株式会社吉ヶ谷の田村一族は経営者失格!

2 11月 by gungoroso

株式会社吉ヶ谷の田村一族は経営者失格!

 2022年10月30日、群馬県安中市にある「小規模多機能の家 吉ヶ谷」(株式会社吉ヶ谷)との第1回団体交渉がインターネットのZOOMを使ったリモート方式で開催された。群馬合同労組は対面での団体交渉を要求し続けて労働委員会のあっせん申請も行ったが、一日も早い交渉を今回は優先させた。会社の出席者は田村智専務取締役と田村佳孝会長の二人。組合は、5名という条件で妥協して委員長・書記長・N執行委員、吉ヶ谷分会のA組合員、B組合員が出席した。

 吉ヶ谷・田村智専務は、団体交渉が遅れてしまって申し訳ありませんでしたと謝ってみせたが、言っていることとやっていることがこれほど正反対というのも珍しい。事前に就業規則・賃金規程・36協定書などを提出するように申し入れたが、それが無視されたのは想定内。しかし、当日突然、これまで存在も知らされていない利用者の受傷事故の時の録音記録が読み上げられた。極めつけは、パソコンに映し出されたカメラに隠れて、同じ部屋に何者かが隠れて、田村智専務に指示か助言を出していたのである。他にも会社側の従業員が多数集まっていたことが判明している。専務の挙動がおかしくて、「誰がいるのか?」「カメラを回してみろ!」と組合は追及するが、「時計を見ている」などとごまかし認めない会社。事前に会社は録画禁止にこだわったが、それが何故だったのかがわかった瞬間だった。怒りを通り越してあきれるという言い方があるが、それに近い。

 交渉では、組合は事前に録音を文字起こしまでして、田村智専務が行ったA組合員への解雇通告の事実を突きつけ、撤回と謝罪を求めた。調査も済んでいない、事実も確定していない、それなのに田村智専務と父親の田村佳孝会長、母親の田村和子社長は、A組合員に30日後の解雇、書類は後で郵送か手渡しで交付する、すぐに荷物をまとめて出て行けとやったのである。ところが、Aさんは群馬合同労組に相談加入し、組合はすぐに電話で専務に加入通告と解雇の撤回と就労を申し入れた。すると、会社は態度を変えて、磯部支所から秋間本所に配置転換して、専務の監視の下で恫喝とパワハラを繰り返したのだ。それを、今も働いているではないか、解雇はしていないなどと言って、解雇通告した事実、パワハラを認めようとしない。録音の文字起こしの内容に間違いはないかと聞いても答えない。自分が行ったのは退職勧奨である、叱っただけだ(田村佳孝会長)などと居直るばかりだ。およそ交渉にならない。

 挙句に、新たな録音の証拠を持ち出して、こんな証拠があり、暴言の事実があるのだから、A組合員にはよく考えてもらいたい、退職勧奨はまだ継続している、というのである。

 冗談ではない。

 「虐待」案件として、安中市に報告をしているというのであるから、会社として安中市の判断と指導を待ち、再発防止に努めればいい。そもそも「虐待」というのは労働者の個人的資質にとどまる問題ではない。今回の受傷事故についていえば、利用者の暴力やセクハラが何度も問題になり、田村智専務自身も受傷事故を起こしている。抜本的な対策を会社が怠ったから今回の事故が起こったのである。たとえ、A組合員に事故の経過の中で暴言の事実があったとしても、解雇に相当するとは絶対に言えないし、そんな解雇は絶対に許さない。

 会社は、田村智専務の面談と解雇通告でA組合員を追い出せると高をくくっていたのだ。ところがA組合員が群馬合同労組に相談加入して、追い出せなくなった。慌てて、協力者に録音データを提供させて、この中の暴言を武器に、団体交渉の現場でA組合員にあきらめを強制しようとした。ところが、そういう会社の対応は労働者としての怒りに火をつけただけだ。

 新自由主義の時代においては、社会保障の事業として行われていた介護の仕事が、資本家の利潤を生みだすものに引っくり返された。吉ヶ谷は資本金30万円で会社を設立し、国が処遇改善加算という補助金を出しているのに乗っかって、甘い汁を吸っている。例えばある正社員の賃金は約2割が処遇改善加算となっている。全体でも人件費の2割ほどが国の補助金(税金)と思われる。つまり、株式会社たる吉ヶ谷の利潤はほぼ国の補助金が源泉だと言ってもいい。

 しかしインチキはいけない。処遇改善加算というのは、介護労働者の処遇を改善して、業界の健全化のための補助金である。昇給の制度を作ったり、賃金だけではなく介護労働者の処遇を改善するために努力するというのが申請の前提条件である。労働基準法を守ること、改善計画を作り従業員に周知することが申請の要件である。労働基準法違反で罰金以上の刑罰を受けると処遇改善加算は申請もできないという制度である。

 ところが、現場の状況と言えば問題だらけだ。労働条件に限っても、残業をしても「残業禁止」と言われてサービス残業が当たり前、労働時間管理も適正に行われない、休憩時間も取れず、問題を指摘しても「みんなで話し合って取ってください」という無責任…。結果、パワハラも、虐待でさえも、放置されるという介護業界の現実が蔓延しているのだ。

 株式会社吉ヶ谷の田村和子社長・田村佳孝会長・田村智専務取締役の経営陣は、経営者として失格であると言わざるをえない。群馬合同労組は、不当労働行為救済申立てを群馬県労働委員会に行うことを吉ヶ谷に対して通告した。同じような状況で苦しむ介護労働者のみなさん、職場をこえて、連帯・団結して、職場と業界をともに変革しましょう。

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