中央タクシー宇都宮司社長の証人尋問記録

18 3月 by gungoroso

中央タクシー宇都宮司社長の証人尋問記録

証言速記録

事件番号  群労委令和2年(不)第2号

事件名   中央タクシー株式会社不当労働行為救済申立事件

証言者  氏名  宇都宮司(主尋問及び反対尋問)

役職  中央タクシー株式会社代表取締役

審問期日  第2回審問(令和3年2月22日)

群馬県労働委員会

小暮審査委員長 それでは始めてください。

H補佐人 え一。群馬営業所所長のHと申します。では始めさせていただきます。ではまず、乙13号証を示します。

宇都宮証人 はい。

H   この一枚目にある、署名押印は、あなたが押印したものですか。

宇都宮 はい、そうです。

H   乙13号証の内容に間違いはありませんか。

宇都宮 はい、ありません。

H   事件の詳細は、乙13号書に細かく記載してありますか。

宇都宮 はい。記載してあります。

H   Tさんは、平成26年11月1日に入社したということでいいですね。

宇都宮 はい、いいです。

H   Tさんは、令和2年1月末をもって定年となったということですね。

宇都宮 はい、そうです。

H   今回は、Tさんの、令和2年2月1日からの雇用継続の雇用条件が問題となっているということでいいですか。

宇都宮 はい、いいです。

H   会社はTさんを定年後に再雇用しないと主張したことはこれまでにありますか。

宇都宮 ありません。

H   Tさんに、2月1日以降の雇用継続の意思確認を最初にしたのはいつですか。

宇都宮 令和元年12月25日です。

H   会社の誰が行いましたか。

宇都宮 はい。群馬営業所所長のH所長です。

H   なぜその日に確認を行ったのですか。

宇都宮 はい。Tさんは、以前より、定年になったら、辞めてやる。こんな会社頼まれても続けないということを、周りの方に、よく話をしていたと聞いています。ですから60歳定年で、退職されるというふうに、思っておりました。念のため確認をしていただこうということで、群馬のH所長に、その頃お願いをしたという経緯になります。

H   他の方に言い続けていたと、おっしゃったんですけれども、これは、他の方というのは、社員でよろしかったですか。他の社員で。

宇都宮 はい。他の社員です。

H   他の社員に言い続けていたという他の社員とは具体的に誰のことでしょうか。

宇都宮 はい。例えば、Y元群馬営業所長。…また、KNさん。…

H   Tさんに確認したときに、Tさんは何と言ってたと、私から聞いていますか。

宇都宮 続けたい、この仕事を続けたいと、180度真逆のことを返答したと聞いております。

H   それに対し、私とTさんとどのようなやりとりがあったと聞いてますか。

宇都宮 はい。かねてから、辞めてやる、こんな会社もう辞めてやるということを言っていた中でしたので、所長の方から、Tさんに、そのようなことを周りに言って周りの人が混乱するようなことがないように、やめてくださいという話を、申し伝えたところ、Tさんが、分かりましたと。で、継続雇用に関する件は、組合を通してお伝えしますというふうに返事をしたと申し受けております。

H   その後、甲1号証の要求書が届いたという流れですね。

宇都宮 はい、そうです。

H   その後の組合とのやりとりの書面は全て組合側から証拠提出されていますね。

宇都宮 はい、そうです。

H   甲2号証の「雇用契約書(パート従業員)」に記載した労働条件を提示した理由を述べてもらえますか。

宇都宮 はい。甲10号証ですか。

H   甲2号証ですね。

宇都宮 このように、時給制で示しました。Tさんは、定年前の雇用契約である雇用契約の内容として、Tさんの雇用契約、定年前の雇用契約は、基本給と、稼動手当、固定残業代である稼働手当で構成されておりました。が、Tさんは、その稼動手当を、固定残業代であるという説明を、会社側から何度もしておりましたが、そのことを理解せず、また理解しようとする姿勢もなく、そのような状況が続いておりました。ですから、働いた時間に対して、手当をつけさせていただくという、時給制にするほかなかったということになります。

H   会社は団体交渉において、労働条件にっいて、一部譲歩しましたね。

宇都宮 はい。団体交渉の、お話を受けて、勤務日数を週5日という、条件を加えました。

H   Tさんは稼動手当が固定残業ではないと言い出したのはいつからですか。

宇都宮 組合に入ってからです。それまでは一切ありませんでした。

H   それはなぜでしょうか。

宇都宮 入社時に説明がなされていたからだと思います。

H   Tさんは、訴訟提起前の団体交渉の段階から一貫して、稼動手当は固定残業ではないと主張していましたか。

宇都宮 固定残業代、ですか。

H   はい。固定残業代では、あ、失礼しました。固定残業代ではないと、主張していましたか。

宇都宮 はい、主張していました。

H   それは判決出て以降も同じですか。

宇都宮 はいそうです。

H   どうしてそう思われるのですか。

宇都宮 先般の、直近の労働委員会の尋問におきましても、稼動手当が、固定残業代として、固定残業代ではないということを言っておりました。そういうところから考えましても、現在も、稼動手当は固定残業代ではないという考えに変わりはないと思います。

H   Tさんは本日まで稼動手当を固定残業代だと理解して、納得したことはありますか。

宇都宮 1度もありません。

H   入社の際に、Tさんに稼動手当が固定残業代であることは説明しましたか。

宇都宮 はい、説明しております。前橋地方裁判所の判決文におきましても、入社時に説明がなされているというふうに、文章において、記載されております。

H   これまで会社側は団体交渉や訴訟において、ことあるごとに、稼動手当が固定残業代であることを説明してきましたか。

宇都宮 はい。入社時におきましても、組合に加盟した後も、団体交渉時、また訴訟の件におきましても、いく年にもわたって何度もそのことは伝え続けております。

H   Tさんが定年前の雇用条件を認めず、稼動手当が固定残業代だという内容で仕事をすることを拒否したということですか。

宇都宮 はいそうです。稼動手当を固定残業代として認めないがゆえに、労働時間が8時間を超えれば、稼動手当以外にも、時間外手当を付けるようにということを、主張していましたので、主張しておりました。

H   前橋地方裁判所も稼動手当は固定残業代であると明記していましたよね。

宇都宮 はい。前橋地方裁判所の判決文にも、はっきりと稼動手当は、固定残業代であると、定額残業代であるというふうに明記してあります。

H   それが、雇用契約の内容にも影響しているということでしょうか。

宇都宮 はい。影響しています。そこを、その、稼動手当に関する見解が、一致しない条件の中で、定年前の、雇用契約を続けるということは当然できかねます。ですから、明確に、時間に対して手当を付けさせていただくという、時給制をとるほかなかった。それ以外に方法があるのか、という思いです。

H   退職前の雇用契約の内容は、前橋地方裁判所の裁判で、大きな争点になりましたね。

宇都宮 はい。なりました。

H   Tさん側の訴訟の請求額からすれば、一番大きい争点といえましたね。

宇都宮 一番大きい…

H   争点といえましたね。

宇都宮 はい、そうです。

H   そのことは、訴訟費用の裁判の裁判所の判断にも表れていますね。

宇都宮 はい。表れています。

H   乙1号証を示します。これがその裁判ですね。

宇都宮 はい、そうです。

H   この事件は、平成28年10月28日に提起され、口頭弁論終結日が、令和元年10月9日だから、3年近く訴訟を行っていましたね。

宇都宮 はい、そうです。

H   この裁判では、Tさんと元組合員のSさんだけが当事者だったのですか。

宇都宮 その2人に加えて、Kさん、当時Kさんも、割増賃金の請求、損害賠償の請求をしておりました。

H   裁判の終盤でKさんは、Kさんですね、訴訟を取り下げたのは事実ですか。

宇都宮 はい。取り下げました。

H   なぜ取り下げたのでしょうか。

宇都宮 本人のことなので、分かりかねますが、おそらく、Kさん自身の主張が認められないと思ったからだと思います。

H   この裁判ではTさんとSさん、宇都宮社長の本人の尋問を行っているとともに、Kさんの陳述書も何通か、証拠提出されていますね。

宇都宮 はい、そうです。

H   この訴訟において、組合は、甲26号証の委員会の命令書も証拠提出していましたね。

宇都宮 はい。していました。

H   これら全てを踏まえて、乙1号証の判決が出されましたね。

宇都宮 はいそうです。

H   この裁判でSさんの割増賃金の請求は全く認められませんでしたね。

宇都宮 はい。認められませんでした。

H   Tさんは、約38万円だけ割増賃金が認められましたね。

宇都宮 はい。約38万円だけ認められました。

H   Tさんだけが認められた理由はなぜだと思いますか。

宇都宮 はい。Tさんは、必要以上に早く出社する傾向がありました。その時間が、就業時間として、計算されたことによると、思います。また、裁判において非常に膨大な資料、チャート紙などの資料が、提出されました。実際は、裁判官の方が、その資料一つ一つに、出社時間の目安を認定していくということは、大変な作業になるため、非常に面倒に、なってしまうということも、大きく影響しているというふうに考えています。

