群馬バス労働委員会で準備書面提出

8 12月 by gungoroso

群馬バス労働委員会で準備書面提出

群馬バスを相手にした群馬県労働委員会での不当労働行為救済申立。

第2次申立で、第1次のM分会長の解雇撤回に加えて、4件の救済申立をした。

11月30日、この第2次申立に関する主張をメインとした準備書面(4)を労働委員会に提出。

57ページの長さであるが、公開する。

不当労働行為意思は明白だ。負けるわけがない。

 

(写真は2017年団結忘年会)

 

群労委平成29年(不)第1号・平成29年(不)第2号

株式会社群馬バス不当労働行為救済申立併合事件

 

2017年11月30日

 

群馬県労働委員会

会 長   清水 敏 様

 

 

申立人  群馬県高崎市柴崎町60-2

群馬合同労働組合

執行委員長  清水彰二

 

 

準備書面(4)

 

 

第1  第2  (略)

 

第3 被申立人が2017年4月以降の雇用契約書「誓約事項」に付け加えた事項が不当労働行為であることついて

 

  • 具体的事実等

 

1  2017年3月31日、Tと被申立人は、2017年4月1日から一年間の「嘱託雇用契約書」を締結した(甲43号証)。その中に「誓約事項」第7項として「日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他団体を結成し、又はこれに加入いたしません。」、及び第8項として「日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他団体の傘下、下部組織又は影響下にある組織に加入いたしません。またそれら組織の構成員又は支持者と契約行為はもとより、関与、接触いたしません。」という文言が新たに付け加えられた。

 

2  前項1に関して、申立人は、2017年8月に組合員・Tから同「嘱託雇用契約書」の写しの提出を受けて事態を認識し、2017年8月22日付「追加要求書」にて「Tとの雇用契約に関して、2017年度(2017年4月以降)の雇用契約書においてはじめて追加された項目であるかどうか、回答されたい。」(甲45号証(4)②)と要求したところ、被申立人は2017年9月11日第3回団体交渉において「T氏及び当社間の雇用契約については、平成29年4月1日から1年間を有効期間とする雇用契約書において初めて追加されたものです」(甲46号証 2(4)イ)と回答した。

 

3  また同追加要求書にて「この第7項および第8項と同内容の条文は、Tとの雇用契約書以外にも、貴社従業員との雇用契約書に記載されているものであるかどうか。また記載されているのであれば、その範囲について回答されたい。」(甲45号証(4)①)と要求したところ、被申立人は「平成29年1月以降に当社が締結した雇用契約書には全て、同内容の規定が記載されています。」(甲46号証 2(4)ア)と回答した。

 

4  さらに申立人は、同追加要求書(4)として以下の点について回答を要求した。

④    第7項および第8項中「日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他団体」について、具体的にどのような団体を想定しているのか、また「革命的共産主義者同盟全国委員会(中核派)」は該当するのかどうか回答されたい。

⑤    第8項中「その他団体の傘下、下部組織又は影響下にある組織」について労働組合も該当するものであるかどうか回答されたい。

⑥    第8項中「それら組織の構成員又は支持者と契約行為はもとより、関与、接触いたしません」について、労働組合への加入は該当するかどうか回答されたい。また支持者と会話をする行為も該当するのかどうか回答されたい。「関与、接触」について具体的に説明されたい。

⑦    ある団体が、第7項および第8項中「日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他団体」に該当するかどうか、また第8項「その他団体の傘下、下部組織又は影響下にある組織」に該当するかどうかについて、だれがどのようにして判断および認定をするのか、回答されたい。またある行為が、第8項「関与、接触」に該当するかどうかについて、だれがどのようにして判断および認定をするのか、回答されたい。

 

5  前項4に対する被申立人の回答は以下の通りである。

エ ④について

第7項及び第8項は、後記クにおいて述べた経緯により追加された条項であり、これらの条項にいう「日本国憲法施行の日以後において、…政党その他団体」としては、犯罪組織等を想定しています。なお、当社は中核派の詳細を把握していませんので、中核派が該当するか否かに関する回答は控えさせていただきます。

オ ⑤について

前記エにおいて述べたとおり、第8項は格別労働組合を念頭に置いたものではありませんが、状況によっては今後検討させていただきます。

カ ⑥について

労働組合への加入行為の該当性については、前記オと同様、状況によっては今後検討させていただきます。

「関与、接触」については、個別具体的に判断いたします。

支持者との会話が「関与、接触」にあたるか否かは、一般論として、従業員が支持者のご主張につき何ら把握せずに同支持者と複数回会話したというような事案であれば、「関与、接触」にはあたらないものと考えています。

キ ⑦について

第7項及び第8項該当性については、一次的には当社が各種公的機関等から公表されている情報に基づき判断いたします。

ク ⑧について

当社は昨年よりインバウンドのお客様に対する対応を始めていますが、東京オリンピックの関係でも、今後外国人のお客様に対する対応の増加が見込まれることに加えて、大規模なイベントに関連した業務の増加も見込まれます。こうした中、近年、海外でテロ事件が頻発していることや、日本における大規模なイベントについても警備が非常に厳しくなっていることから、公共交通機関である当社としてもテロ事件の発生を未然に防ぎ又はテロ事件に巻き込まれないようにすべく努める必要があります。また、当社は、公共交通機関という公共性の顕著な業務に携わる立場にあり、行政庁より補助金等の援助を受けていることなどから、公務員の欠格事由に準じた事由を設けるべきであるという考えに至りました。第7項及び第8項は、このような経緯により追加されました。

また、第7項及び第8項は、当社の判断として追加したものです。

 

6  第3回団体交渉では、これらの点に関して、以下の通りのやり取りが行われた。(甲38頁6行目~)

 

清水  はいはい。要するに東京オリンピックで入れたということですか?

SA  よろしいですか?SAです。東京オリンピックだけではなくて、インバウンドの扱いをするとか、大きなイベントもある、それからあの国交省の方からテロに対する対策という通知が毎年来る、そういうのを考えたときに、今後についてはそういう大きな事業に、イベント等にかんでいくためには、そういう基準も必要かなと思ったわけです

清水  必要かなと思った?

SA  必要だと判断したわけです

清水  これ、他の会社でこういう規程を入れているという話を聞いたことがありますか?

SA  いや、それは調べませんでした。

清水  調べてないわけね

SA  うちの会社の判断として入れたわけです

清水  公務員に準ずる理由をもうけるべきであるという考えにいたったわけですか?

N弁護士  この書いてある通りですよね

SA  はい

I弁護士  すみません、本当に会場がもうあれなんで、このあたりで終了させていただければと思いますが

 

 

  • 2017年3月31日付被申立人とTが交わした「嘱託雇用契約書」「誓約事項」第7項及び第8項が不等労働行為であることについて

 

1   同「誓約事項」第7項及び第8項(以下「第7項」「第8項」という)の文言は以下の通りである。

第7項

「日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他団体を結成し、又はこれに加入いたしません。」

第8項

「日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他団体の傘下、下部組織又は影響下にある組織に加入いたしません。またそれら組織の構成員又は支持者と契約行為はもとより、関与、接触いたしません。」

 

2   被申立人が、いつ、どこの場で、この雇用契約書の「誓約事項」の追加を決定したのかは明らかではないが、申立人組合群馬バス分会が組合通告をして、第1回団体交渉を行った後であることは間違いがなく、Tが雇用契約書に署名をした2017年3月31日以前であることは間違いがない。

 

3   被申立人は就業規則の「服務規律」の中で「第22条-2(反社会的勢力の排除)」として「1.従業員は自己及び自己の親族、友人、関係者等(以下「従業員等」という)が暴力団、暴力団関係企業・団体その他反社会的勢力(以下「反社会的勢力」という)、または反社会的勢力の支配・影響下にあってはならない。」「2.従業員等は反社会的勢力と契約行為をすることはもとより、関与、接触してはならない。」という条文を、少なくとも2015年(平成27年)2月には規定していた。(甲48号証)

 

4   第7項、第8項は、日本国憲法21条第1項「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」の規定に違反するものである。

 

5   憲法違反の第7項、第8項を被申立人は、なぜ申立人組合の分会が結成されてから、しかも就業規則の「服務規程」第22条-2の規程があるにも関わらず、あらたに雇用契約書の「誓約事項」として付け加えたのか。被申立人は、その理由について、ひとつとして「インバウンドのお客様に対する対応」「東京オリンピックの関係でも、今後外国人のお客様に対する対応の増加が見込まれる」「大規模なイベントに関連した業務の増加も見込まれ」「警備が非常に厳しくなっている」「テロ事件の発生を未然に防ぎ又はテロ事件に巻き込まれないようにすべく努める必要」などという。

しかしながら、そもそも、4で述べた通り、第7項・第8項は、憲法に保障された基本的人権である結社の自由に制限を加える重大事項であり、それを制限するにあたっては、具体的な差し迫った理由が必要である。

ところが「インバウンドのお客様に対する対応」「テロ事件の発生を未然に防ぎ又はテロ事件に巻き込まれないようにすべく努める必要」というのは、なんの具体性も切迫性もなければ、行政から指導されたということでもない。

 

7   さらに被申立人はもう一つの理由として「公共交通機関という公共性の顕著な業務に携わる立場」「行政庁より補助金等の援助を受けていること」などから「公務員の欠格事由に準じた事由を設けるべき」という考えにいたった、と回答した。しかしこの主張にも理由がない。

そもそも公務員の「欠格条項」とは憲法99条「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」との規程を根拠にしているものであって、一民間企業の被申立人が、しかも1年に期限を限った「嘱託雇用契約」において同等の条項を課すことは何の法的根拠もないものである。それでも被申立人が、公共交通機関としての責任を果たすというのであれば、まずは従業員に「公務員に準じた」労働条件を補償する努力が先であろう。

また被申立人が公共交通機関であり、行政から補助金を受け取っていることは、被申立人の会社設立以来、何も変わっていないのであり、ことさらに2017年になって、規程をつくる理由はない。

 

8   さらに申立人が「日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他団体」について、具体的にどのような団体を想定しているのか、回答を求めたところ、被申立人は「犯罪組織等を想定しています」と回答した。

しかしながら、就業規則の「服務規程」第22条-2ですでに「反社会的勢力の排除」を規定しているのであり、意味がない。

また、第7項・第8項の該当性については、「一次的には当社が各種公的機関等から公表されている情報に基づき判断」と回答したが、「各種公的機関等」とは何か、何も具体的なことは示されていない。

被申立人は、このような曖昧な誓約事項を、申立人組合分会が結成されたタイミングで、付け加えたのである。

しかも、被申立人は、労働組合への該当性についても「状況によっては今後検討させていただきます」と排除しないと回答した。

これらは、申立人組合を暗に「過激派」として悪宣伝がなされる被申立人職場において、実質的に、申立人組合を連想させるものである。

 

9   被申立人は、申立人組合を「過激派」として認識し、被申立人従業員が組織する群馬バス労働組合ならびに交通ユニオン群馬バス分会の役員や組合員と一体となって、暗に反「過激派」宣伝を行っている。

これについて、断片ながらいくつかの点を指摘する。

  • 2017年2月15日、群馬合同労働組合のブログに「労働者」と名乗る匿名の書き込み(組合の管理人は承認せず、掲載されず)があり、そこに「T村さんから(合同労組になんか入ったら公務員目指してる娘の就職がパーになる)と聞き…」との記載があった。(甲50号証)
  • 申立人組合員・Tは、被申立人・K安全管理部部長代理から、「3組と関わるとそのうち公安にマークされるわ」という話を世間話の中で言われたことがある。K氏は、元警察官である。
  • 2017年4月、被申立人榛名営業所の休憩室などで、被申立人とユニオンショップ協定を締結する群馬バス労働組合の役員が「Oさんと話をすると会社にいられなくなる」などの話をしている状況があった。情報源は明らかにできないが、群馬バス労働組合の組合員が、こっそりとOに教えたことである。
  • インターネット上の書き込みサイト「爆サイ」に群馬バス関係者が立ち上げたと思われる「群馬バス」というスレッドが2016年11月25日付で立ち上げられた。2017年2月18日から申立人組合・組合員に対する誹謗中傷が次々と書き込まれ、申立人組合を「第3組合」と呼んで、反過激派宣伝が行われている。(甲49号証)
  1. 「NAZENとか言う原発反対運動の人とつるんでるんですねあの組合。インターネットで調べたら更にヤバい所と繋がりました!」(#25 2017/02/19 21:49)、
  2. 「もう泥沼から出られないでしょう!彼らを群労に紹介した人が、なぜ第3組合に加入しないのか⁉それはその恐ろしさを知ってるからでしょう!」(#28 2017/02/19 22:55)
  3. 「赤いトラクター歌ってる人に似た人みたいですよ!この間、ブログに赤いジャンパー着てガッツポーズしてましたから。よっぽど赤が好きなんですね!」(#42 2017/02/20 12:37)
  4. 「どおりで 朝からみなさん おはようございます。じゃなくて『おめでとうございます‼』って言ってたわけだ(笑)」(#164 2017/03/10 07:44)(※申立人・M分会長がアルコール検知器に引っかかった当日の投稿)
  5. 「噂どうりの過激派ですね!」(#247 2017/03/18 20:59)

 

10 よって、被申立人が、2016年末から遅くとも2017年3月31日までに、雇用契約書の「誓約事項」に第7項・第8項を書き加えたことは、明らかに被申立人従業員が申立人組合に接触すること・加入することを妨害する目的で行われたものであり、申立人組合の組合運営に支配・介入するものであり、労働組合法第7条第3号に違反するものである。

 

第4 被申立人がOに対して、特別に法定外休日にダイヤを割り当てず、勤務をさせないという取扱いは、差別的不利益取扱いであり、労働組合法第7条第1号に違反するものである

 

  • 具体的事実等

 

1        2016年10月12日、申立人と被申立人の間で第一回団体交渉が開催された。被申立人は、Mの入社時に休日に関して「週休二日」、「休日出勤は任意」との説明を受けているが、これに関して会社の見解を示すこととの要求に対して、「当社は、M氏が入社時にいかなる説明を受けているかについては担当者退職のため把握していませんが、当社としては、『週休二日』及び『休日出勤は任意』との前提に立っています。」との回答を行った。(甲23号証)

 

2  2016年10月12日の第一回団体交渉の中で、労働時間と賃金の問題について、以下のやり取りがなされた。

 

(甲31号証22頁27行目~)

MI 今後は一切入れないからそういう問題ないでしょ

SI  本人が出ますよっていっているのを出さないってことですか?じゃあ

清水  ちょっと待ってください

MI だってそのときによって出たり出なかったり、三日前に言われても困るもん

SI  だから配車くむ前に

清水  ちょっといいですか。あのね、Mさんはそういっているのは、あのー、最初からそういう説明をうけて、家の農業もあるし、

M  ええ

清水  休みはね、ちゃんととりたいと、ここだったらとれると、いう前提で、そういう説明もされたし、それで就職決めたわけですよ。だけど就職してみたらね、週1日しか休みがとれないという状況で、これはだまされたなという感じがあるわけですよ

MI それはもう、だから、今後は入れないようにしますから

清水  だからちょっと待って。そのうえで、その、あの、いま残業代の話もありましたけれども、あの、それで食っていけるならそうしますよ、だけど食っていかなくちゃいけない、で残業代の計算もどうもよくわかんないという状況なんだから、その、ちゃんと払われているのかどうかということも含めて、全部そろわないと判断ができない

MI うーん…

N弁護士  ちょっと確認させてください。ちょっとごめんなさいね。Mさんですかね、さきほど私は言葉尻をつかんでね、あんたいったろいったろということをいいたいんじゃないんです。あとあと誤解のないように確認をしたいから聞くんです。

M  はい

N弁護士  さきほどあなたの方では今後、勢いでおっしゃったのか考えておっしゃったのか、それはいいんですけど、あらためてお聞きします。今後は一回一回聞かなくてもいいんですねと私が聞きましたよね?

M  はい

N弁護士  およそ週休2日を堅持すると、これをご希望だということでいいんですね?

M  おおよそってことですよね?

N弁護士  おおよそじゃないです。だから聞いているんですよ。まあ自分は週休2日でいきたいというふうにおっしゃったと思うんです

M  いいましたね。

N弁護士  それでいいんですか?

M  それでいいとはここで返事したらずーっと週休2日ということですか?

N弁護士  だからお互いに

M  それをいってもらわないとわからねえ

N弁護士  だからあなたの趣旨を聞いているんですよ。私はこういえとか…

M  だから任意ですよ。おれが出たいときは出る

N弁護士  出たいときは出る…

MI それだとどっちがあれかわかんないですよね。自分が、だってそれじゃあMさんが配車するみたいじゃないですか…

N弁護士  だからこういう表現でお互い先鋭化してもしょうがないんで。例えばこういうことだと理解しやすいですか。お互いですけども。おれが出たいときは出るというのはだれかをはじくことなんで。そんな簡単なことではないと思うんです、私はね。

M  あー

N弁護士  でこういう配車表を作ろうと思うんだけどどうだいと、いうことをいってほしいというのが真意なんじゃないんですか?

清水  うん。だからね、今の手取りというのは休出をね、月4日だとか5日だとかやっての、今の賃金なんだよね

M  ええ

清水  それが、その計算に疑問があるわけだけども

N弁護士  計算の方はさっき…

清水  それがだけど休出がなくなると、残業代の部分が相当減るだろうから、そうすると、たとえばOさんなんか休みたいけども食っていけなくなっちゃうわけですよ。それは困るわけ。それは当然ですよ。ローンもあるし生活もあるわけだから

N弁護士  だから、わかりますよ、その解決方法としてはね、まず前提として配車の方をするのが会社の仕事じゃないですか

清水  はい

N弁護士  それでこういうふうにくんだと

清水  はい

N弁護士  で、それで、ね、私が聞いている範囲では、基本それは押しつけではないと。どうとらえているかはわかりませんよ、あなたが。ただこれについて要するに休みの大事さと給料の大事さを従業員としては考えるでしょ?当然

清水  はい

N弁護士  それで原則会社は、ね、任意といっています、任意といっていますけども、週休、2日のうちの1日を乗務するという前提で提案しているわけですよ、従前の体制としては。それに関して、嫌だということは言えるわけでしょ?

 

(甲31号証25頁8行目~)

MT  この間もMさん、現場の者の意見として、申し込みがあって、稲刈りをするということで急遽、違う日に休みを調整させていただいてお休みをとっていただきましたけれども、…は現場の方もまわらなければいけませんから、そういう形のなかでもやっていますけれども

清水  それは有休で?ということですか?有休の申請ということですか?

MT  有休になるのか、あるいは公出の変更になるのか、わからないですけど。その辺のところは…まあ給与締めが近くならないとね、どっちを使うのか知りませんけど…調整しますけどね

清水  とりあえず今回ね、要求書であの出しましたようにこれは任意であるということの確認はとれたので、まぁ今後どういうふうにしていくか、まぁ、それは現場的にもあの、まぁどういう形でやるのがいいか、ちょっとその辺はね

MT  そういう希望であれば

MI いいよね、そういう希望だったら二日間休みあげるよね

MT  できるだけ努力しますので

MI そうしましょうよ、二日間あげますよ

清水  ちょっと待って。それはだから給料がどうなるかまだね、考えて…

AK  有休を取るときは、やっぱり労働者の方からね、

MI 有休はちゃんととってもらってますよ…

AK  ようするに休日出勤をするというときは、全員に三日前なら三日前に一応いいですかということを聞かなくちゃいけない、配車が大変だからということで全部入れてあれするということはちょっとワンマン的なやり方じゃないですか…

N弁護士  ちょっと空転しているように思うんですよ。こういう理解でいいですか?Mさんに関しては会社の方としては休日出勤をお願いしない

MI うん。しない。

AK  いや、そういうことをいってないですよ

M  そういうことはいってませんよ

M  任意というのは、任意っていうのは、たとえば今月はちょっとかせぎてぇよ

N弁護士  ちがうよそれ、

MI いや、だって

N弁護士  ことわる自由があるということですよ…

MI いいよ、週休2日希望したからいいよ、するからいいよその通り

清水  そんなことまだいってないよ

SI  そういうのを生活破壊っていうんだよ

清水  だからね

MI 希望の通りですよ

清水  希望じゃないよ

清水  いや、だから、ね、さっきからいってますけども、いったんそういうふうにいったけれども、それは最初にそういう説明をされてて、実態は違うということに対する不信感があるということで

N弁護士  まぁ僕の表現でいえば勢いでおっしゃったのかなと、さっきいったじゃないですか

清水  はいはい

N弁護士  だからそれをそのまま聞く気はないですよ、こっちは

清水  はいはい

N弁護士  もう一回もうしあげるとあのーみなさんがいう、委員長がいうようにね、いわれるように、給与規程の計算がわかんないから云々とおっしゃる、一見その通りとも思うけども、よく考えればざっくりとはわかるでしょ?1日出ればどれだけなのか、ね、で、結局は休みの大事さとかせぐ大事さとで悩まれているわけでしょ?それに対して何十何円まで出なくても1日月のうちの、要は週休2日だけど出ればどのぐらいになるかいうのはざっくりとはわかるんじゃないんですか

清水  いやだからそれは、それがわかんないから、ね、あの残業代の問題も出してるわけですよ、だからおかしいということなんですよ、だからちょっと待ってください、それについてはね

 

 

3  2017年2月1日付「要求書」において、申立人は被申立人に対して「(8)休日の振替について、本人の合意を取ること。振替日を必ず指定すること。」を要求した。(甲24号証)

 

4  3の要求に対して、被申立人は、2017年3月27日の第二回団体交渉で交付した「回答書」において、1-(5)として「当社の就業規則上、休日の振替につき従業員の同意を要しないとされているため、本件要求書(8)前段のご要求には応じられません。他方、振り替えるべき日の特定は行う所存です」と回答した。(甲18号証)

 

5  この点について、第二回団体交渉において以下のやり取りが行われた。

 

(甲19号証22頁32行目~)

清水  今まで振り替えるべき日の特定はおこなってなかったということですよね

MT  そうですね…振替のことに関しましては…休みをその週で取れるように、まぁ年休で休みたいとか希望があったときには相談しながら振り替えるのがいいのか、さきほどいったような年休で処理するのかといったような形で処理してきたんですけど、それだと…あれだということなんで、できるだけ振り替えて…振り替える日を特定するようにしたいと思っています

清水  これからそうするっていうことですね

MT  はい

清水  今までだけど本人と相談なんてしていたんですか

MT  まぁ本人がたとえば週ごとの部分になってきちゃうってことですよね、それを振替で年休を取っておいて、公休を振り替えるというのがいいのか、有休を処理したいということで…するという形をとるということであればそういう形にするということですけども、そういうところは基本給になると…2年3年前にやったわけですけども…なっているのかどうか知りませんけども時給のときには休んで年休をとれば給料が発生していたという部分と基本給だったから年休を取ったら基本給が下がらない分だけ、まぁ、になったというふうなところが、基本的に…考え方の相違という部分があったのかなと思うんですけど、振り替えについてはそういう形で事務と相談しながら振り替え日を指定したいと思います

清水  これからそうやってやるということですね

M  返事がないっすね

清水  そういうことでいいんですね

MT  はい

 

6  2017年4月25日、被申立人は、Oの法定外休日に指定されている木曜日の4月27日の勤務に関して、月のダイヤローテーション表(流れ表)ではこれまで通り法定外休日に勤務を指定しているにもかかわらず、これまでの慣例を破って、法定外休日に一方的に休日出勤を指定しない配車表を交付した。これによりOは通常の勤務日が減らされ、給与が減額になることを恐れ、MT榛名営業所長に法定外休日にこれまで通り勤務を指定するように抗議したが、MT所長は「団体交渉で決まったことだから」と、Oの要求を拒否した。(甲51号証)

 

7  2017年4月26日、申立人・清水彰二委員長がMT榛名営業所長に電話をして、Oの要望通り、これまでと同様、法定外休日に指定されている木曜日に勤務を入れて休日出勤をさせるように話す。(甲52号証)

 

8  4月27日、Oの法定外休日の木曜日、これまでは出勤日としてダイヤが割り当てられていたが、はじめて一方的にダイヤを割り当てられず、休みにされた。(甲53号証)

 

9  5月2日、5月4日の法定外休日の出勤が外されたことについて、OはMT所長に抗議したが、MT所長は「話をはぶらかせて逃げ」た。(甲58号証)

 

10 5月4日木曜日、O、法定外休日の勤務をはずされた。2回目。(甲53号証)

 

11 5月18日木曜日、O、法定外休日の勤務をはずされた。3回目。(甲53号証)

 

12 5月23日、申立人、要求書を提出して、「Oに対して、休日勤務の減少、それにともなう賃金の減少が行われているので、即刻差別的な不利益取扱いをやめること」と要求した。(甲54号証)

 

13 5月24日、O、25日の法定外休日出勤が外されたことについて、MT所長に抗議する。MT所長から「お前は、たかが運転手だろうが。わきまえろ!」と、恫喝をうける。(甲60号証)Oが「労働委員会の追加要請します」というとMT所長は「どうぞ」と答えた。(甲61号証)

 

14 5月25日木曜日、O、被申立人榛名営業所のダイヤ要員が不足しているにもかかわらず法定外休日の勤務をはずされた。4回目(甲53号証、甲59号証)

 

15 5月25日、被申立人5月度給与支給日。Oに対して、法定外休日の木曜日、4月27日、5月4日の2回分、勤務が減らされた額、291,155円が支給された(甲56号証、甲62号証)

 

16 申立人の5月23日付要求書に対して、回答期限の5月31日、被申立人が申立人に対してファックスにて、「当該団体交渉開催の必要性を含めて検討中」と回答した。(甲55号証)

 

17 5月26日、被申立人は、Oに対して2016年11月の無断掲示物の件で、3月16日付「譴責」の反省文を提出するように指示したが、Oは提出しなかった。

 

18 6月1日木曜日、O、法定外休日の勤務をはずされた。5回目。(甲53号証)

 

19 6月5日、Oから申立人清水に対して、「また木曜日休みになりました。言っても無駄ですね」とメール連絡があり(甲63号証)、申立人は「通告書」を被申立人にファックス送信して、「6月8日の休日勤務が指定されない場合、当組合はすみやかに群馬県労働委員会に救済命令の申立をすることを通告」した。(甲57号証)

 

20 6月7日、5月23日付「要求書」及び6月5日付「通告書」に対して、被申立人はファックスにて以下の内容の「回答書」を送付した。「6月8日分につきましては既に配車が行われておりますところ、同日に勤務することとなっている他の従業員との調整が必要となり同従業員に対し大きな影響が生じることを考慮しますと、O氏において同日に運転業務を行っていただくことは事実上困難ですので、ご要求には応じかねます。なお、休日勤務を望まれる揚合には、乗車日の7日前までに申し出ていただければ可能な範囲で対応いたします」(甲64号証)

 

21 6月7日、被申立人は6月8日のOの法定外休日にダイヤを指定せず(甲65号証)、同日付被申立人「回答書」にもとづいてOは坂本榛名営業所副所長に対して法定外休日はすべて勤務を入れるように要求することを通告した。(甲66号証)

 

22 6月8日木曜日、O、法定外休日の勤務をはずされた。6回目。(甲53号証)

 

23 6月9日、O、6時30分室田始発の業務で系統・コース間違いのミス。(甲69号証)

 

24 6月14日、被申立人は、5月23日付「要求書」に対して、「回答書」をファックスにて送付し、「貴組合は、団体交渉において、休日勤務につきO氏らの同意を得ることを強く求められましたところ、当社は、O氏の同意が得られない限りはO氏に休日勤務を命じないという対応を貫いております。また、O氏が休日勤務を望まれる揚合には、配車業務の都合上乗車日の7日前までに申し出ていただければ可能な範囲で対応いたします。以上のように、当社はO氏に対し差別的な不利益取扱いを行っている訳ではありませんので、ご要求には応じかねます。」「団体交渉の開催には応じかねます」と回答した。(甲67号証)

 

25 6月15日木曜日、O、法定外休日の勤務をはずされた。7回目。(甲53号証)

 

26 6月15日、申立人が要求書を提出、以下の5項目について要求した。(甲68号証)

(1)   同「回答書」(※6月14日付)にある「団体交渉において、休日勤務につきO氏らの同意を得ることを強く求められました」とは、いつ、だれに、どのように求められたのか、明らかにされたい。

(2)   「O氏の同意が得られない限りはO氏に休日勤務を命じないとの対応」はいつ、どの場で、だれが決定したのか、明らかにされたい。

(3)   Oは、休日勤務をさせるように、休日勤務をやらせない対応は不当であると、MT榛名営業所長に対して、繰り返し抗議をしている。群馬合同労働組合としても清水彰二執行委員長が電話において、MT所長に繰り返し抗議をしている。にもかかわらず「O氏の同意が得られない」から「休日勤務を命じない」とはどういうことなのか、説明されたい。

(4)   即刻Oに対する不当な休日勤務の禁止をやめること。

(5)   この間Oの希望にもかかわらず休日出勤を禁止した勤務日について、謝罪し、休日出勤したものとして取扱い、平均賃金を支払うこと。

 

27 6月23日、被申立人、Oに対して6月9日のミスに関して「経路を誤り運行し、苦情を生じさせ、且つ携帯電話を使用した状態でバスを運転した」ことを理由に停職7日の懲戒処分を発令した。(甲69号証)

 

28 6月23日、被申立人6月度給与支給日。Oに対して、法定外休日の木曜日、5月18日、5月25日、6月1日、6月8日、6月15日の5回分、勤務が減らされた額、266,351円が支給された。(甲70号証)

 

29 被申立人は、Oに対して、6月26日、27日、28日、30日、7月2日、3日、4日を停職日として指定し、この7日間、Oは業務につけなかった。(6月29日は法定外休日、7月1日は法定休日で休日扱いとされた。)(甲53号証)

 

30 6月29日木曜日、O、法定外休日の勤務をはずされた。8回目。(停職期間中)(甲53号証)

 

31 6月30日、被申立人は、申立人の6月15日付「要求書」に対して、「回答書」をファックスにて送付して、以下のことなどを回答した。(甲71号証)

(1)   貴組合は、平成28年9月26日付け要求書(8)において、「Mの入社時に休日に関して『週休二日』、『休日出勤は任意』との説明を受けているが、これに関して会社の見解を示すこと」を要求されました。また、同年10月12日の団体交渉において、同要求事項に関し、概ね、O氏及びM氏が希望するときに休日勤務を行いたい旨のご要望が出されました。以上より、貴組合が休日勤務に関する本人の同意を求められたことは明らかです。

(2)   当社は、平成28年10月12日付け要求書に係るご回答3項(8)において、「休日出勤は任意」との立場に立っている旨回答しておりますが、O氏との関係においてもかかる立場は変わりません。なお、予め翌1か月分のダイヤローテーションを作成して各ドライバーの勤務日及び休日を周知した上で何らかのご事情により予定されたドライバーによる運転が困難となったときには休日勤務の依頼を行うという当社の勤務実態よりすれば(O氏はこのような実態につき十分にご存知のことと思います)、他の従業員に与える影響を考慮すると、この「休日出勤は任意」とは、希望すればいつでも休日勤務が可能であるという趣旨でないことは明らかです。

(3)   貴組合は平成29年6月5日付け通告書において同月8日のO氏の休日勤務を要求されましたが、当社は同ご要求には応じられない旨回答しております。当社がこのような回答を行った理由は、配車が既に完了していたために対応できないことであり、O氏の同意が得られなかったことではありません。また、貴組合は、同月13日、電話にて、1週間前に申し出たにもかかわらずO氏の休日勤務が認められなかったことにつき抗議されました。当社がこのような対応を行った理由は、運転を行う予定であったが運転を行うことが困難となったドライバーが出なかったことであり、O氏の同意が得られなかったことではありません。

(4)   これまでご説明してきたとおり、当社は、O氏の休日動務を不当に拒んでいるものではありませんので、ご要求にはお応えできません。

(5)   本件要求書に関するご回答としては本書に尽きており、団体交渉を行ったとしても本書のご説明を繰り返すのみになります。貴組合が団体交渉において解決するとは考えていない旨表明されていることをも考え合わせますと、団体交渉を実施する必要性は乏しいものと思料いたします。

 

32 2017年7月10日付で、申立人は、被申立人に対して、要求書を提出し、Tの申立人への加入を通告すると同時に、以下の項目をはじめ9項目の要求を提出した。(甲72号証)

(1)      O組合員に対する2017年6月23日付「懲戒」を撤回すること。同「懲戒」は、理由についても、処分の重さについても、当労働組合員に対する差別的不利益取扱いであるので、撤回されたい。

(2)      2017年6月30日付「回答書」の回答「1 本件要求書(1)について」で「同年10月12日の団体交渉において、同要求事項に関し、概ね、O氏及びM氏が希望するときに休日勤務を行いたい旨のご要望が出されました」とあるが、Oに関してだれのどの言動をもって「希望するときに休日勤務を行いたい旨のご要望がだされた」と主張するのか明らかにされたい。

(3)      O、Tの2017年夏期賞与が減額されている。減額の根拠を示し、不当であれば減額分を支払うこと。

 

33 7月19日、榛名営業所にて被申立人・MI専務が、居会わせたOに対して、Oの着用している眼鏡のレンズに色が入っているだろうとクレームをつけた。(甲73号証)

 

34 7月25日頃、7月19日に被申立人榛名営業所に群馬運輸支局の監査が入った件について、「先月の経路間違え、携帯電話使用により、群馬運輸支局の厳しい監査が入り、隅々までチェックされましたので、今後は、いろいろな指導を行わざるを得ませんので、皆様のご協力をお願いします」という、事実とは異なる「夏季の総点検の再確認」というMT所長名の文書が榛名営業所運転士に回覧され、各々なつ印を求められた。(甲74号証)

 

35 7月25日、被申立人7月度給与支給日。Oに対して、法定外休日の木曜日、6月29日の1回分、勤務が減らされた額、さらに停職7日分の勤務が減らされた額217,893円が支給された。(甲84号証)Oは、「手取りで13万円しか」ないと申立人組合に貸付を要請した。(甲85号証)

 

36 8月15日、O、再び8月17日の法定外休日の勤務がはずされたことに対してMT所長に抗議した。(甲75、76号証)

 

37 8月17日木曜日、O、法定外休日の勤務をはずされた。9回目。(甲53号証)

 

38 8月22日、申立人は7月10日付要求書に関して、「追加要求書」を被申立人に提出した。(甲78号証)

 

39 8月24日木曜日、O、法定外休日の勤務をはずされた。10回目。(甲53、77号証)

 

40 8月31日木曜日、O、法定外休日の勤務をはずされた。3週連続で11回目。(甲79、80号証)

 

41 9月8日、O、眼鏡の色に関して、MI専務から「パワハラ」を受ける。(甲81号証)

 

42 9月11日、申立人・被申立人の第3回団体交渉が開かれた。被申立人は「回答書」を文書で交付し、以下の通り回答した。「平成28年10月12日に開催された団体交渉における平成28年9月26日付追加要求書(8)に関する討議の中で、M氏は概ね希望するときに休日勤務を行いたい旨のご発言を行われました。こうした流れの中、O氏のお考えを確認する発問がなされ、清水委員長よりO氏は休みたいものの食っていけなくなってしまうのは困る旨の発言がなされ、N弁護士より従業員としては休みの大事さと給料の大事さを考えて判断されるのでしょう旨の発言がなされました。上記やり取りより、当社は、O氏におかれてもM氏と同様のご要望をお持ちであると考えました。」(甲46号証)

 

43 第3回団体交渉の中でこの問題について以下の通りのやり取りが行われた。

(甲47号証22頁32行目~)

清水  …で、2つ目。えーと。これOさんの休日出勤の件ですね。平成28年、えーと、団体交渉における、M氏はおおむね希望するときに休日出勤を行いたい旨のご発言を行われました。こうした流れのなか、O氏のお考えを確認する発問がなされ、清水委員長よりO氏は休みたいものの食っていけなくなってしまうのは困る旨の発言がなされ、N弁護士弁護士より従業員としては休みの大事さと給料の大事さを考えて判断されるのでしょう旨の発言がなされました。上記やり取りより当社はO氏におかれてもM氏と同様のご要望をお持ちであると考えました。おかしいでしょ。この文章が。なんで、私がね、Oさん休みたいものの食っていけなくなってしまうのは困ると発言したと、N弁護士さんがね、従業員としては休みの大事さと給料の大事さを考えて判断されるのでしょうと、このやり取りから、OさんにおいてもMさんと同じように、おおむね希望する時に休日勤務を行いたい旨の希望を持っていると判断されました。全然違うじゃん。誰がそういう判断をしたわけですか?MIさんですか?

MI いや、してませんよ

清水  誰が判断したんですか?

MI そういうふうにみんなが受け取ったということじゃないですか?

M  みんなって誰ですか

清水  みんながってどういうことですか、それ

M  全員いってください、固有名詞で。いえないの?みんなじゃわかんない

MI こっちもわかんないから

I弁護士  すみません。I弁護士ですけども。私も団交の場にいさせていただいて、流れからすると私もそのように受け取りました。ただ、それが確かに誤解だというんであればそれは申し訳ないと思います。で、実際にOさんとしてはどういう休日出勤に関してはお気持ちなのか、あらためて教えていただいてもよろしいですか?

O  これはですね、たいへん不利益が出ましてですね、こういうことになるのはわかってましたんで、えー、通常通りの出勤で、あの、家庭とかもありますので、普通通りの、今まで通りの形の方がよろしいかと、ということです。

N弁護士  教えて、N弁護士です、今の質問と重複しますが、通常通り、今まで通り、というのは具体的にはどういうことであるか、ひいてはOさんの休日と、休みの大切さと、給料が下がっちゃう、手取りが、お給料というか、…が下がっちゃうと、どっちもむずかしいだろうなということで昔いったんだと思いますよ、ね。で、今現在のお考えをもう一回教えてください。

O  今現在

清水  だからまるのね、法定外の休日については全部出勤にしてくださいと、それが、あの団交に入る前です。

N弁護士  いや、ご本人がいるんだからご本人がまず教えてください

O  ええ。一重まるですね、法定外ですね、これを自分だけこう休みにさせられていますけど、それだと不利益が生じましてですね、あのちょっと食っていくのにはたいへんなので、なるべく、なるべくというか、出勤ですね

清水  全部出勤です。基本的に全部出勤です。

N弁護士  こういう理解で正しいか教えてください。まぁどちらか天秤にかけるのむずかしいでしょうけど、休みとお給料と、お給料を優先したいとこういうお考えだと

O  はい

N弁護士  そういうご理解でよろしいんでしょうか

清水  はい

N弁護士  そういうご希望なんですよね

清水  はい。それはね、団交のこういう取扱いがはじまって、今までまるの法定外の出勤があの休日にさせられて、で、これじゃあ困るということで、Oさんは所長にも申し入れをしていますし、所長がらちあかないというので、私の方から連絡をして、これでは食っていけないんだから、今まで通りのね、取扱いにしてくれということは再三申し入れてます。

N弁護士  私がね、ごめんなさい、N弁護士です。まぁ群バスさんにも教えていただきたいんですけど、私の感想というか理解をいいますとね、まぁ休みも大事だけど、給料、食っていくため、生きていくために当然もっと稼ぎたい、ね、そのご希望があったとしますよ、現にそういうことなんでしょう、それをある方の希望を全部実現するためには、枠というものがきっとあるので、どなたか、他の方の乗務日数を減らすとか、ね、無限に枠がふえるならいいですよ、そうするとある方のご希望を全部、全部というかなるべく沿おうとするとしわよせというか、他の方の勤務、乗務日数が減ってしまうとか、余分な心配かもしれませんが、そういうことがおこるんじゃないかと思うんですけど、その点はいかがですか

MT  その点はいまおっしゃるようなことが出てくるかと思います。それもそうですが、こちらに関しては第1回の交渉の方の部分での回答ということになっておりますので、第2回は3月の交渉においてはですね、週休2日とあるいは休日出勤は任意であるという立場の前提に立っておりますとの回答を会社の方はしたと思うんですが、それにともなって、当然、休日に関しては振り替え休日を必ずすると、振替はするんだぞ…

清水  振替は必ずするんだぞ、じゃなくて、振替をちゃんと指定しろといったんだ

MT  指定しろ?

清水  うん

MT  で、指定したことによって、ちゃんと指定をするということは、その場で休みのところの期日のキチッとしたところをふり替える中で、休みの申し出を休むという申し出があったんだというふうに私共はそこでそういうことができるんだなと、振り替えするんだなと、いうことの中で、ここにおられた方の何名かだと思いますけどね、その時に私は…茶化されながら、私は、はい、振り替えますよという話を私はしたつもりでありますので、そういったなかで、任意ではございますけど休めるときには休んでいただく、休めないときには仕事に出ていただきますよという、第2回の交渉の話の中での実行をさせていただいていると私は理解してますけど

清水  だけど第2回の団交の中でも、あの、給料が下がるような扱いはしないようにっていうことはいっていると思うんですよね。だから、確かにね、あの、そこのところどう整理するのかっていう問題は出てくると、だけど一貫してね、今の給料が落ちるようだと生活に困るんで、それは絶対ダメだよと、いってます。それで、実際にそういう取扱いをOさんを休みにするという取扱いはじまってから、Oさん抗議もしたし、僕も連絡、電話を入れて直接話をしましたけれど、それについてはね、とにかく、給料落ちたら生活困るんだと、それだけはね、今の現状ではあの、絶対だめだよと、だから、ね、その、今まで通りの取扱いにしてくれという申し入れをしましたよ、だけどそれは私のレベルでは判断つきませんという形で逃げてですよ、回答もせずにですよ、それが今までずっと続いているんですよ

MT  私からすると逆のような気がしますよ

清水  どういうことですか

MT  あの、そのやり取りがあったときに、私の方としてはあくまでも、休めるときには休んでいただくと、休めないときには出ていただきますよ、任意ではあるけども振替をしながらそういった形の中で…

清水  だから、ちがうちがう

MT  …話をしたと思いますよ。それについてどうのこうのっていったらば、全部休ませちゃった方がいいのか、全部出るのがいいのか、それはたぶん本人と検討するという話で、僕の方は逆に…

清水  全部出るって言ったじゃないですか

MT  はい?

清水  全部入れてくれっていうことでいったでしょ?それからずっと…

MT  それはちょっと私の方は…、全部入れてくれといわれても、それはそういうわけにはいかない

清水  だからなんでなの?それは

MT  だから、だって、団体交渉でご要求になった問題じゃないんですか?

清水  だから、さっきから同じことをくり返させないでくださいよ、ね、どっちもバランスということが最初から出てますよ、同じ問題ですよ、だから両方あると確かに、ね、振替休日だったら振替日を指定しなさいというのはこれは法律の問題ですよ。当然の話じゃないですか、ね?それは当然の話でしょ?それは要求の話ではないんですよ。要求の話は、両方のバランスがあって、Oさんについてはね、給料減らすなと、いうことでいっているわけだから、おかしいでしょ、振替休日を振替日を指定しろという話とね、いっしょにするというのはおかしいでしょうが。それは法律の話で、法律通りにやれよといっているだけの話であって、団交の要求とかっていう以前の話でしょうが。

N弁護士  あー、N弁護士です。あの二つの問題が確かにあるかと思いますが、私がまだ理解してないんかもしれないんですが、振替休日については振替休日の指定の問題があります。それからさっき私がお聞きしたのは、Aさん、Bさん、Cさん、たくさん労働者いるわけですよ。で、いやぁ自分はなるべく働きたいんだっていうのを、群バスは全部受け入れていくことができるんですかって聞いているんです、私は。

清水  Nさん、いいですか。それは、あの、この組合、分会ができる前からずっといっしょなんです。みんないっしょなんです。その、まるのね、法定外休日は基本的に出勤にするっていうのが全員そうなんです。でOさんだけが組合に入ってからそういう扱いをやめたんです。だから差別的不利益取扱いでしょっていっているわけですよ

MT  そんなことはないですよ

O  いや、区別

MT  いや、そんなことはないですよ

O  差別ですよ、これは

MT  第2回の組合の中で、団交の中で、お話した内容ですよ

清水  だから団交を理由にして、彼だけ減らしたわけでしょ?

MT  いや、それは休みが振替もしたり、休みを必要としているというふうに…

清水  だからそれは違うといっているでしょう、さっきから。何回も申し入れもしているでしょうが。

MT  …休日の出勤に関しては任意であると、いうことの主張についてはうちの方は…

清水  じゃあ今回こういうことで確認するから、今後まるは絶対入れなさいよ

MT  絶対というわけにはいかないです

清水  なんで

MT  全体の中の流れの中で

清水  全体の流れのどういう流れですか?全部入れてるでしょ、みんな、他の人は。組合員だけ入れてないんでしょうが。

MT  入れるときには入れてますよ

清水  え?

MT  入れるときには入れてますよ。

清水  なに?

MT  そこの時に休みがあるし、仕事がやってもらわなければいけないときは…

清水  違うよ、なんでそこで最初からOさんだけはずしてんのっていってんの

MT  そんなことはないですよ。休みがある人はいろいろしながらやってる…

N弁護士  Nです。端的に言ってね、差別かどうかっていうのは評価なんですよ、ね、人によっては見方が違うでしょう、お立場も違うでしょう、ね、で事実関係として、差別かどうかは私は何とも言えませんが、Oさんだけ特別な方法をとられているんですか?

MT  別にO君が、団体交渉の流れの中で、週休2日で…

N弁護士  要望とかありましたよね

MT  要望があったことに関して、私の方はそういうことなんだろうということの中でそれを履行しているだけですよ

清水  だから特別に扱っているということでしょ

N弁護士  だからご要望は、ごめんなさい、私Nでもうすぐ話を切りますよ、団体2回目かな、1回目かな、いずれにしても要望があったと、それをふまえた対応をしてこられたとそういうことなんでしょ?

MT  そういうことなんです

N弁護士  こういうことなんでしょ?

MT  はい。そういうことです。

清水  だからそのね、それは本人が、ね、そういう希望を持っているからそういうふうにしてるんだっていうわけでしょ?

MT  ん?

清水  この回答ですよ。本人の希望をそういうふうに理解したから、そういう扱いをしているんだっていうわけでしょ?

MT  そういうふうに…組合…

清水  だからそれ違うって、最初から言ってんだっての

SI  はずしてるんは誰がやってるわけ?

清水  違うってさっきもいっただろうが。

I弁護士  すみません、今でも休日出勤はOさんにはお願いしていることもあるわけですよね?

MT  ある

I弁護士  だけどもそのやり方がちょっと違ってるんじゃないかってそういう話をされてる…従前とはやり方が変わっていて、それはちょっと違うんだろうという話をされているわけですね、主張としては。うん。

N弁護士  私も、テープをね、録音の反訳文を全部今覚えていないんでまちがったことをいうかもしんないですけどね、そうしたら訂正してもらえばいいんですが、Oさんの最初のね、あるときの団交のご要望っていうのはかんたんにいうと、ちゃんと休ませてくれと

清水  それはMさんでしょ?

N弁護士  Mさん?ああごめんなさい。でね、ごめんなさい。で、ちゃんと休ませてくれと、でそれから、その後半というかな、やっぱりそれじゃあちょっと困ったなというようなことで、お話が若干…

清水  それはMさんです

N弁護士  ですか?それはMさん?でOさんに関しては一貫してあれですか、休日出勤をしたいと

清水  だから給料が減っては困ると

N弁護士  なるべく、まぁ給料減ってというのは理由だからごもっともでしょう、誰だってね。だから、要は、ごめんなさいね、なるべく働きたいんだ、休日出勤をかなり入れてくれと、こういうことでいいんですか?ご要望というのは

I弁護士  それから私はちょっとまちがっていたら教えてほしいんですけど、群バスさんの取扱いとしてもOさんが配車の数日前、何日か前という限定があると思いますけども、それよりも前に休日勤務を行いたんだけどとおっしゃったら、それについては可能な限りは対応しているというふうに伺っていたんですけどそういう理解でよろしいですか?

MT  はい。あの、えー、6月の7日だか9日の時の回答の通りの形、でずっとおんなじ…

I弁護士  ただ少なくともこれからはOさんとしては休日出勤はできる限り入りたいとそういうご希望をお持ちであるということですよね?

O  はい。

清水  だから他の人と差別しないでくれって

吉原  他のドライバーと同じようにまるついてる日は出勤にしたいっていってるんですよ

清水  まるの日をさ、休みにしてくれっていっている人が他にいますか?

MT  中にはいますね。

清水  誰ですか?

MT  まるということではないですけども、あの、いろいろと変更して…

清水  できるだけ、ね、法定外の休日は休みしてくれと希望している運転手は他に誰がいますか?

MI 個人名は言えないよね

清水  何人ぐらいいますか?

MT  まぁ2、3名いるんじゃないですかね

清水  2,3名はそれあの…

MT  だけども、出てもらわなければいけないから、出てもらったりなんかいろいろしていますけどもね

清水  その人たちはどういうふうにいれてるんですか?基本的にはずすの?法定外の

MT  外れるようだったらはずします

清水  え?

MT  外れるようだったらはずしますよ。仕事の内容によってね

清水  外れる…その人たちは基本的に外れたいという意向なんですか?

MT  まぁできれば、ということでしょう

清水  できれば?

MT  はい

清水  で、どのぐらい、入るんですか?月に例えば、平均的に

MT  ちょっと記憶にない、ちょっと忘れました。

I弁護士  そこについては資料がないのであまり明確には答えられないということですかね

M  一件いいですかね、Mです。あの、先ほどMTさんが、あの仕事の都合で出てもらうとかいってましたけど、あらかじめカレンダー配っているんじゃないんですかね?仕事の都合もへったくれもないでしょう。ダイヤが1ヶ月ごとにでてるんだから。

MT  うん、それは月のローテーションね

M  月のローテーション出てるんだから、あの、仕事の都合とかそういう問題じゃあないでしょう。もうだから、Oさんをこうに入れればいいだけじゃないですか。その元来の普通の一重まるのところに。ダイヤを。それを忠実に出せばいいだけでしょ?寸前なんないとわかんないんですか?

MT  …

MI MIですけどいいですか、MTさん、ちょっと確認ですけど、だって1ヶ月分っていうのは、Fのところもあるし、ある程度前にならなければそこは全部一重まるだからってそこで入れられないですよね?

MT  その通りの日もありますね…

M  いや入ってますよね?

O  入ってる

M  カレンダーは

O  一重まるは…

M  じゃあ空欄にすればいいじゃない

清水  だからあの、Oさんについてはね、2、3名は、ね、できるだけ休みにしてくださいという希望をしているという話だけども、Oさんは全部入れてくれと希望しているんですよ、だから多少ね、現場の運行、管理上ね、あの、いろいろ、こうしないと埋まらないんだとかっていう問題が出るのは理解しますよ、だから、あの、しょうがないんだということで、その、まぁ休日の振替の問題とか、休日の振替の問題にしてもいまあれでしょ、月のおわりに有休にしますか、振替にしますかっていうね、そういうやり方やっているでしょ?これがおかしいんですよ、そもそも。ね。

MT  ちゃんとやるようにしてますよ

清水  だからそういうことじゃなくて。で有休はそんなあとでこれ有休にするとかっていうもんじゃないでしょ?本来。

MT  本人がね…

N弁護士  清水さんがおっしゃっているのは、本来の有休の時期指定権の話でしょ。本来の希望があるだろうと。労働者の方の。それの理屈というか、法律の建前がそうなっているでしょと、そのことをいっているんでしょ?

清水  はいはい。

N弁護士  それがあるべき姿でしょっていうことですよね?おっしゃっているのは

清水  だから法律の問題からして、実際に群バスの運用の仕方は、ちょっと、ね、あのファジーにやっているわけでしょ?だからその、まぁ一重まるのね、法定外の休日についてもちょっとその辺ね、ごっちゃにしながら、まぁいいように考えるという運用の仕方をしているわけですから、ね、とりあえず、それでね、それでしかやっていけないというのであれば、それでいいですよと、ただ以前のように、以前からね、給料が下がるようなやり方はやめてくれって申し入れは何回もしているわけですよ、それ一向にあらためてない。今後は以前と同じように、ね、法定外の休日については必ず入れるという対応をしてください。いいですか?

N弁護士  そういう強いご要望があったということでしょうね。

MT  まぁ検討いたします。

 

 

44 9月14日木曜日、O、法定外休日の勤務をはずされた。12回目。(甲53、82号証)

 

45 9月25日、被申立人9月度給与支給日。Oに対して、法定外休日の木曜日、8月17日、8月24日、8月31日、9月14日、の4回分、勤務が減らされた額、282,254円が支給された。(甲83号証)

 

 

  • 被申立人がOに対して、特別に法定外休日にダイヤを割り当てず、勤務をさせないという取扱いは、差別的不利益取扱いであり、労働組合法第7条第1号に違反するものであることについて

 

1  被申立人の主張について。

 

  • 申立人が「休日の振替について、本人の合意を取ること。振替日を必ず指定すること。」を要求したことに対して、被申立人は、2017年3月27日付「回答書」において、1-(5)として「当社の就業規則上、休日の振替につき従業員の同意を要しないとされているため、本件要求書(8)前段のご要求には応じられません。他方、振り替えるべき日の特定は行う所存です」と回答した。(甲18号証)
  • 6月14日付「回答書」にて被申立人は、「貴組合は、団体交渉において、休日勤務につきO氏らの同意を得ることを強く求められましたところ、当社は、O氏の同意が得られない限りはO氏に休日勤務を命じないという対応を貫いております。」と回答した。
  • 6月15日、申立人が要求書を提出、以下の点について回答を要求した。(甲68号証)「同『回答書』(※6月14日付)にある『団体交渉において、休日勤務につきO氏らの同意を得ることを強く求められました』とは、いつ、だれに、どのように求められたのか、明らかにされたい。」「『O氏の同意が得られない限りはO氏に休日勤務を命じないとの対応』はいつ、どの場で、だれが決定したのか、明らかにされたい。」
  • 6月30日付「回答書」にて、被申立人は「貴組合は、平成28年9月26日付け要求書(8)において、「Mの入社時に休日に関して『週休二日』、『休日出勤は任意』との説明を受けているが、これに関して会社の見解を示すこと」を要求されました。また、同年10月12日の団体交渉において、同要求事項に関し、概ね、O氏及びM氏が希望するときに休日勤務を行いたい旨のご要望が出されました。以上より、貴組合が休日勤務に関する本人の同意を求められたことは明らかです。」と回答した。
  • 被申立人は9月11日付「回答書」にて、以下の通り回答した。「平成28年10月12日に開催された団体交渉における平成28年9月26日付追加要求書(8)に関する討議の中で、M氏は概ね希望するときに休日勤務を行いたい旨のご発言を行われました。こうした流れの中、O氏のお考えを確認する発問がなされ、清水委員長よりO氏は休みたいものの食っていけなくなってしまうのは困る旨の発言がなされ、N弁護士弁護士より従業員としては休みの大事さと給料の大事さを考えて判断されるのでしょう旨の発言がなされました。上記やり取りより、当社は、O氏におかれてもM氏と同様のご要望をお持ちであると考えました。」(甲46号証)
  • これについて第3回団体交渉で、(清水)「『OさんにおいてもMさんと同じように、おおむね希望する時に休日勤務を行いたい旨の希望を持っていると判断されました。』全然違うじゃん。誰がそういう判断をしたわけですか?MIさんですか?」(MI)「いや、してませんよ」(清水)「誰が判断したんですか?」(MI)「そういうふうにみんなが受け取ったということじゃないですか?」(M)「みんなって誰ですか」(清水)「みんながってどういうことですか、それ」…(MI)「こっちもわかんないから」(甲47号証22頁32行目~)
  • 同団体交渉において代理人のI弁護士弁護士の発言。「すみません。I弁護士ですけども。私も団交の場にいさせていただいて、流れからすると私もそのように受け取りました。ただ、それが確かに誤解だというんであればそれは申し訳ないと思います。」(甲47号証23頁17行目~)
  • 同団体交渉でのMT営業所長の発言。「で、指定したことによって、ちゃんと指定をするということは、その場で休みのところの期日のキチッとしたところをふり替える中で、休みの申し出を休むという申し出があったんだというふうに私共はそこでそういうことができるんだなと、振り替えするんだなと、いうことの中で、ここにおられた方の何名かだと思いますけどね、その時に私は…茶化されながら、私は、はい、振り替えますよという話を私はしたつもりでありますので、そういったなかで、任意ではございますけど休めるときには休んでいただく、休めないときには仕事に出ていただきますよという、第2回の交渉の話の中での実行をさせていただいていると私は理解してますけど」(甲47号証24頁30行目~)
  • 同様に(清水)「全部入れてくれっていうことでいったでしょ?それからずっと…」(MT)「それはちょっと私の方は…、全部入れてくれといわれても、それはそういうわけにはいかない」(清水)「だからなんでなの?それは」(MT)「だから、だって、団体交渉でご要求になった問題じゃないんですか?」(甲47号証25頁23行目~)
  • 同団体交渉におけるやり取り。(MT)「別にO君が、団体交渉の流れの中で、週休2日で…」(N弁護士)「要望とかありましたよね」(MT)「要望があったことに関して、私の方はそういうことなんだろうということの中でそれを履行しているだけですよ」(甲47号証27頁4行目~)

 

2  被申立人は、O組合員に対して特別に週休2日を基本とする勤務体系に変更した。申立人の要求を一方的に歪曲して理解し、それを理由に不利益取扱いを行うという、悪質な不当労働行為である。

 

被申立人は、6月14日付「回答書」にて被申立人は、「貴組合は、団体交渉において、休日勤務につきO氏らの同意を得ることを強く求められましたところ、当社は、O氏の同意が得られない限りはO氏に休日勤務を命じないという対応を貫いております。」と回答した。(1②)

また第3回団体交渉にて「別にO君が、団体交渉の流れの中で、週休2日で…」(MT営業所長)「要望とかありましたよね」(N弁護士代理人)「要望があったことに関して、私の方はそういうことなんだろうということの中でそれを履行しているだけですよ」(MT営業所長)と言明した。(1⑧)

要するに、申立人の要求通りに、O組合員については週休2日を基本にした、要望があれば休日出勤をできるように努力している、というのが被申立人のOに対する処遇である。

 

しかしながら、申立人とO組合員は、O組合員に対して週休2日を履行しろ、法定外休日を休日にしろと要求したことは一度もない。

その点に関して第1回団体交渉の中で以下のやり取りがあった。(甲31号証35頁16行目~)

清水「とりあえず今回ね、要求書であの出しましたようにこれは任意であるということの確認はとれたので、まぁ今後どういうふうにしていくか、まぁ、それは現場的にもあの、まぁどういう形でやるのがいいか、ちょっとその辺はね」

MT「そういう希望であれば」

MI「いいよね、そういう希望だったら二日間休みあげるよね」

MT「できるだけ努力しますので」

MI「そうしましょうよ、二日間あげますよ」

清水「ちょっと待って。それはだから給料がどうなるかまだね、考えて…」…

N弁護士「ちょっと空転しているように思うんですよ。こういう理解でいいですか?Mさんに関しては会社の方としては休日出勤をお願いしない」

MI「うん。しない。」

AK「いや、そういうことをいってないですよ」

M「そういうことはいってませんよ」

 

(甲31号証26頁4行目~)

MI「いいよ、週休2日希望したからいいよ、するからいいよその通り」

清水「そんなことまだいってないよ」

SI「そういうのを生活破壊っていうんだよ」

清水「だからね」

MI「希望の通りですよ」

清水「希望じゃないよ」

 

(甲31号証26頁22行目~)

清水「いや、だから、ね、さっきからいってますけども、いったんそういうふうにいったけれども、それは最初にそういう説明をされてて、実態は違うということに対する不信感があるということで」

N弁護士「まぁ僕の表現でいえば勢いでおっしゃったのかなと、さっきいったじゃないですか」

清水「はいはい」

N弁護士「だからそれをそのまま聞く気はないですよ、こっちは」

清水「はいはい」…

清水「いやだからそれは、それがわかんないから、ね、あの残業代の問題も出してるわけですよ、だからおかしいということなんですよ、だからちょっと待ってください、それについてはね」

 

以上の通り、M組合員に関しては、2016年1月入社時に「週休2日」「休日出勤は任意」と説明されたこと、営農もしているのでもう少し休みがほしいということで、希望する時には休みがとれるように要求した事実はあるが、それについても要求としては猶予した。

さらにO組合員に関しては、一貫して、休みはほしいが収入が減っては困ると言い続けている。(清水「それがだけど休出がなくなると、残業代の部分が相当減るだろうから、そうすると、たとえばOさんなんか休みたいけども食っていけなくなっちゃうわけですよ。それは困るわけ。それは当然ですよ。ローンもあるし生活もあるわけだから」(甲31号証24頁8行目))

 

このように、そもそも「団体交渉において、休日勤務につきO氏らの同意を得ることを強く求められました」という被申立人が主張する事実がない。

 

さらに、O本人も申立人・清水委員長には何の相談もなく、最初に2017年4月27日に一方的に法定外休日のダイヤが外されて休みになったときに、Oからも申立人・清水委員長からも抗議をした。本人の希望は2017年4月25日以前と同じように、他の従業員と同様の扱い、すなわち法定外休日は出勤日として指定することであると言明し、抗議をしてきた。

 

にもかかわらず、被申立人はこうした抗議をあえて無視をし、見せしめのように、Oに対して週休2日を強制し、生活破壊を行った。

第3回団体交渉で、被申立人・I弁護士代理人が「流れからすると私もそのように受け取りました。ただ、それが確かに誤解だというんであればそれは申し訳ないと思います」と発言したが、被申立人にとっては申立人がくり返し抗議と申し入れ、要求書の提出を行っていたのであるから、誤解の余地は存在しないのである。

例えば2017年6月14日付被申立人「回答書」(甲67号証)においては「当社はO氏に対し差別的な不利益取扱いを行っている訳ではありませんので、ご要求には応じかねます」「団体交渉の開催には応じかねます」と団体交渉の拒否までして、一方的な勤務体系の変更を開きなおった。

 

C

被申立人榛名営業所において、O組合員以外のすべての従業員、また2017年4月25日以前のOに関して、法定外休日は原則出勤日と指定されている。

同営業所における配車の仕組みは、まず1ヶ月のローテーション表が作られる。その段階ですでに全員が法定外休日は出勤日として扱われている。そして直前の3日前に、このローテーション表を元に配車表が、配車受付に出される。

第3回団体交渉において、MT営業所長は、法定外休日を休日にしてほしいと希望している従業員が数名いると言明したが、そういう従業員に関しても、月のローテーション表には法定外休日も含めてダイヤが組まれ、基本的に配車表にもそれを前提にしたダイヤが組まれる。

O組合員に対しては、第2回団体交渉以降、それまでの団体交渉での経過も無視して、一方的に週休2日を適用するという処遇が行われるようになった。そのやり方は、月のローテーション表には法定外休日も含めてダイヤが組まれるが、配車表からは法定外休日に関してはダイヤを外すという、週休2日を明言することなく、実質的に週休2日制にするという差別的処遇であった。

 

 

一連の経過の中で、Oは、5ヶ月余りの間に12回の法定外休日の勤務を外された。このことによってOは、それ以前と比べて12日分の法定外休日出勤の賃金を減額され、その額は月平均2万円をこえると思われる。それは住宅ローンをかかえ、子供の養育にお金が必要なOにとっては、生活破壊というほどの不利益取扱いであった。

 

2017年9月14日を最後に現在まで、被申立人は、Oに対する法定外休日出勤はずしを行っていない。それは、第3回団体交渉と、本件群労委平成29年(不)第2号救済申立によって、被申立人が、一連の取扱いが不当労働行為であることが明らかであると判断したからに他ならない。

 

3  よって、被申立人がOに対して、一方的に週休二日制の処遇に変更し、法定外休日にダイヤを割り当てず、勤務をさせないという取扱いは、申立人組合に対する差別であり、明白な不利益取扱いであり、労働組合法第7条第1号に違反するものである。

 

 

第5 申立人組合員・Oに対する2017年(平成29年)6月23日付停職(7日)の「懲戒」は理由についても、処分の重さについても不当であり、申立人組合員であることを理由とする、差別的不利益取扱いであり、労働組合法第7条第1号に違反したものである

 

 

  • 具体的事実等

 

1  2017年6月9日、O、室田6:40発高崎行き101番系統の運行を、前日勤務終了後に107番と間違えて入力したために、本来里見経由のところを本郷経由のコースで間違えて運行した。北高崎駅付近で間違えに気づき、里見経由のバス停で待っている人に対応する必要を感じて、踏切で停止中に急いで自分の携帯電話で営業所に報告した。報告の途中で踏切が開き、通話しながら発車してしまった。被申立人は、当初運転中の携帯電話の使用という認識はしていなかったが、当該車両の当時のドライブレコーダーを再生して、運転しながらの電話の通話を確認したとして、Oから事情聴取を行った。

 

2  6月23日、被申立人、Oに対して6月9日のミスに関して「経路を誤り運行し、苦情を生じさせ、且つ携帯電話を使用した状態でバスを運転した」ことを理由に停職7日の懲戒処分を発令した。

 

3  被申立人は、Oに対して、6月26日、27日、28日、30日、7月2日、3日、4日を停職日として指定し、この7日間、Oは業務につけなかった。(6月29日は法定外休日、7月1日は法定休日で休日扱いとされた。)

 

4  2017年7月10日付で、申立人は、被申立人に対して、要求書を提出し、『O組合員に対する2017年6月23日付「懲戒」を撤回すること。同「懲戒」は、理由についても、処分の重さについても、当労働組合員に対する差別的不利益取扱いであるので、撤回されたい。』との要求を行った。

 

5  7月25日、被申立人7月度給与支給日。Oに対して、法定外休日の木曜日、6月29日の1回分、勤務が減らされた額、さらに停職7日分の勤務が減らされた額217,893円が支給された。

 

6  7月25日頃、7月19日に被申立人榛名営業所に群馬運輸支局の監査が入った件について、「先月の経路間違え、携帯電話使用により、群馬運輸支局の厳しい監査が入り、隅々までチェックされましたので、今後は、いろいろな指導を行わざるを得ませんので、皆様のご協力をお願いします」という「夏季の総点検の再確認」なるMT所長名の文書が榛名営業所運転士に回覧され、各々なつ印を求められた。

 

7  8月22日、申立人は7月10日付要求書に関して、「追加要求書」を被申立人に提出、『現在貴社の乗合バス部において、箕郷営業所のバスには無線交信システムが導入されているが、榛名営業所には無線交信システムが導入されていない。非常時対応として無線交信システムは不可欠であるので、榛名営業所にも導入されたい。またOが2017年6月9日の緊急時の運転中の携帯電話使用を理由に2017年6月23日付「懲戒」(停職)が適用されたが、無線交信システムが導入されていれば問題がおこらなかったと思われるが、貴社の見解を明らかにされたい。』『ドライブレコーダーの取扱について。現在貴社において運行する乗合バス・貸切バスに、運行状況、車内状況を録画するドライブレコーダーが設置されているが、これは運転手にとって常に監視されているに等しく、精神的なストレスを引き起こし、安全上問題である。少なくともドライブレコーダーでの運転状況の会社によるチェックは限定的なものであるべきである。よって運行管理者、会社管理職による録画動画の再生とチェックは本人の同意、組合の同意なしにはおこなわないようにすること。』などを要求した。

 

8  9月11日、申立人・被申立人の第3回団体交渉が開かれ、被申立人は「回答書」を文書で交付し、以下のことなどを回答した。『O氏に対する平成29年6月23日付懲戒処分は、当社の就業規則等に則り適正に行われたものであるため、貴組合のご要求には応じかねます。』『ドライブレコーダーは、交通事故に巻き込まれた場合、お客様からの苦情が出された場合やお客様とトラブルが生じた場合等において、事実確認等を行うために設置された当社の所有物であり、現状、録画データの確認にあたり従業員や組合の同意を得るという運用は考えておりません。』『榛名営業所の所管路線において無線交信を行えないエリアがあるため無線交信システムが不可欠であるとは言い難く、当社は無線通信システムの導入につき検討している状況にとどまります。また、非違行為の直接的な原因は、O氏が携帯電話による緊急連絡方法に関する当社の指示に従わなかったことであると考えています。』

 

9  第3回団体交渉の中で以下のようなやり取りが行われた。

 

(甲47号証7頁25行目~)

I弁護士  ちょっとだけあの、すみませんIですけども、議論を整理しますと、そもそもかつてこれまで路線間違えて、間違えの事例があるのかというとそれはあるかもしれないと

MT  はい

I弁護士  しかし今回はそれに比して度合いがひどいんじゃないかというのがご発言になるわけでしょうか

MT  そうですね。私の記憶するところはそんな感じです

 

(甲47号証8頁21行目~)

清水  質問を変えますけども、携帯のね、問題がなかったら、どのぐらいの懲戒になるんですか?この…

N弁護士  …ご判断してないんじゃないんですか

MT  そこまで…全体の総合的な判断で処分は出しているということだと思いますけど。全体の中で事実関係を会社もやりますのでその中で総合的に判断している…

 

(甲47号証9頁18行目~)

MT  私も日付的にはわからないですけども、貸切でありましたよ

清水  貸切で

MI …

MT  僕が知っているのは貸切でありました。まあ今みたいなあれじゃないですけども、いわゆるメールです、携帯電話持って通話というよりその時はメールやっていたんじゃないかな

清水  運転中

MT  ちょっと今あれですけど。そういう事実はありましたよね

清水  それは停職になった

MT  処分です、したと思うんですよ

清水  それはあれですか、発覚のきっかけは何だったんですか

MT  うーん、それは、貸切バスなので、てい団運行していたので、まぁ前の車両からの、まぁなんと言うんでしょうか、意見というか、苦情というか、それでわかったという

清水  乗合の件についてはどういうきっかけだかわかりますか

MT  乗合の方はちょっと私記憶がないのでわからない

清水  榛名の営業所ではない?

MT  私は榛名の営業所まだ3年ちょっとぐらいなんで、ちょっとよくわからない

清水  その間にはないと

MT  はないですね

 

(甲47号証10頁6行目~)

N弁護士  Nです。会社への質問もかねてですが、今回携帯電話の使用の際は、これは踏切の近くでしたっけ?

MI 踏切でしたね

N弁護士  そして、事実確認ですが、それは運行中ですか

MI 運行中ですね

N弁護士  運行中と私が聞いている意味は例えば端によせて停止しハザードランプ等をして

MI いや、そうじゃなくてですね、あぁMIですけど、すみませんね、えーとりあえず、あのー踏切で止まっているときに電話をし出して、それで踏切が開いたので、電話をしながら移動してしまったということだと思いましたよ

 

(甲47号証16頁25行目~)

N弁護士  ご本人から教えてください、よろしければ。この場合の緊急事態というのはどういう緊急事態ですか

O  まