新たに加入した非正規社員の団体交渉とコロナの影響による休業支援給付金申請の報告
組合員T
少し霧雨の降る2021年10月12日火曜日に、Twitterからの問い合わせで新たに加入したアルバイトA組合員の有給休暇の賃金が、不当に安かった問題の是正とコロナの影響でシフトが減らされたことで休業した分の、厚生労働省による休業支援金の申請手続きへの会社の協力を要求した団体交渉をしました。
こちらは、委員長、A組合員、他2名の組合員の計4名、会社側は、社長、総務の社員、代理人の弁護士の計3名が出席しました。
まず、初めにお互いの自己紹介をしました。
そして、本題に入り有給休暇の計算方法の確認のために、組合が要求していた就業規則・賃金規定・36協定書の写しを、まだ交付されてなかったので委員長が団交に持ってきたかと確認しました。
すると、社長が不満げにそれを提出する気はないと言い、提出する義務のエビデンスは何かと、まるでそんなエビデンスはあるわけないだろうと言わんばかりの態度でした。
そして、委員長が労働組合法の説明をし、その中に規定されている不当労働行為に当たると答えた。
(東北測量事件 最高裁平成6年6月13日判決)
組合の賃金引き上げ要求に対し、会社が経理資料を提示するなどの方法により詳細な説明をすることなく当該要求を拒否したことは、不誠実な交渉として不当労働行為に当たると判示された例もある。
また、不当労働行為にならないために、誠実交渉義務が会社側にはあると説明した。
それでも社長には、なかなか理解してもらえなかった。
このやり取りで、40分近くかかった。
やっと、本題に入り1つ目の要求の有給休暇の賃金の話に入り、賃金規定の資料を提示してくれと要求した。アルバイトA組合員が会社で確認した就業規則にはハッキリと「年次有給休暇の賃金は、通常の1日当たりの賃金とする。(出勤したものとみなす)」と書いてあったというからだ。しかし、最後まで社長は書類の提出を要求するなら、裁判でも労働委員会でもしてくれという意思だった。終わりに弁護士が間に入って必要であれば、賃金規定などの書類を提示し説明するのが良いだろうということになった。賃金規定を提出して理解を求めなければ労働組合として納得できるわけがない。組合としては出勤したものとして扱い10割の有給手当の支払いを求めたが拒絶された。
実はこの会社でアルバイトの立場で有給休暇を初めて取ったのがA組合員なのである。アルバイトはシフト制だ。最初から出勤できる日を埋めていくのだから有給休暇を取るという意識性がないと権利としての有給休暇は取得できない。シフト制の職場で有給休暇取得の前例を作った意味で大きな意味がある。
2つ目の要求の休業支援金申請の協力についてだが、団交の前の労働局とのやり取りで、社長がコロナの影響で、休業させてないと言って、協力しないと証言していると労働局が、A組合員に答えていたため団交をして社長を説得するしかないと言うことで団交に入った経緯があるのだが、話してみると社長はこの支援金の申請には協力してもいいという見解だった。それはそうだシフトが減って賃金が減った社員に対し、会社の代わりに国が支払うというのだから。それなので会社はシフトが減ったのはコロナの影響だとは断言は出来ない、他の影響もある。だけれども少なからずコロナは、業績には悪い影響を及ぼしていると労働局にいっているだけなのだ。
アルバイト社員の休業支援金申請の2022年1月に出た結果は、会社と労働局と交渉したが労働局の最終判断は、アルバイト社員のシフトが減った要因はコロナ以外の事が大きいとして不支給となった。
コロナ休業支援金制度が十分に労働者の側に立ったものにはなっていない。社長の、何か問題になったら困るという自己保身の対応も労働組合としては納得ができない。
結果は残念でしたが、アルバイト社員が1人で立ち上がり会社、労働局としっかり交渉できる事が再確認できました。
こういった一つ一つの主張の結果として労働者個人の権利が守られると感じました。
職場に労働組合が無くとも、職場に仲間が居なくとも1人でも交渉が出来ますので、職場で不可解に感じる事があれば群馬合同労働組合に相談してください。