H   それ、この、Tさんが早く出社ということなんですけどもこれ指示により早かったんですか。

宇都宮 はい。会社の定めていた時間よりも、早く来るということが、いつもということでありませんが、本人の、都合によって、そういうことを、そういう出社がなされているということが、ままあったということです。

H   また先ほどちょっとあったんですけど裁判官が面倒になってしまったということなんですけど、それ以外には何か理由がありますか。

宇都宮 はい。その早く、指示よりも早く出社するという、具体的な時間を、会社側が、立証することができなかったからだというふうに思います。

H   いずれにしてもSさんは、割増賃金が一切認められなかったということですね。

宇都宮 はい、そうです。

H   前回のKさんの尋問において、Kさんが、会社の事業モデルについて、割増賃金の未払で成立しているかのような批判をしていたが、どのように思いますか。

宇都宮 全く事実に反しているというふうに思います。現にSさんの、判決による、時間外の割当ての額は、ゼロということです。また、Tさんは不必要に、早い出社をしてきているところの部分で、時間外が認められていたというところから考えても、他の従業員の方に、Tさんと同様に、時間外の手当が割り当てられるということは、有り得ないというふうに考えております。

H   会社はこれまでTさんを定年後に雇用しないといったことはありますか。

宇都宮 1度もありません。

H   雇用することを明確に、労働条件が問題になっているということですね。

宇都宮 はい、そうです。

H   乙6号証の2を示します。協定書ですね。

宇都宮 はい。

H   第2条1項と本件の関係はどのように考えていますか。

宇都宮 はい。求釈明事項に呼応する形で、Tさんが、この2条1項に、適さないということは、主張させていただいております。が、会社側としては、Tさんを継続雇用するということを前提に、しておりました。したがって、この2条1項が、適用になるかどうかということは、問題ではなく、労働条件がいかなるものであるかということが、問題になるというふうに考えております。

H   Tさんの退職前の勤務時間はどうでしたか。

宇都宮 極めて、他の方と比べて短い労働時間であったことは、本人が、乙2号証でも書かれている乗務記録からは、明らかです。本当に短い日は、2時間、3時間という日も散見されます。

H  Tさんの主張は会社が乗務指示をしなかったことから、短くなったかのような主張をしていますが、それに対してどのように思いますか。

宇都宮 全くの誰弁です。Tさんは、稼動手当を、固定残業代として認めることがなく、労働時間が8時間を過ぎれば、時間外手当を払わなければ、仕事をすることはできないと拒否し続けていました。

H   そのことによって、会社は組合員に時間が長くなる可能性のある運行を割当てすることはできないということでよろしいですか。

宇都宮 はい。時間が長引けば、組合員、長引けば時間外手当を、稼動手当のほかにも払わなければいけないという状況になりますので、労働時間が長くなるような配車を割り当てることは到底できませんでした。そのようなことが起きると、他の方にも、時間外手当を稼動手当のほかにも支払うという状況が、起きてしまいます。とてもそのような状況を続けていたら会社は、成立、続けていくことができず倒産してしまいます。そのような観点からも、時間の長くなる配車を彼らに割り当てることはできませんでした。

H   費用面でも…

宇都宮 そうですね費用面におきましても、稼動手当は、11万以上のお支払をさせていただいておりましたので、そこにさらに時間外手当となりますと、二重払という形になりますので、その費用面の面からも、割り当てることはできませんでしたし、また、8時間以上超えた場合に、手当を払わないようならば、職務を放棄するようなことも非常に懸念されました。例えば、お客様を、放棄して乗せることなく、会社に戻ってきてしまうような、そういう、非常に考えられないような、非常識な行動を、取られてしまうような懸念も、強く抱いておりました。

H   非常識なことをやりかねないという、懸念があるんですね。

宇都宮 はい。あります。例えば、Kさんに対する暴行事件がありましたが、そのことを、会社側が企てた、私が指示をして、彼をボウカンしたというようなことを再三にわたって言われました。全く見当違いな、思い込みが激しいそうしたことを、平気で主張してくる、ビラを配る。そのような、非常識な行動を、取るということからも、想像できるのではないかというふうに思います。

H   定年前にTさんのように稼働手当が固定残業代ではないと主張し続けた人がいましたか。

宇都宮 Tさん、Sさん、Kさん以外には1人もおりません。

H   前例となるような人がいないということですね。

宇都宮 1人もおりません。

H   Tさんは平成27年8月12日にKさんとSさんが会社に通告に来た際にいなかったから、自分が残業代をもらわなければ8時間以上は働かないとは言っていないというようなことも主張していますが、その点についていかがでしょうか。

宇都宮 全くおかしな話だと思います。Kさんは、Kさんですね、当時Kさんは、組合の分会長という立場で自分は来たというふうに、宣言していましたし、彼がそこで伝えた内容には、Tさんのことも含まれておりました。また、一緒にいたSさんにおきましても、Tのこともよろしくなという言葉を発しておりまレた。当時、3人は、一緒に行動し、同じ認識の下、行動してたと、いうふうに考えております。

H   乙6号証の2を示します。

宇都宮 はい。

H   第2条第2項「前項各号に選定基準を満たしている場合であっても、定年退職日の前日までに会社の提示する労働条件等に正当な理由なく同意しない者は、継続雇用しないことがある。」と記載されていますが、これはどういう意味ですか。

宇都宮 定年前から定年後において、労働条件が変更し得ることがあり得るというふうに見て取れると思います。また、裁判例におきましても、定年前から定年後において、定年前に比べて給料が下がってしまうことも、やむを得ない場合があるという、裁判例があるというふうに認識しております。

H   第6条、労働条件等の提示、会社は、前条に基づき、従業員から継続雇用を希望する旨の申出を受けたときは、定年退職後の労働条件等について具体的な内容を検討し、その結果を、定年退職日の1ヶ月前までに本人に提示すると記載されていますが、これはどういう意味ですか。

宇都宮 はい。これに関しましても、定年前と定年後では、労働条件が変わり得るということが、見て取れると思います。

H   話が変わります。団体交渉についてです。組合が、令和1年12月28日付の要求書で求めた団体交渉は、令和2年1月9日に実際に行われていますね。

宇都宮 はい。組合の希望どおりに行いました。

H   その際に、組合から交付を求められた協定書のコピーは、会社から組合に交付していますね。

宇都宮 はい。しております。

H   令和2年4月1日要求書、甲8号証ですね、甲8号証における団体交渉の開催が問題となっていますね。

宇都宮 はい。[携帯電話の着信音のような音] すいません、ちょっと、大丈夫ですか。切って。私が、私がすいません。

審査委員長 はい、では切ってください。

宇都宮 申し訳ないです。

K補佐人 時間ねえだろう。

T補佐人 いい加減にしろよ。

審査委員長 お静かにお願いします。

宇都宮 はい。失礼しました。

H   はい。よろしいですか。

宇都宮 はい。

H   当時社会においてコロナウイルスの感染拡大が問題となっておりますね。

宇都宮 はい。なっております。

H   令和2年4月1日要求書、甲8号証ですか、すいません。失礼しました。会社は、組合からの団体交渉の開催要求の要求書に対し、書面で全て返答していましたね。

宇都宮 はい。返答していました。

H   それは今回の委員会の証拠として全て提出されていますね。

宇都宮 はい。されています。

H   会社側からの回答で、書面で質問して欲しいと依頼していますね。

宇都宮 はいそうです。

H   それはなぜですか。

宇都宮 はい。それは、コロナの、緊急事態宣言も発令する間近の状況で、非常に、大変な世の中の状況でしたので、移動回数を減らす必要がある。また団体交渉においても、回数や時間等を極力減らす必要があるというふうに考えておりました。そのためには、できるだけ争点を明確にしていく必要がある。そのために、文書で、文書において、質問、返答をしていくことによってζ争点を絞り込み、そのことで、できるだけ、団体交渉の回数や、時間、移動回数を減らしていこうと考えたからです。

H   組合は会社に対し、文書での質問をしてきましたか。

宇都宮 してきませんでした。文章で、質問回答をしていくことは、できたとは思います。本当に、問題を解決に向けていくのであれば、そのことは、可能だったと思いますが、開催を目的とするように感じられ、文章での回答はございませんでした。

H   開催することが手段っていう、手段に過ぎず、協議の内容が重要であるということでよろしいですね。

宇都宮 そうですね。協議をしていく内容が重要なんですけども、開催をするということに、目的があるように感じざるを得ませんでした。

H   会社は令和2年4月13日、14日に群馬営業所に従業員を集めて解雇の言渡しを行いましたね。

宇都宮 はい。

H   それを理由に組合は団体交渉ができたのではと主張していますが、どのように考えますか。

宇都宮 はい。コロナの状況が、感染拡大が進む中で、群馬営業所の売上げは、もうほぼないという状況に陥っていました。その中で、従業員の方に、継続していただくことが非常に厳しく、解雇をお伝えする必要がありました。そのような重要なことをお伝えするには、群馬営業所の皆さんに集まっていただいて、そのことをお伝えする必要がありました。Tさんも、その集まっていただく中に一緒に参加していただくことになっておりました。ですからそこでの説明をした上で、不足があれば、個別で、その説明を、加えていかれたらというふうに考えておりました。そのような形をとることで、できるだけ移動の回数や、県境をまたぐことを避け、避ける回数、対面で話す回数も極力避けるということの、方法として、そのような手立てをとりました。

H   全従業員を集めた日の説明はスムーズに行われましたか。

宇都宮 行われませんでした。組合の方々が来るといつも大変、騒ぎになります。その日も同様でした。従業員の方以外の組合員の方も、会社に来て、大声で騒ぎ、マスクもせずに騒いでいる方もいました。隣のうどん店の店長の方さえも、トラブルに巻き込んでしまい、非常に御迷惑をかけました。そのような状況下でありました。

H   詳細は、陳述書に記載してありますか。

宇都宮 はい。詳細は陳述書にも記載させていただいております。

H   その日のTさんの様子はどうでしたか。

宇都宮 その日のTさんは、ビニール袋のようなものを、顔から、顔に、つけて、フェイスシールドのようにして、ビニールで顔を覆い、異様ないでたちでありました。また、お話をお伝えしているときも、周りの従業員の方とは、1人離れて立って話を聞いているという状況でした。人一倍感染に関して、注意を払い、人の密を人一倍避けようとする様子が伺えました。

H   その後緊急事態宣言が解除された後の令和2年4月16日付け要求書甲13号証。これに対して会社は6.月5日に団体交渉をしていますね。

宇都宮 はい。しております。

H   その後組合から会社に対し、団体交渉開催の申込みはしていませんね。

宇都宮 しておりません。

H   私からの質問は以上でございます。

審査委員長 では、反対尋問をお願いいたします。

清水申立人 では、申立人清水から反対尋問を行います。主尋問で、Tさんが入社した時に、稼動手当が固定残業代であるという説明をしたとおっしゃいましたか。

宇都宮 はいそうです。

申立人 それはいつどこで誰が行いましたか。

宇都宮 …ちょっとはっきりとした記憶ではありませんが、入社時に、群馬営業所において、おそらく当時、SNさんかKO部長かが行っていると思いますが、裁判の資料でも、記載させていただいておりまして、おるとおりでございます。

申立人 裁判の資料で記載してますか。

宇都宮 記載しているんだと記憶しておりますが、判決文の中に、入社時に説明をしたという判決文は明記されております。

申立人 それ、何か証拠を挙げてますかね。

宇都宮 証拠をどのように上げたかは記憶に、すいません、ございませんが、裁判官が、判決文において、開催しているということを明記していることは、しっかり把握しております。

申立人 判決文にあるのはわかってます。だけど、会社がそういう証拠を挙げたということはないですよね。記憶してないですよね。

宇都宮 説明をしたということは、私はしっかり認識しております。

申立人 だけど証拠挙げてないですよね。

宇都宮 私は証拠上げたかどうかというのは、すいません、記憶には今ありませんが、

申立人 いいです。いいです。

宇都宮 はい。

申立人 それから、申立人が非常識で、Kさんの襲撃を宇都宮社長が指示をしたというふうに言ったり書いたりした。それは本当ですか。

宇都宮 含みを持たせた表現であったと思いますが…

申立人 含みを持った表現をしたということでよろしいですか。そんなことは言ってないですよね。

宇都宮 含みを持たせた表現でしたが、明らかに、私がやったということを感じざるを得ない表現で、団体交渉などで言っていたというふうに認識してます。

申立人 そんなことを断言したんですか。

宇都宮 含みを持たせた表現で、はっきりと言われたことはしっかり記憶しております。

申立人 含みを持たせた表現だったということでよろしいですね。

宇都宮 私はそのように感じました。

申立人 はい。ほいで、8時間以上は働かないと、それSさんが、Tのこともよろしくなって言ったんですかね。

宇都宮 そうです。

申立人 ふ一ん。ということは、Tさんは自分では言ってないっていうことは間違いないですね。

宇都宮 はいそうです。

申立人 はい。答弁書等準備書面は、あなたが作成してるんですか。

宇都宮 いや、私が代理人に相談して作成しております。

申立人 割増賃金等請求裁判では中山耕平弁護士が代理人でしたけど、彼が作ってるんですか。

宇都宮 私が代理人に相談し作成しています。

申立人 はい。中山さんですね。

宇都宮 そうです。

申立人 はい。稼動手当に関連して聞きます。Kさんが入社してから、2013年、平成25年7月までは時間外手当深夜手当の記載が、明細書にあったと証言しましたが、覚えていますか。

宇都宮 はい。明細、どこでですかね。

申立人 うん。Kさんの明細書に2013年7月までは時間外手当と深夜手当の欄があって、そこに金額が書かれていたという証言。

宇都宮 はい。

申立人 事実そうですか。

宇都宮 はいそうです。

申立人 それまでは、稼動手当は固定額ではなかったんですね。

宇都宮 …固定額でした。というふうに認識しています。

申立人 11万4600円。

宇都宮 そうです。

申立人 それにプラスして時間外手当と深夜手当が支払われていたんですか。

宇都宮 違います。

申立人 違いますよね。

宇都宮 はい。

申立人 稼動手当からその時間外手当と深夜手当で払った額を引いた額が稼動手当だったんですよね。足して11万4600円だったんでしょ。

宇都宮 そういうことです。

申立人 そういうことですよね。

宇都宮 はい。

申立人 稼動手当は固定額じゃなかったですよね、だからね。

宇都宮 固定で11万4600円を支払わせていただいておりました。

申立人 だから固定でっていうのは全部足して11万4600円の固定額で、ね。それは稼動手当と時間外手当深夜手当の合計でしょ。

宇都宮 全部足したものを稼動手当として支給していたということです。

申立人 違うでしょ。稼動手当は別にあったでしょ。

宇都宮 結論的には、総額で11万4600円だったということです。

申立人 そうですよね。

宇都宮 はい。

申立人 稼動手当は、時間外手当払ってたら、それ引いた額で、11万4600円からその分安い金額になってたでしょ。明細に書いてあった額は。

宇都宮 今おっしゃってる稼動手当の定義がどのようなものかということが、ちょっとよく分かりかねますが、

申立人 明細の話聞いてんですよ。

宇都宮 はい。とにかく足し算して、総額が11万4600円ということです。

申立人 はいはいはい。だから、2013年の8月から、その時間外手当深夜手当への記載がなくなりましたよね。

宇都宮 そうだったかと思います。

申立人 何で変わったんですかね。

宇都宮 え一、何で変わったか。

申立人 うん。

宇都宮 ちょっと曖昧ですが、労働基準監督署の方のアドバイスを受けて変わったということで、前橋地方裁判所の判決文にも書いてあるというふうに思います。

申立人 まあ、いいや。その時、誰かが労基署に申告したりしたんですかね。残業代が出てないよっつうんで。

宇都宮 いや、そうではなく、そういうこともあったかもしれませんが、その前から、監督署の方にアドバイスを受けて、その変更をする手続をしていたということです。

申立人 甲24号を見てくれますか。

宇都宮 はい。

申立人 これTさんと、会社の雇用契約書ですね。

宇都宮 はい。

申立人 第2項を見てみてください。「就業場所は群馬営業所とし、その他の労働条件は、就業規則およびこれに基づく諸規定の定めるところによる。」って書いてありますね。

宇都宮 はい。

申立人 これ以外に、労働条件通知書のようなものを作成してますか。

宇都宮 雇用契約書。

申立人 とは別に、うん。

宇都宮 別に。

申立人 労働条件通知書。

宇都宮 労働条件通知、雇用契約書。

申立人 雇用契約書っていうのは、この労働契約書でしょ。

宇都宮 労働契約書と雇用、何ていうんすかね、個別の。

申立人 そうそうそう。それを作ってます。

宇都宮 はい。

申立人 作ってる。

宇都宮 作ってます。当時がどうだったかちょっと今記憶が曖昧ですが、今作っております。

申立人 今はね。

宇都宮 はい。

申立人 そういうものを初めて作ったのは、Tさんが組合に入ってね。ね、稼動手当を8万円カットしますよっていうんで、その時作ってきましたよね。

宇都宮 そうだったかもしれません。

申立人 そうですよね。

宇都宮 はい。

申立人 そのとき初めて、労働条件通知書っつうものを会社は作ったんじゃないですか。

宇都宮 ちょっと曖昧ですが、そうだったかもしれません。

申立人 はい。あれは誰かに相談して作ってもらったんですか。

宇都宮 おそらく社労士の先生に相談して作ったと思います。

申立人 はい。その前はだからなかったですよね。このTさんが労働契約書を結んだ時に、それとは別に労働条件を明示する書類を作ってないですね。

Tさんは見たことないし、会社もそういうものは、ないですよね。少なくとも裁判とかそういうもので出してることはないですよね。労働委員会でも。

宇都宮 はい。

申立人 はい。これー、就業規則、賃金規定、三六協定書、いずれもTさんが就職した時に、群馬営業所には、常時閲覧できる状態にはありませんでしたよね。

宇都宮 はい。

申立人 ロッカーの中に鍵かけてしまってありましたよね。

宇都宮 はい。

申立人 はい。当時、賃金規定に稼動手当の説明は明記されてませんでしたね。

宇都宮 もう一度、すいません。

申立人 当時の賃金規定には、稼動手当っていう言葉は出てこなかったですよね。

宇都宮 稼動手当は出てなかったかもしれませんが、稼動手当という言葉は、なかったですね。

申立人 うん。

宇都宮 違う言葉であったと思いますが。

申立人 うん。

宇都宮 はい。

申立人 その稼働手当っつう言葉が初めて賃金規定に書かれたのは、平成27年、2015年の8月24日のことですよね。

宇都宮 すぐ分かりませんが、

申立人 まあTさんが組合に入って、ね、それで残業代のことで、要求書出したということをきっかけにして、

宇都宮 それがきっかけというか、以前からその監督署の方に、その前の言葉なんて言いましたっけ。稼動手当の前に就業規則で表現していたその言葉では、

申立人 調整手当ですかね。

宇都宮 調整手当では、その中央タクシーさんが言っている意味合いの言葉とすれば、うまく表現できてないから、言葉を変えた方がいいですよということがきっかけです。Tさんのことがきっかけではありません。

申立人 うん。時期的にはその後ですよね。

宇都宮 時期的にはその後です。

申立人 はい。甲36号証を見てくれますか。これはTさんが応募したハローワークの会社の求人票ですね。

宇都宮 はい。

申立人 平成26年、2014年の9月2日受付って書いてあるのがわかりますよね。

宇都宮 はい。

申立人 はい。これ、真ん中の列の「賃金」という項目がありますね。

宇都宮 はい。

申立人 真ん中の列で、賃金の形態、これが、一番上に「賃金」ってあって、まず「a基本給」というのありますね。

宇都宮 はい。

申立人 25万円から30万円。

宇都宮 はい。

申立人 で、「b定額的に支払われる手当」。何か書いてありますか。

宇都宮 書いてないです。

申立人 空欄ですね。

申立人 はい。「cその他の手当等付記事項」。何か書いてありますか。

宇都宮 書いてないです。

申立人 はい。それから賃金の形態、何か書いてありますかね。

宇都宮 「年俸」と書いてあります。

申立人 はい。「3,000,000~3,600,000円」と書いてありますね。

宇都宮 はい。

申立人 それで昇給はなし。

宇都宮 はい。

申立人 賞与が「あり」、「年2回」。「30万円~40万円」。いうふうになっていますね。

宇都宮 はい。

申立人 これは間違いないですかね。

宇都宮 はい。

申立人 それからその下、「就業時間」というところがあります。

宇都宮 はい。

申立人 分かりますかね。「変形(1ヶ月単位)」って書いてありますね。

宇都宮 はい。

申立人 それで、(1)から(3)まで、「0:00~13:00」、「02:00~15:00」、「04:00~17:00」、この三つが記載されていますね。

宇都宮 はい。

申立人 その下に「時間外なし」って書いてありますね。

宇都宮 はい。

申立人 「休憩時間180分」って書いてありますね。

宇都宮 はい。

申立人 「休日他週休二日制上って書いてありますね。

宇都宮 はい。

申立人 「求人条件特記事項」で「年俸には賞与分が含まれています」って書いてありますね。

宇都宮 はい。

申立人 9月20日午前10時より藤岡営業所にて説明会を開きますと。これのことですかね。説明会っつうのはね。

宇都宮 そうですね。

申立人 はい。

宇都宮 はい。

申立人 この三つのね、就業時間によると17時から0時の間は業務が入らないことになってますけども、これ、車は動いてないわけじゃないですよね。

宇都宮 はい。

申立人 その時間は、他の人がやるっていうことですか。

宇都宮 ここに書かれている内容と、実際の業務に、少し違いがあるということが、違いがあります。ただ、この説明会において、ここに書かれていることがこれでいいと言ってるわけではないですが、説明会において、実際の現状の仕事に対しての説明と、質疑に対して答えているということになります。

申立人 いずれにしてもこの1労働日当たり実働は10時間、休憩3時間、変形労働時間制でっていうことですよね。

宇都宮 ここにはそう書いてありますが、ここに書かれてる内容が、実際の実務とは一致していないと思います。それが決して正しいことではないですし、今、見る限りでは書き直す必要があるというふうに考えております。ただ、その説明会において、実際の業務のことをですね、きちんと説明しておりまして、この一つのフォーマットに当てはめていったときに、現実との違いがどうしても出てしまっていたり、見解の違いで出てしまっている部分があるかもしれませんが、説明会において、きちんと、稼動手当の説明等を含め、しているということは、判決文にも書いてあるとおりだというふうに思います。

申立人 裁判官はそこまで見てますか、これ証拠で挙げてないんだけど。

宇都宮 そこら辺の評価は、私は分かりませんが、それが事実です。

申立人 あのね、Tさん、これ証拠で挙げてないんですよ。そこはね、だから会社もね、説明したかどうかについては、会社の証拠も挙がってないし、だから、証拠を踏まえた判断じゃないんですね。実際、この求人票を見ていただくと分かるように、残業はなしって書いてあるんですよ。じゃあね、その就職説明会でね、この求人票は嘘でしたと、ね。本当は残業ありますよという説明をしたんですか。

宇都宮 細かい、こういうような説明っていう、つまり現実に、どういうような日常の業務になって、どのような時間帯で仕事をして、そしてどのような給与をお支払いさせていただいているかという説明をきちんとさせていただいております。

申立人 Tさんは、そのね、賃金、明細をもらうまで稼動手当なんて言葉は聞いてませんよ。

宇都宮 それは説明しております。

申立人 誰が説明したんですか。

宇都宮 この説明会においてしております。

申立人 誰がしたんですか。

宇都宮 当時、SNさんなのか分かりませんが、ちょっとはっきり私も把握しておりませんが、説明会で説明をしております。

申立人 Fさんですね。当時の総務課長。

宇都宮 Fさんだったかもしれません。

申立人 あのね、この求人票を見て、応募するわけですよ。ね。これ、実は違いますよなんて説明は一切されてないですよ。

宇都宮 はい。

申立人 そういう説明をしなさいというふうに、社長が指示してますか、明確に。

宇都宮 実際に行われる、日常の業務をしっかりとイメージして、現実に行われてる仕事の内容や給与の手当を説明しているということになります。

申立人 残業をね、じゃあ休憩時間はどう説明します、その時に。

宇都宮 はっきりとは分かりませんが、日常の業務でどのような休憩をとっていただいたりとか、ということがあるということを説明させていただいております。

申立人 これ、だから、求人票には180分休憩時間というふうに書いて、13時間の拘束時間と書いてあるんだけども。

宇都宮 はい。

申立人 そういう説明はしてないんですね。

宇都宮 そういう説明はしていないと思います。

申立人 180分という休憩時間も、ね、みんなこれ見てきてるんだけども。180分の休憩時間じゃないよっていう説明してますか。

宇都宮 定型的な業務ではありません。定刻で動く運行はしておりません。ということの説明の中に、休憩時間が長いときもあれば短い時もある。そういう説明をさせていただいていて、そのことをここに全部書き込むことは不可能ですので、おおよその内容ということで、書かせていただいておりまして、ハローワークの方にも大体全てフォーマットどおりにいかない場合はっていうような説明があるんだろうというふうに、以前聞いたことがあります。

申立人 じゃあ、この賃金形態もそうなんですか。このとおりいかないことがありますよって、ハローワークにそういう報告をしてるんですか。

宇都宮 実際の説明会においては、今後どのような賃金形態で、どのように稼動手当等をお支払いしてるかということを説明させていただいております。ここに書かれている内容がどうかということもありますが、説明会において、日常に即した説明をきちんとさせていただいております。

申立人 あのね、説明会でちゃんと説明するんだったら、ね。その求人票と違うんだから、労働条件通知書っていうものをちゃんと書いて、ね。交付しないと分かんないと思いませんか。休憩時間、残業代。

宇都宮 その日常でどのような仕事をしていただいてるかという、現実に即した内容をボードや口頭を使って説明をさせていただいております。

申立人 それ働いた後で賃金どうなるかって分かるわけでしょ。実際、残業はないよって言われてたのに、残業してるじゃん。

宇都宮 残業がないというような説明は、説明会では一切しておりません。

申立人 じゃあこれね、求人票は違いますよって説明は、だからしたんですかっていうの。

宇都宮 しておりません。

申立人 してないですね。

宇都宮 はい。

申立人 タイムカードってあったんですかね。

宇都宮 ないですね。

申立人 休憩時間の管理ってしてましたかね。

宇都宮 チャート紙を見てしていたと思います。

申立人 していたと思います。

宇都宮 はい。

申立人 誰が。

宇都宮 運行管理の方が。

申立人 それは何、どういうふうに。

宇都宮 チャート紙を見て、裁判の等々に出していた帳票類のようにです。

申立人 あれ裁判になってから作ったものですよね。

宇都宮 書式自体は違いますが、情報はそのようにして抽出しております。

申立人 その時には、労働時間、休憩時間はどういうふうに処理してたんですかね。

宇都宮 どのようにと申しますと。

申立人 万一、じゃあね、拘束13時間だとしますよ。求人票にあったとおりね。

宇都宮 はい。

申立人 休憩時間は、その実態に応じて判断したわけですよね。チャート紙を見て。

宇都宮 はいそうです。

申立人 そうするとこの日は休憩1時間だったとか、そういうこと全部書いてあったんですか。

宇都宮 そうです。そのチャート紙を見て、空いているところから休憩時間を割り出してました。

申立人 それで残業代がね、固定、払ってるかというよりも増え、出ちゃった場合は、ね。出さなきゃいけないですよね。

宇都宮 そうですね。

申立人 Tさんはそれで出なかったんですか。当時。

宇都宮 休憩時間の換算の仕方が、今回の裁判所における計算の仕方と違っていたから、出ていませんでした。

申立人 どう違ってたんですか。

宇都宮 私たちの考えていた手空き時間の休憩を休憩時間としては認めていただけていなかったからです。

申立人 その手空き時間とはどういうことですか。

宇都宮 どういうことといいますと。

申立人 手空き時間は全部休憩時間。

宇都宮 全部というか、そうですね。そういうふうに考えておりました。

申立人 うん。結構な時間になりますよね。3時間じゃきかないですよね。

宇都宮 その時によって違うと思います。

申立人 はい。陳述書は間違いないんですかね。

宇都宮 そのように考えております。

申立人 Tさんが他の従業員の前で大きな声でこんなクソみたいな会社辞めてやる、定年なっても頼まれても嫌だ、KNさんとかYMさんにそういうふうに言ってたと、いうことですか。

宇都宮 はいそうです。

申立人 それ誰から聞いたんですか。

宇都宮 本人から聞きました。

申立人 YMさんとKNさん。

宇都宮 はい。

申立人 う一ん。その2人だけ。

宇都宮 他にもおりましたが、その2人を具体的に示しました。

申立人 それはいつ頃の話ですかね。

宇都宮 いつ頃…。まあ、常々というふうに聞いてます。

申立人 甲12号証を見てください。

宇都宮 はい。

申立人 空港便の専属乗務員は、全員解雇したんですかね。

宇都宮 そうです、ほぼ。

申立人 全員解雇。

宇都宮 そうです。

申立人 この解雇の方針はいつ決定したんですか。

宇都宮 …。

申立人 これ4月13日付の解雇通知ですけども、これを決定したのはいつなんですか。

宇都宮 この日という明確な日付はわかりません。

申立人 先ほどのね、甲11ですかね。ここで、先ほど言ってましたけど、4月中旬には全ての従業員に説明する予定でありますとあって、この時はもう解雇するって決めてたような、主尋問の話ですよね。

宇都宮 決めてたというか極めて厳しい状況にあるということをお伝えしました。

申立人 うん。だけど、その時も決めてたんじゃない。4月中旬にね。説明会やると。説明会やるっていうのは解雇を伝える説明会をやるっつうふうに、最初からそういう考えだったんですか。

宇都宮 最初からそういう考えというか、極めて厳しいのでそうなる可能性もあるというようなことはお伝えしていたと思います。

申立人 その可能性があるよっつう話をすることも考えていたんですか。そのために集めるっつうこと。

宇都宮 一日一日のニュースでもうどんどん状況が目まぐるしく変わっていた時だったので、平時のような判断というよりは、逐次その判断の内容は変わらざるを得ない状況でしたので、楽観論悲観論の中で悲観論を少し強めに表現して伝えておりました。

申立人 甲9号証を見てもらえますか。

宇都宮 はい。

申立人 休業についての労使協定を2020年3月29日に説明して3月31日に締結したということですけど、Tさんにも説明してんですかね。

宇都宮 もう一度すいませんお願いします。

申立人 3月29日に労使協定、休業についてね、労使協定を結びたいということで、従業員に説明をして、3月31日に休業の労使協定を結んだと、書いてありますよね。

宇都宮 はい。

申立人 2番で。これTさんにもこれ説明してますか。

宇都宮 Tさんに説明したかはっきり分かりませんが、労使協定は過半数以上という、規約がありましたので、それに基づいて進めました。

申立人 政府から雇用調整助成金が出されたと思いますが申請はしたんですよね。

宇都宮 しました。

申立人 このね、甲の16号証を見てくれます。

宇都宮 はい。

申立人 休業の労使協定ですけども、これ期間は、令和2年、2020年4月1日から4月30日まで、なってますね。

宇都宮 はい。

申立人 で、途中のね、この期間の途中で4月の17日付けで解雇になってるわけですよね。

宇都宮 はい。

申立人 これ、労使協定違反じゃないですか。

宇都宮 労使協定の違反と申しますか、会社存続が、危ぶまれる状況の中で、労使協定のことと、労使協定が決して軽い意味であるということは申し上げませんが、会社あって初めての労使協定だというふうに考えております。

申立人 そもそもその雇用調整助成金でしのごうっつうことで、これだって、労使協定結んだんじゃないんですか。

宇都宮 売上が突如としてなくなるという状況の中で、平時と同じような判断はいたしかねるという前提で考えておりました。

申立人 そういう説明って、ね。組合が、4月1日付けで要求書出して、休業についての労使協定について説明しなさいということでね、要求しましたよね。休業についての労使協定書を出して理解を求めようと思わなかったんですか。

宇都宮 もう一度いいですか、すいません。

申立人 組合からね。質問事項が来なかったとかって言いますけども、質問事項はもう明確な話で、休業協定ってどうなってんだという話でもあったわけですよ。ね、休業協定書はこうなってますっていう説明をしなくちゃいけないと思わなかったんですかね。

宇都宮 休業…。

申立人 思わなかったから出さなかったんですよね。

宇都宮 ちょっとよく記憶しておりません。

申立人 うん。

宇都宮 組合の方もそうですが、人数的にはそれ以外の方がほとんどですので、多くの方にいろんな説明をしていくことが、頭にあったと思います。

申立人 だからね、従業員の側からすればね、どういう状況なのか知らないことには、いきなりね、解雇の説明会ですよ、全員解雇ですよじゃ困るわけですよ。だからね、労働組合としてはね、団結権の行使として、要求書出して詳しい説明を求めたわけですよ。だいたい解雇なんて話も寝耳に水ですよね。

宇都宮 ですからその1回目の説明会の時に、非常に厳しい状況にあるということをお伝えして、そして2回目の説明会の時に、全員の方にできるだけ同時に、お伝えすることが必要だというふうに判断しました。その時に、そこにTさんも一緒に参加していただけるということでしたから、コロナという状況下で、何回も何回もというところもありましたし、総合的に判断してそのようにいたしました。

申立人 甲11号証、4月の6日付けですけど。

宇都宮 はい。

申立人 この時、まだ非常事態宣言、出てなかったですよね。

宇都宮 まだ出ておりません。

申立人 うん。,

宇都宮 ですが、もう出るということが、かなり世の中では取り沙汰されていた状況だったと記憶してます。

申立人 この頃まだ営業もしてましたよね。

宇都宮 営業してます。

申立人 うん。

宇都宮 営業はずっとしてます。

申立人 はい。乙13の13ページ。

宇都宮 乙13、の13ページ。

申立人 Sさんのことが書いてあって、一番最後の段落ですね。Sさんの申立人組合からの脱退について、新たに加入した労働組合からの加入通知書に、「S氏は、会社と喧嘩をするのではなく、話し合ってもっと良くしていきたいとの想いから、今までの労働組合脱退しての加入となります」と記載されていたことが書かれていますが、事実ですか。

宇都宮 …。

申立人 Sさんがね。新たな労働組合からね。

宇都宮 そうですね。そういう記憶があります。

申立人 はい。Kさんから2018年11月22日未明に襲撃された件についてあなたはいつ知りましたか。

宇都宮 いつ知ったか、ちょっと記憶にありません。

申立人 その日のうちですか。

宇都宮 誰から聞いたのか、ちょっとよく覚えていません。

申立人 覚えてないんですか。

宇都宮 はい。

申立人 え一と、前回の証人尋問でKさんが証言したんですけど、2019年、令和1年12月28日付けで、あなたの名前でSさんに警告書という文書を交付してますよね。

宇都宮 ちょっと、すいません。

申立人 分かんない。

宇都宮 はい。

申立人 んとね、40件ぐらいね、いろいろ書き連ねて、就業規則違反の事例を列挙して、今後繰り返されれば懲戒処分にするという警告書をSさんに出したことある。

宇都宮 何となく、はい。

申立人 うん。それはKさんが襲撃されてから約1年後ぐらいですよね。

宇都宮 うん。

申立人 うん。その中に、平成30年、2018年ですね、11月22日、19時、S氏からH氏への電話において、K氏に対して、命を取る、埋めてやる、歯を一本一本抜いてやる、顔の皮を剥いでやるなどと常軌を逸した発言をしたというふうに書いてあるんですけども、覚えてます。

宇都宮 SさんがHさんに言ったってことですか。

申立人 そうそう。

宇都宮 ええ、なんかそういう話は聞いています。

申立人 あの一、1年後だから報告書が上がってたってことですよね、H所長からね。

宇都宮 ちょっとあまり記憶にないんで、その事件にあまり興味、関心がそれほどなかったので。

申立人 うん。だけど、こういう具体的な表現も含めて全部記録されてることは間違いないですよね。

宇都宮 おそらくそうだと思います。

申立人 この電話があった後で、すぐHさんから報告ありました。Sさんがこんなこと言ったって。

宇都宮 もう一度お願いします。もう一度質問すいません。

申立人 これだから、組合も騒いだし、大問題になったじゃないですか。

宇都宮 まあ、大問題と。はい。

申立人 その当日ですよ。

宇都宮 当日、はい。

申立人 襲撃された当日にSさんから電話がかかってきて、Hさんにね、Sさんこんなこと電話で言ってたっていう話は、聞いてるでしょう。

宇都宮 そういう話聞いたんですけど、いつとかそういうことまでは、あんまりはっきり覚えていません。

申立人 はい。襲撃事件の当日ね。夕方、私、Kさんと一緒に営業所に報告に行っているんです。Hさんにね、そこで、Sさん居たんですよ。玄関のね、入口の正面に。机に座ってました。その日はね、無断欠勤になってるわけですね、朝襲撃されて、そのまま倒れちゃっているから。Sさん知らないわけですよ。何が起こってるかはね。無断欠勤した。そこに、僕も一緒になって、事務所に上がりこんできたんで、何しに来たんだっていう顔をして見てたんですよね。

宇都宮 はい。

申立人 Hさんから案内されて2階で話をして、帰る時にはもうSさんいなかったんですよ。

宇都宮 はい。

申立人 だからね、そのあと、Sさんが7時だよね。Hさんに電話して、何があったんだという話になってね。襲われたらしいんだよっつう話になって、なんだあの野郎俺がぶっ殺してやるわっつう話になったんだと思うんですよね。

宇都宮 はい。

申立人 あのね、Hさんからこの報告聞いて、Sさんが犯人かもしれないって、あなた思いませんでした。

宇都宮 もう正直そこら辺の推測は、私がすること自体に意味がないと考えてまして。とにかく警察に委ねるというのがもう、どう考えても筋だと考えてましたので、もうそのことだけです。

申立人 うん。

宇都宮 はい。

申立人 だけど、警察に被害届出れば、会社はこういうことがね、報告書で上がってますって、そういう証拠を出しますよね。

宇都宮 うん。

申立人 当日ね。

宇都宮 はい。

申立人 HさんにSさんがね。殺してやる。顔の皮、剥いでやる。歯を抜いてやる。こういうね、電話でこんなこと言ってたんですっていう報告書はね、警察には出しますよね。

宇都宮 まあ、出すんですかね。はい。

申立人 うん。そうすると逮捕されますよね。容疑者として。

宇都宮 どなたがですか。

申立人 Sさん。

宇都宮 それは私には分かりません。

申立人 わからない。逮捕されちゃうんじゃないかなと思いませんでした。

宇都宮 まったく、もうとにかく、犯人を捕まえてくれということだけしか考えてなかったので、そのことが事実だとしたら。

申立人 うん。

宇都宮 だから、とにかく事実なのかどうかさえも私は正直よく分かりませんでしたので、事実なのか、そして、犯人は誰なのか、社内であろうと社外であろうと誰であろうと、とにかく捕まえなければ、その後は危険ですので、そのことだけです。それ以外に、推測等々私がしても意味のないことだと考えてました。

申立人 他にね。あなたが知ってる限りでKさんにね、強い憎しみだとか殺意を感じさせる人は他にいましたか。そういう発言をする人が。

宇都宮 お答えしてもいいんですけど、あまり本件の協議の内容とあまり意味がないように、個人的に感じますが。

申立人 他にもいるんですか。

宇都宮 何ですか。

申立人 他に、他にも。

宇都宮 いやだから、私はすいません、犯人探しに興味がないから、興味がないといったら、ちょっと語弊がありますが。

申立人 誰がっつう犯人捜しじゃなくて他にもそういう人が、思い当たる人があったんですか。頭の中には。

宇都宮 犯人。

申立人 いやだから、そういう殺意をね、持ってるんじゃないかとか。

宇都宮 誰が誰にですか。Kさんにですか。

申立人 そうそう。

宇都宮 誰かが。いやだから、それがもう何だかさっぱり分からないので、とにかく警察にお願いするのはそれ以外に何があるんでしょうかということです。

申立人 分かりました。はい。そのね、襲撃事件があって、その7日後に第12回団体交渉開かれてます。覚えてますかね。

宇都宮 はい。

申立人 おんなじようにね、被害届を出してくれと言いましたよね。

宇都宮 はい。

申立人 そういう問題じゃないよということでね、私もだいぶ激しく言ったんで、中にはね、ふざけんじゃないお前と怒鳴って怒られてね、謝りましたよね、私ね。

宇都宮 うん。ちょっとよく覚えてないですが。

申立人 はい。そのぐらいね、あなたはしつこくね、警察に被害届を出せって言ってたのは覚えてますかね。

宇都宮 それはもう、もうそれしかないと思います。

申立人 襲撃事件の後ね、2019年1月15日に申立人がね、この襲撃事件は許さないということでビラをね、群馬営業所にまきに行ってますけども、その時にもう、警察が出動する騒ぎがあったの覚えていますか。

宇都宮 何となく覚えてます。

申立人 うん。その時に敷地に入るなっつって対応に出てきたのH所長とSさんだったんですよ。覚えてますかね。

宇都宮 敷地に入れば、それはそういうふうにするんじゃないでしょうか。

申立人 うん。あの敷地に入ってないですけどね。まあいいや。で、H所長の指示でね、自分の携帯で警察の出動要請したのはSさんだったんですけども、それって知ってます。

宇都宮 申し訳ありません。あまり記憶にないです。

申立人 そうですか。

宇都宮 はい。

申立人 申立人のプログにも書いてあるんですけどもね。Sさんが敷地内に入るんじゃねえ、やんのかこのやろうっつうんで私に食ってかかってきて、それは記事にしたんですけども。なんかね、Sさん、元の組合の仲間って感じじゃなくて、H所長の右腕のような感じだったんですよね。

宇都宮 まあ、どうなんでしょう。

申立人 はい。覚えてない。

宇都宮 っていうか、あまり関心がないです。

申立人 うん。

宇都宮 はい。なかったので記憶があまりないです。はい。

申立人 先ほどのね、懲戒のSさん{こ対する警告書がね、申立人に渡るとは思ってなかったと思うんですけども、どうですか。

宇都宮 ごめんなさい、もう一度。

申立人 だからね、そんなことを書いた警告書が組合にね、渡るっていうのは意外でしょ。

宇都宮 あまりすいません。ちょっとそこら辺に、意識がなかったので、あんまり記憶がありません。はい。

申立人 うん。その間にね、1年の間に、襲撃をされたKさんはね、後遺症でやっぱり退職せざるを得なかったわけですよね。それは分かりますよね。

宇都宮 それは…、分かると言われても、分かりかねます。

申立人 うん。Kさんが辞めたらね、Sさんに対する態度が一変したんじゃないですか。

宇都宮 誰のですか。

申立人 会社の。

宇都宮 全くそんなことはありません。

申立人 そうですか。

宇都宮 はい。

申立人 Sさんはね、この警告書をもらって、組合に相談に来たわけですよ。それで、今まで会社のためにね、やってたのに、急に使い捨てにされそうだと。いうことでね。それで、相談に来たわけですよ。それで、私もね、こんなこと言ってたら、Sさんね、被害届を出したら逮捕されて、解雇されたよっつったら、非常に悔しがってましたよ。分かりますか、その気持ち。

宇都宮 いや、すいません。分からないのと、ちょっと個人的な見解になってしまいますが、本件の協議と全く関係のないお話に聞こえてしまいます。

申立人 分かりました。

宇都宮 はい。

申立人 私からは以上です。

審査委員長 はい、よろしいですか。

T  委員長。

審査委員長 はい。

T  私、Tから質問をいたします。私、Tは、平成26年11月、入社してから、固定残業代11万4600円分をオーバーした分を、何時間か、労働したかを把握していますか。

宇都宮 把握しておりません。

T  じゃ、オーバーした残業代は払ってないということですね。

宇都宮 そういうふうにも言っておりません。

T  じゃ、どういうことですか。

宇都宮 分からないということです。

T  分からない。

宇都宮 はい。

T  最高裁判所、サクライリュウコ裁判官。これについて判例を出してますけども、知ってますか。

宇都宮 …。すいません、分かりません。

T  はい。

宇都宮 はい。

T  それは、固定残業をオーバーした分を払っていないと、この固定残業制はいくらもゼロ円だと、いうことを同裁判官は述べているわけですよ。そういうことは、知っていませんか。

宇都宮 …分かりません。

T  判例ですよ、判例って知ってますか。

宇都宮 分かります。

T  その辺のところ、固定残業制、あなたはだいぶ誤解していると思う。判例をしっかり見てください。それともう1点、質問いたします。証人が、山本さん、KNさんから、Tは辞めてやると聞いていると言いましたが、これ、どのような感じで、いつどこで何をもって聞きましたか。

宇都宮 いつどこで何をもってというか、日常会話の中で幾度か聞いております。

T  ということは、あやふやなんですね。

宇都宮 いつどこで誰がという明確なことは言えませんが、日常会話で幾度となく聞いております。

T  Sさんから聞いたことはありませんか。

宇都宮 いつどこで誰がどのようにというのは、分かりませんが、幾度となく聞いております。

T  Sさんから聞いたことがあるということですか。こういうことについて、Tは定年になったら辞めると。

宇都宮 Sさんからは聞いたことはありません。

T  ありませんか。

宇都宮 私の記憶では、Sさんから言われたということはありません。

T  それと最後の質問になりますが、時給1,000円、この1,000円、1,500円じゃなくて、850円じゃなくて1,000円にしたっていうこと。それはどんぶり勘定で切りがよくて1,000円としたんですか、何か根拠はありますか。

宇都宮 根拠はあった、ないということはないですね。過去に時給でやっていただいてた方や、その他のことなどを勘案して、決めたというふうに記憶してます。

T  それはいつ頃、どこの営業所でどのような感じでやってたんですか。

宇都宮 具体的な細かいところまでは記憶しておりません。

T  大ざっぱで1,000円と決めたということですね、勘でね。

宇都宮 過去の時給で仕事をしていただいていた方や、長野で、時間で仕事していただいてる方など、総合的なところから、それぞれの方に不具合がないようにとか、考えて判断したというふうに記憶してます。

T  はい。それもしっかりとした根拠がなくてどんぶり勘定で決めたと、そういうふうに理解してよろしいですね。以上です。

審査委員長 よろしいですか。

K  あ、じゃあ、ちょっとすいません。

審査委員長 はい。

K  甲36号のことなんですけども。こちらは求人票の方ですね。ここの定年再雇用の項が右側にあるんですけども、「定年制あり一律60歳 勤務延長なし 再雇用あり70歳まで」と記載されておりますけども、これは、2013年3月の25日だったかな、そこに出てると思いますけども、定年再雇用の経過措置の協定書。例えばTさんが62歳ならば、62歳から年金がもらえるからそこまでですよという、あれですよね、協定書。その協定書の後に出されたもので間違いないですよね。

宇都宮 はいそうです。

K  そうですよね、時間的に。これはその後の求人票にも記載されておりましたか。

宇都宮 その後といいますと、どの後。

K  例えば、Tさんの後にも求人票出してますよね。

宇都宮 まあ、出してると思います。

K  はい。

宇都宮 ちょっとそう、

K  その時も勤務延長の後、70歳までという記載がありました。

宇都宮 ちょっと分かりませんが、ちょっと記憶はありません。

K  あと、すいません。経過措置でTさんのように、時給制で再雇用された例というのはありますか。

宇都宮 ありません。

K  ないですよね。

宇都宮 はい。

K  それはなぜですか。

宇都宮 それは、Tさんのように、定年前の労働雇用契約、基本給、稼動手当、その稼動手当を、固定残業代として認めませんというような見解の一致がされない方が定年を迎えたという例がないからです。

K  それは組合が主張したということで間違いないですよね。

宇都宮 他の方と同一労働ではない状況の中で、同一賃金で進んでいた、その方が、稼動手当が固定残業代だということを認めずにして、定年を迎え、その見解の一致がなされていない雇用契約を継続するという判断に迫られたことは今まで1回もなかったからです。

K  裁判上や我々の組合の主張として、稼働手当がおかしいという主張をしたから、時給制にしたということですか。

宇都宮 契約、

K  主張をすることも許されないんですか。

宇都宮 契約をしていこうという時に、お互いの見解が一致するから契約になるのであって、定年前の雇用契約の見解の一致がなされないのに、そのまま継続して同じ契約を結ぶということは、現実的に有り得ない話だと思います。その稼動手当が固定残業代だということは裁判でも認めていただいているにもかかわらず、それを理解せず、理解しようともせず、相変わらず固定残業代として認めずに、時間外手当を請求される状況の中で、どうしてそれが契約できるのか。であれば、明確に時間に対してお支払いいただくための時給制を採用せざるをえない。他に方法があるなら教えて欲しいという思いです。

K  じゃあ、固定残業代の話をしましたよね。固定残業代は一体、何時間含まれているんですか。深夜何時間含まれてるんですか。割増率違いますよ。法定休日、ね。35%だ。どうやって計算するんですか。法定休日、きちっと予定表に示しました。

宇都宮 固定残業代のあり方に対しての見解の違いがあるということが、問題だと思ってます。

K  そういうことを聞いてんじゃなくて、計算の仕方ですよ。

宇都宮 計算の仕方は深夜時間等々によって変わってきます。

K  25%ですよね。割増率も全然違うわけですよ。じゃ、休日出勤誰がしたか、ね。彼がしたけども、それは法定休日なのか、法定外休日なのかっていう区別してないでしょ。どうやって計算するんですか。当然、これは固定残業代じゃないって主張するでしょ。主張したからこそ、不利益扱いしたんじゃないか。違いますか。

宇都宮 計算方法の違いで、話し合った記憶はございません。固定残業代であるかどうかということの認識の違いについて、常々話してきたというふうに思います。そこを受け入れていただけなかったというのが事実だと思ってます。

K  じゃあ、固定残業代として何時間含むということも、何時間残業したかっていうことも、いまだには出せないわけですね。

宇都宮 出せなくないですね。

K  何で出さなかったんですか。例えば80時間含まれているっていう、

宇都宮 表にしたら莫大な組み合わせが出てくる。

K  11万4,600円の稼働手当のうち、残業は何時間まで支払われてるということか聞いてるんですよ。そこが不明だったからこそ、含まれてない、含まれてないんじゃないかっていう主張をしたわけですよ。ね。当然でしょ、この場で、じゃあ何時間含まれてるかって計算したんでしょ。計算したなら言えるはずじゃないですか。言ってください。分からなければ結構ですけど。以上です。

審査委員長 反対尋問は時間がかなり過ぎているんですが。

SG補佐人 すいません、ちょっと。

審査委員長 じゃあ、手短に。

SG  今のことに関してですけども、ここはやっぱし、労働者と経営者と、その中で、職場状況がいい形で変わっていくか、というようなことも含めてのだと思いますけれども、宇都宮さん、固定残業代ということを言ってますけれども、それで、固定残業代だから、一人一人の労働者の働く時間を管理しなくてもいいということですね。そうですよね。そうじゃないと会社をやっていけないよ、ということですよね。

宇都宮 そのようなことは一言も申し上げておりません。

SG  じゃあ、その固定残業代に対して運行管理者がいて、運行していく場合に、一人一人に対して、非常に過重が及んだり、そういう形が起こるわけですよ。そういうことについては、一切職場状況を考えないで経営していたということですね。

宇都宮 そのようなことも、一言も申し上げておりません。

SG  うん。だけど、実態としてはそういう、会社状況が続いていると。だから、例えば、一人の人に対して、ちょっと過重な長時間があるというような形についても、目配せはしてなかったということですね。

宇都宮 そのような話は、今一切にしておりません。

SG  じゃ、そういうこともちゃんと考えながら経営をしてたということですか。

宇都宮 様々なことを考えてやらせていただいて…

SG  いや、様々なことじゃなくて、そのことについてです。だから、労働者自身の間に、固定残業代だということで、労働時間を管理してなくても、いいということで言っていて、そしたら当然と起こることとしてですよ。知らなくても、そういう会社かということで、例えば非常に長時間になって疲れてしまうとか。そういうようなことが、実現するということは考えなかったですか。それだけです。考えたか考えなかったか。経営上で。

宇都宮 配車は、それぞれの人が、どのような時間体でどのような時間の長さで、走っているのかということを把握しながら、できるだけその中での最適を確保するために、配車の方が営業所同士連携しながら、考えて配車を行っておりました。

SG  そういう経営ですね。じゃ、この人は残業が発生してるとか、そういうことは固定残業代だから考えない。

宇都宮 その中に全部含まれていることは把握しております。

K  何時間含まれているか、言えてねえじゃねえかよ。

審査委員長 よろしいですか。

申立人 ちょっと1点だけ。

審査委員長 1点だけ。

申立人 先ほど、あなた、残業代のことを説明して、裁判の判決も説明をしてもね、Tさん分からなかったって話をしましたけども、判決はTさんの解雇の時ですよね。裁判の判決が出たのは、ね。Tさんが解雇された後の話ですよね。判決の話なんかそれまでしてないですよね。出てないですよね。

宇都宮 判決は、出てないですね。

申立人 うん。間違いですよね。だからさっき言ったのはね。

宇都宮 いや、それは時系列というよりは、その判決が出た後も、つまりその後の、例えば先般の労働委員会の尋問においてでさえも変わっていないということを申し上げたわけです。

申立人 うん。だから、この件については関係ないですよね。間違いですよ。だから、その判決の話を持ち出したってのは間違いですよね。記憶違いでしたね。

宇都宮 今でも変わってないから、その当時もそうだったということです。

申立人 それ判決が出てからの話でしょ.

宇都宮 そうです。

申立人 はい。

T  はい。

審査委員長 じゃ、手短にお願いします。’

T  この前、当労働委員会において、証人は不当労働行為があったと認定されています。それ以後、群馬労働組合あるいは労働組合のTに対する考え方、見方、何か変わったことはありますか。

宇都宮 不当労働行為の判決があったことも含めての前橋地方裁判所の判決だと認識しております。

T  いや、当委員会で、それ以後、あなたは証人として、今、呼ばれているんですけども。何か、不当労働行為が認定されて、稼働手当が減額したのはだめだと言われたと。それ以後、労働組合、あるいは労働組合員に対する見方っていうのは何か変わったことがありますか。ありませんか。

宇都宮 その判決も含めた委員会の判決も含めた上での前橋地方裁判所の判決だというふうに認識して…

T  そうじゃなくて、あなた自身がそういうふうなものを受けて、不当労働行為が認定されて、これはまずかった、こうしようとか、いろいろ考えたと思います。全く変わってないっていうことなんですかね、じゃあね。

宇都宮 労働委員会の判決も前橋地方裁判所の方含めて、前提においての今回の判決だということを認識しています。

T  だから、前提としてあなた自身の主体性として、人間として経営者として、そういう指摘を受けていろいろ考えたと思います。何も考えなかったと、今までどおりと同じように、労働組合を、反対する意見をカットすると、そういう見方は変わってないと解釈してよろしいですね。

宇都宮 そうではありません。

T  じゃあ、どういうことですか、はっきり言ってくださいよ。自分の言葉で、魂からきちんと言うべきことは。正式な場なんですから。きちっと話してくださいよ。早くいい加減に話すんじゃなくって、あなたが言ってることはほとんど嘘、でたらめ、いんちきですよ。信じられませんよ。

宇都宮 そう思われてしまうなら結構です。

T  あんた、

審査委員長 すいません、もうこれで。

T  はい。

審査委員長 はい、これですいません。再主尋問の方はよろしいですか。では、これで証人尋問は終了させていただきます。席にお戻りください。

注[ ]で囲んだ部分は、注釈であって、尋問及び証言の内容ではない。

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