小規模多機能の家 吉ヶ谷(安中市下秋間)=㈱吉ヶ谷は誠実に交渉に応じよ!
小規模多機能の家 吉ヶ谷(安中市下秋間)=㈱吉ヶ谷は誠実に交渉に応じよ!
介護事故を理由に不当な解雇通告!
群馬県安中市下秋間にある高齢者介護施設「小規模多機能の家 吉ヶ谷」を経営する(株)吉ヶ谷において、不当に解雇通告を受けたとして従業員Aさんから相談がありました。群馬合同労組に加入してもらいもう一名のB組合員とともに闘いを開始しました。9月13日に、入浴介助業務中に利用者さんが処置を嫌がって暴れて、担当者(B組合員を含む)から応援で呼ばれたAさんが手を押さえた際に、利用者さんが手と顔に出血する事故が起きました。この利用者さんに関しては、認知症があり、興奮時の職員への暴行が何度もありました。力も強く、噛みつく・殴る・蹴っ飛ばす・唾を吐くなど深刻であり、職員に対する暴言やセクハラも繰り返されてきました。経営者自ら介助にあたって、出血させるという同様の事故も過去にはありました。しかし今回、会社が調査を進める中で、Aさんの介助に問題がある、虐待であるとして、Aさんに解雇を通告しました。そして自主退職すれば履歴書に傷がつかないからとAさんに退職届を出すように言いました。Aさんがそれには納得できないと拒否すると、田村智専務は9月19日に、30日後の解雇を言い渡しました。そしてシフトを外して、Aさんを出勤できない状態にしました。
組合加入したら「事件にする!」
群馬合同労組はAさんから相談を受けた9月20日に直ちに専務に電話で加入通知を行い、解雇の撤回と就労を申し入れました。以下はその時の田村智専務の発言です。
「(解雇は)えーっと、口頭でしただけです」
「これ、事件になる可能性があります」
「わかりました。事件にいたします。あの、申し訳ないんですけど、これ、傷害かもしれませんので、じゃあそれ、事件になった後に、あの、そういった事案が発生するという話になろうかなと思います。」
そして翌日からA組合員を突如磯部支所から秋間本所に配置転換を命じました。面談で、労働組合に相談したこと、加入したことを非難し、人間関係が成り立たない、反省がない、いやな思いをさせたなどと言いなし、これからもこういうことを続けるのか、変わらないならばこれから監視し続けると脅しました。仕事を与えず、指導と称して、ただただ立っているだけの仕事で、同僚と利用者さんの見せしめにして、パワハラを行っています(その後若干改善)。
パワハラと不当労働行為を繰り返す吉ヶ谷
群馬合同労組は、9月22日付で要求書を送付して、A組合員の解雇撤回、就業規則・賃金規程・36協定書の交付、事故報告書の開示と事故の説明、配置転換の撤回、タイムカードの設置、残業代の支払い、休憩時間の適正な確保、有給休暇を取得できるようにすること、職場環境の改善等を要求して、9月30日までに団体交渉を開催するように求めました。
ところが吉ヶ谷は、団体交渉を10月30日にリモート方式で行うことを一方的に通告して、引き伸ばしました。A組合員のシフトを10月末までシフト表に書き込み、解雇を通告したわけではないとA組合員に言いなして、指導と称して、秋間でのパワハラを続けています。社長・会長・専務一族の監視のもと、職員がみなA組合員を無視して挨拶もしないという状況でA組合員を追いつめています(その後若干改善)。
また群馬合同労組に対して専務が傷害事件にすると脅した通り、9月13日の事故を、傷害事件にでっちあげようとしています。組合員や他の従業員に恐怖と心理的圧迫を加えて、闘いを抑圧する暴挙です。これも重大な不当労働行為であり、許すことはできません。このような事故が傷害事件として犯罪になるならば、介護労働者は安心して介護にあたることなどできなくなってしまいます。
労働者が働きやすい職場こそ虐待をなくす道!
