要求は、群馬バスが最初に休憩時間として1時間を拘束時間から差し引いて残りを中休時間として扱うやり方をしており、これを問題とした。
雇用契約書には休憩時間に関して、「就業規則による」とのみ記載されているが、就業規則には「乗務員においては休憩時間は、配車表により指定し、各人に通知するものとする」とある。しかしながら、群馬バスは休憩時間を配車表により乗務員各人に通知したことはない。一方、雇用契約書の「賃金に関する事項」として「休憩時間のうちの中休時間については、内容により一部または全部を給料計算に加算する」とある。会社が主張するように、雇用契約書には、確かに拘束時間が9時間を超える場合の「会社賃金計算方法」として休憩時間1時間を拘束時間から引いた残りを中休時間とする計算方法が説明されている。しかしながら、会社は配車表により休憩時間を各人に通知したことはなく、休憩時間と中休時間の区別をしていない。よって、休憩時間の1時間を「内容により一部または全部を給料計算に加算する」という中休の規定から除外する理由はなく、1時間は中休から差し引くという計算方法は雇用契約に反して無効である。
この点について、会社は従来の説明を繰り返すのみである。代理人にただすと、今日のところは弁護士としての見解は出せないとの回答であった。群馬合同労組は、群馬バスの労働者から100円や200円でも搾り取ろうという体質をただすためにも、裁判闘争も含めて闘う決意だ。
群馬バスで働く仲間のみなさん。群馬バスの労働条件が悪くなった責任は、労働組合にもある。手当を半分にする、正社員化して賃金が下がる…このようなことは労働組合の同意がなければできなかった。このままいけば、苦しくなるばかりだ。団結してともに3・17ストを闘おう。群馬合同労組の旗のもとに結集されることを訴える。