居宅介護施設・吉ヶ谷を群馬県労働委員会に不当労働行為救済申立て!
群馬合同労組は、安中市にある居宅介護施設・吉ヶ谷(よしがたに)(株式会社吉ヶ谷)の不当労働行為に対して、2022年11月15日付で群馬県労働委員会に救済申立てを行なった。田村智専務、田村和子社長のこれまでの言いたい放題、やりたい放題をこれ以上許してはおかない。
介護施設で「虐待」だとか「暴行」だとかあってはいけないことは間違いない。たとえ相手が暴力暴言セクハラを繰り返してきた利用者であっても。今回の事のはじまりである利用者の出血事故は介護中の事故である。A組合員の暴言は申し開きできるものではないが、それをもって「虐待」だ、「暴行」だと決めつけるのはでっちあげであり、名誉毀損にあたる。暴れる利用者を押さえつけてまで処置を施すべきではない。この指導を徹底させるべきであるのに吉ヶ谷がそれを行わなかったから起こった事故である。
吉ヶ谷は「組合ができて会社がつぶれる」と言っているが、「虐待」が起こったとなれば、それこそ会社がつぶれかねないのである。本来ならば、行き過ぎはあったが業務中の事故であった、再発防止に全力で取り組みますというのがふつうの経営者の立場のはず。ところが吉ヶ谷の経営陣は、自ら「事件」「虐待」だと騒ぎ立て、行政や警察に訴えた。行政や警察の判断も出ていないのに、「暴行」「事件」だと決めつけて、職場でも職員に吹いて回っている。なぜ経営陣が率先してそのような言動を繰り返すのかと言えば「労働組合に相談したA、Bを許さない」「労働組合が入って来たら会社がつぶれる」「何としても組合員を追い出す」というという一念なのである。
今回の群馬県労働委員会への申立ては、このような経営陣には施設・事業の運営の資格がないということをわからせる闘いであり、わからないのであれば断固として退場していただくという闘いである。
吉ヶ谷が従業員の賃金を維持できているのは、処遇改善加算という補助金(税金)のおかげである。吉ヶ谷の田村一族は、わずか30万円の資本金で銀行から金を借りて吉ヶ谷を立ち上げたのだ。この処遇改善加算がなくなれば従業員の給料は4/5に落ち込む。25万円もらっている人は20万円に下がるということだ。そうなれば職員はもうやってはいけない。そしてこの処遇改善加算というのは、労働者に対してインチキをしてはいけないということが申請の条件なのだ。組合が労働基準法を守れ、残業代を払え、有給休暇を取得させろと要求することが、会社をつぶすことだというならば、そんな会社は一度つぶすしかないし、つぶれる以外にないのだ。
現在吉ヶ谷経営陣とその取り巻きは、組合員に対して、「監視」をつけ、いちいち仕事ができない、こわくて仕事を任せられないと難癖をつけて、イジメている。しかし一方で入浴介助のようなたいへんな介助を組合員ひとりに差別的にやらせている。危なくてやらせられないと言いながら、大変な仕事だけを組合員に押し付けてやらせている。労働委員会闘争は、このようなやり方、これへの加担が犯罪行為なのだということを突きつけ、責任を取らせる闘いである。職員の中からも、もうこのような会社には希望がないという声も聞こえ始めている。
吉ヶ谷は組合の要求によって残業申請書や有休申請書を用意したり、是正をはかりだした。しかし例えば休憩が取れない状況は何も変わっていない。団体交渉では検討すると言いながら変える気がない。なぜならば、正当な要求でも、従業員の賃金が上がればその分経営陣の収入が減るからである。有休を取ろうとすると社長が嫌みや暴言を言って有休が申請できないのがこれまでの吉ヶ谷だった。変える気がないならば実力でもぎ取るしかない。
吉ヶ谷の労働者のみなさん。介護施設で働く労働者のみなさん。
利用者を守り、職場と業務を支えているのは、経営者ではない。労働者です。労働者が団結と連帯を職場に築き上げるよりほかに希望はないし、連帯の力・共感の力で職場を変えることはできるのだということを、ともに証明してみせよう。
以下は、吉ヶ谷の不当労働行為の救済を求めた申立書の一部です。
(3)本件不当労働行為を構成する具体的事実等
(ア)不利益取り扱い
(1)A組合員に対する配置転換
① 申立人・執行委員長清水彰二は、2022年9月20日に、Aから前日に被申立人から30日後の解雇を不当に通告されたとの相談と加入申請書の提出を受けて、同日19時過ぎ頃に、被申立人・田村智専務取締役に架電して、BとAの組合通告を行った。あわせて、Aの解雇通告の撤回と就業を申し入れた。これに対して、田村智専務は「事件になる可能性がある」「事件にいたします」「傷害かもしれません」(甲7号証2頁下から2行目~)などと発言した。Aに対する配置転換がこの申立人の組合通告を原因としていることは明らかである。
② 翌朝7時半頃、被申立人・田村智専務はAの携帯電話に架電して、この日秋間本所に出勤するように指示を行い、出勤したAに対して、田村和子代表取締役社長とともに面談して、磯部支所から秋間本所への配置転換を突如命じた。
被申立人は、この中で組合加入を問題として以下の言動を行った。Aの配置転換が組合敵視の不当労働行為意思に発していることは、これらの発言から明らかである。
- 「あらためますって言っても、あらためるのを今度確認して評価しなくてはいけないですよね?誰か…それは私です…だから秋間に来てもらう…それは納得できますか?それとも相談に駆け込みますか?」(田村智専務、甲8号証3頁下から9行目)
- 「もう会社に対して敵意を持っているようなものではないですか、それだったら。」(田村智専務、甲8号証8頁下から8行目)
- 「指導を受けたのがパワハラでしたって言いますか?」(田村智専務、甲8号証13頁下から3行目)
- 「労組に話されて、勤務するなら勤務してもらってもいいけど、とんでもなく厳しくなりますよ、今度はね。事件を起こしたんだからね。…何年に起こしたってのが事件じゃないってことよく覚えておけよ。…押さえつけたというのは暴行だよ。」(田村智専務、甲8号証17頁下から11行目)
- 「ここ一本でなくてもいいんじゃないかなと、私は今後ずーっとあの今後それでAさんの顔見るたびに、あーそういうことがあったなというふうになりますよ。なっちゃったんだから。」(田村智専務、甲8号証22頁19行目)
- 「だけど労働局(※労働組合の間違い)からかかってきたのは死ぬほどびっくりしたよ。おれが何したんだってね。あー、この人、どういう考えでこういうふうになったんかなって、さっきも、切実に言ったけどさ、会社つぶれそうだよ。」(田村智専務、甲8号証22頁下から8行目)
- 「即日解雇というのを免れたことだけでも感謝してもらいたいと思う」(田村和子社長、甲8号証23頁下から9行目)
- 「今日は21日だから21日まで、それからこの後30日まで、30日まで何日昼間の勤務ができるかってことを見て、それで秋間の方で研究してもらう、それで更生するのであればまた、役員で考えます」(田村和子社長、甲8号証26頁13行目)
- 「昨日最悪な気分にさせたっていうこと。そういうつもりはなかったってそういう風になるんだよ。…これから○○さんところにいってこういう状況話して、それから市の方にまわって、警察回って、まわりまわってあんたのところに電話がかかってきたときに○○さんの気分になるよ。」(田村智専務、甲8号証29頁下から3行目)
- 「労組の話は聞くけど、僕のところはいろいろなことが聞けないという話になるんかね?どっちが上なん?どっちの…労組ってそんなに偉いの?」(田村智専務、甲8号証32頁下から15行目)
- 「その結果、なんだか言われたんだけどさ、なんだかね、脅しみたいな形で。清水さんという人から電話がかかってきたんだよ。…いやだったよ。もうやだ。それでいやだっていったら報告をするからと、その後のことはわからないって、そんな無責任なこと言ってるんだよ。勘弁してくんない。まだおれが悪いの?何とか言ってくれ。」(田村智専務、甲8号証33頁下から7行目)
- 「電話がかかってきてそれについてなんか、気持ちよくお酒飲んでいたら大声出されてさ、どこのだれかわかんないって形で。それで会社のいろいろ取り組みについて、言っているのは確かに不服があるのかもしれないけどさ、そんなふうな形で言われる覚えはないって。いやだっていったの。それで人間関係を崩すようにしか思えません。私とすれば。この先どうやって人間関係を築いていくのかなって。…なんで、…迷惑かかんなかったって思う?そんなことはない?そんなことしたって相手の方はいやだなって思ったって思わない?相手の人が傷ついたって思わないの?思わないの?なんで黙ってるの?」(田村智専務、甲8号証34頁下から11行目)
- 「相談の結果こっちの方に迷惑かかることはやめてくれ。相談したっていいよ。どこだって。相談なんていくらでもできるよ。つまりここで働きつつ、チクチクとそういうような形できて、こっちに不快な思いをさせながら、働き続けるって…なんで黙ってるの?…そうしようっていうの?なんで黙ってるの?どうでもいいのか?」(田村智専務、甲8号証35頁4行目)
- 「うちはうちで考えればいいよ。勤めたいのなら勤めたらいい。その代わり、あれだ、ね、そういう中でも、そういう厳しい中でも自分を磨きたいというのであれば、ね、その代わりずっと監視が付きます。もうそれしかないよ。ほかの従業員を守るためにはそれしかない。会社をつぶしてほかの従業員も路頭に迷わせるようなことはできないからね。うちの会社がよくて勤めたいんであれば考えればいい。」(田村和子社長、甲8号証35頁下から7行目)
③秋間本所への配置転換が不利益取扱いであることについて。被申立人は、秋間本所への配置転換と同時に夜勤をさせない(「夜勤はちょっと入れられないんで」田村和子社長、甲8号証25頁下から15行目)として、収入の減少を招いている。また休みも土日に変更されたことにより従来の生活に支障をきたしている。よって、不利益取扱いであることは明白である。
(イ)不誠実団体交渉
①代表取締役社長における被申立人の対応は、団体交渉の引き延ばし、対面での団体交渉拒否、リモート方式にかこつけて素性の知れない人物を同席させていたこと、など不誠実交渉であり、労働組合法第7条第2号に違反する。詳細は追って主張する。
2 請求する救済内容
(1)被申立人は、2022年9月21日のA組合員に対する配置転換を撤回して、Aを従来の磯部支所での夜勤を伴う業務に戻すこと。
(2)被申立人は、Aに対して、配置転換をなかったものとして扱い、それ以前の平均賃金とそれ以降の賃金との差額を支払うこと。
(3)被申立人は、今後対面方式を基本として、誠実に団体交渉に応じること。
(4)被申立人会社は、本命令書受領後14日以内に、下記内容の文書を申立人労働組合に交付するとともに、同一内容の文書を55センチメートル×80センチメートル(新聞紙2頁大)の白紙に、楷書で明瞭に墨書して、被申立人本社、および各営業所の各々見やすい場所に、30日間以上掲示しなければならない。
記
当社が、貴組合員・Aに対して配置転換、ならびに団体交渉に誠実に応じなかったことは、群馬県労働委員会において労働組合法第7条第1号ならびに同条第2号の不当労働行為であると認定されました。
当社は、この不当労働行為について深く謝罪し、Aに対する配置転換を撤回して、なかったものとして扱います。また誠実に団体交渉に応じます。今後不当労働行為が行われないようにすることを誓約します。
○○年○○月○○日
群馬合同労働組合 執行委員長 清水彰二 様
株式会社吉ヶ谷
代表取締役 田村和子
以上
(注:年月日は文書を交付または掲示した日を記載すること。)
(5)被申立人会社は、(1)~(4)項を履行したときは、速やかに当委員会に文書で報告しなければならない。
との命令を求める。