高齢者や障がい者の介護施設では、虐待による事件や事故が後を絶ちません。もちろんあってはならないことです。しかしながら、そこで働く労働者は、安い賃金、厳しい労働条件、無権利状態、使い捨てが横行して、利用者さんに人間らしい介護を行いたくても難しい現実もあります。だから国や行政も虐待が起こった場合の対応として「慎重な確認」「安易な解雇や諭旨免職による対応ではなく…虐待が再発しない体制づくり」を求めているのです(高齢者虐待発生後対応マニュアル)。
吉ヶ谷は、事故に関連して、A組合員に対して、日頃利用者さんを愛称で呼んだり、「ちゃん」付けで呼ぶことを問題にしました。不適切な呼び方はただされなければなりませんが、良好な介護を行うためにとどこの介護施設でもあることではないでしょうか?A組合員を追い出すためには理由は何でもいいのだととらえざるをえません。
会社は経営一族に不満を持ち、おかしいことにおかしいという労働者を追い出してきたし、今も追い出そうとしています。働く労働者がおかしいことにおかしいと言えない職場状況こそ、虐待を生み出す一番の原因ではないでしょうか?吉ヶ谷の現実は、すべての介護労働者が置かれている現実であり、利用者さんのためにもこの現実を変えなくてはなりません。
10月12日に新たな不当労働行為!
吉ヶ谷の田村和子社長は、団体交渉を先延ばしにしながら、B組合員に対して「残業代を払うからすぐに残業時間のメモを出せ」とパワハラと嫌がらせを行い、団体交渉から逃れようとしています。許せません。群馬合同労組は、10月12日付で以下の申入書を送付しました。
申入書
本日2022年10月12日、磯部支所において、田村和子代表取締役社長はB組合員に対して、残業の記録をすぐに提出するように、迫った。B組合員が、当労働組合を通じて提出すると回答したところ、すぐに出すと言ったはずだ、なぜ出せないのかと強い口調で言いつのった。B組合員が今日は持ってきていないので出せないと答えると、田村和子社長は、出すと言ったはずだ、それは嘘をついたことになると攻めたてた。他の従業員の面前で、未払い残業代があるというのはBとA両組合員だけであると広言しつつ、田村佳孝取締役会長と二人で、組合を通じてというのはおかしいと言いつのり、B組合員の介護に関して利用者さんから不安が出ている、利用者との信頼関係つくれないと職場にいづらくなるなどと、根拠もなく、不当に言いつのった。これらはパワハラであり、不当労働行為である。
貴社は、そもそも団体交渉の早期開催要求を一方的に拒否をしている。残業代の算出に必要な就業規則・賃金規程・36協定書の写しの提出も行っていない。不誠実交渉として、不当労働行為に該当する。また組合の申入れにもかかわらず、A組合員に対して不当な配転と仕事を与えないという不当労働行為を継続している。本日の一連の事態は、さらに不当労働行為を上塗りするものである。当労働組合は強く弾劾し、抗議するものである。
早急に団体交渉を開催し、本日の一連の事態についても、説明し、謝罪するよう要求する。
また、当組合は、未払い残業代の問題については、当労働組合との団体交渉での協議が必要であるから、B及びA両組合員に残業代の請求及び時間の記録を提出するよう直接求めないことを強く求める。理由は下記の通りである。
(1) 時間外労働時間の計算ができない理由は、第一に、貴社が就業規則に明記されたタイムカードの設置を怠り、従業員の労働時間管理に不備があるからである。
(2) 貴社事業所において、従業員は休憩時間が確保されていない。よって休憩が取れずに業務に従事した時間についても、時間外労働として算定されるべきである。団体交渉において、この点の協議をしなければ、時間外労働の算定はできない。
(3) 貴社は、就労時間よりも10分前の出勤を義務付けている。よって、この始業前10分も時間外労働として算定されるべきである。団体交渉において、この点の協議をしなければ、時間外労働の算定はできない。
(4) 残業の申請方法について、B及びA両組合員に対して、説明はされていない。この点について、説明した証拠を提出されたい。一方的に説明したと断言する貴社の対応は許されない。
吉ヶ谷で働くみなさん、介護現場で働くみなさんのご理解とご支援をお願いいたします。介護施設で働く労働者はいっしょに声をあげ、いっしょに闘いましょう!