月刊労働運動9月号。川谷内書記長の報告


群馬合同労働組合の闘いの報告

群馬合同労働組合

書記長 川谷内 政樹

組合加入前の状況

 職場はワンボックスカーで自宅から成田・羽田空港へ送迎を行う中央タクシー(本社 長野市)旅客運送業でした。1日16時間以上の勤務、まともな休日は月に2日しか保証されず、年間半分近くの繁忙期を有給凍結となっており、有給休暇など取得できる状況ではありませんでした。2015年頃から極度の人員不足により、サービスエリアへのピストン送迎すら高速を140キロで走っても間に合わず、当時10人足らずの職場は1年間で半分入れ替わるような状況でした。「運行の合間にトイレもいけない」、「運行管理者からスピード違反しても迎え時間に間に合わせろ」そんな怒りを漏らす同僚に同調している様子を盗聴器で確認し、長時間労働で疲弊している中で、突如としてパワハラ行為が身に降りかかって来ていました。

労働組合の必要性と一抹の不安

 自身の職場状況を通じ労働組合の必要性を強く感じましたが、労働組合が闘わなくなったといわれて久しく、諦めかけていた時に国鉄闘争を終わらせていなかった事実は私にとって絶望から希望への転換点となりました。群馬合同労組はそこから繋がり現在に至ります。

 しかしながら、加入を決めた後も合同労働組合であるがゆえに企業別組合のように運動のリーダーが職場にいない一抹の不安は残りました。

組合会議の在り方が不安を解消

 群馬合同労組は定期的に組合会議を行っていますが、執行部以外の組合員も自由に参加し、日々攻撃にさらされている現場労働者の苦悩を共有ししています。職場で起きていることを全体で「労働相談」のように取り組む体制のイメージになるかと思います。

中央タクシーの闘争では、組合加入するや否や事務所に閉じ込められて、私は千羽鶴を折らされたり、便所掃除。他の分会員は給与の3分の1を減額されました。ネット掲示板への組合員への罵詈雑言、経営者の著書から労働組合に対する嫌悪感を超えた異常とも思える敵意がどこからくるのか、職場の様子を細かに共有し、その反撃の過程で固定割増賃金のインチキが明らかになりました。残業代を明細に記載しておき、同額を別手当から差し引く。これを「固定割増賃金」として、会社側は割増を従業員に実質支払わずに長時間労働を強いていたのでした。委員長からの知らせで勝利への道筋がつきました。

闘争時における苦悩や職場における変化を会議の中でさらけ出すことによって、怒りを共有すれば、職場に労組のリーダーがいないことは杞憂でした。そして何よりもT組合員の詳細な勤務の記録がその裏付けとなり闘いの前進に繋がりました。

渾身の怒りが団結へ

中央タクシーに限ったことではないものの、不正な金儲けの仕組みをあばかれる脅威からか団体交渉は熾烈な攻防でした。ただの一度も書面で回答もせずに交渉時間を1時間一方的に指定した上で組合員に自己紹介をさせ、要求書を読み上げる時間稼ぎを行ってきました。要求項目に答えない(わからない)不誠実な社長に対し、業を煮やし「お前ではだめだ!親父(会長)を呼べ」など怒鳴りつけ机を蹴飛ばしたり、怒りが爆発する場面もありました。もうそこにはワンマン社長の前に微塵も恐れることはなくなっていました。そしてストライキが根底からの怒りの表現として個々の組合員が共感と全体の団結が形成を生み出して来ていった感をもっています。

組織拡大に向けたネットの活用と職場での多数派へむけて

  各職場の闘争において私が国鉄闘争に希望を見出したように労働運動が身近なものとして目に留まりやすくできるように反原発高崎駅前金曜行動でのビラ巻きや街頭活動を基軸にネット環境の積極的な活用を行ってきました。SNSを通じ組合のサイトへの閲覧者も増え、ネット検索では「群馬 労働組合」と検索すれば最上位にヒットするようになってきました。 いろんな手法がある中で、群馬合同労組は入り口としてのネットの活用を重要視してきました。また、会議に参加できない組合員にはSkypeを用いた遠隔会議も行っています。

 そして多数を獲得するかという問題では、中央タクシーでは先述の固定割増賃金のインチキ(定額働かせ放題)による過重労働の仕組みは、利潤の相当部分は未払いであることに外ならず、それ故に、時には労基署を使い、過重労働に対して労基法を守れという要求を徹底していました。群馬の事業所では人員が倍増し、ほぼ労基法上の休日が取れるように変化しました。経営者一家の生活の糧である利潤の低下を最小限に抑えるべく、他の事業所間に労働条件の差異が生じ、そのタイミングが多数を獲得する機会と狙っていましたが、ここで誤算が生じました。利潤率低下を極度に恐れ利益が出るまで数年はかかるにもかかわらず、無謀な運行エリア拡大を行いました。実は、この数年前に新規事業の失敗から同様なエリア拡大を行い、短期間で同様の誤りを繰り返してしまい、更に運賃を3割程度引き上げ、一気に倒産情勢に陥ってしまったものと思われます。一時的に30名程度の組織を作り上げたものの私に対する襲撃事件も起きた関係で組織化できず終わり、今後に向けて事例として検証しなければならない課題として残りました。

外国人労働者の加入と女性労働者の決起

群馬ではここ近年外国人労働者の加入が相次いでいます。劣悪な労働環境の最前線で苦闘する彼らとの言葉の壁を超えた労働組合との出会いと新聞販売店で働く若い女性労働者の決起が大いなる希望を組合員に与えています。

その女性労働者と共に闘うご身内の一言「(労働運動・大衆運動は)要は生き方の問題なんだよね」。そうして仲間と共に強くなって来ています。

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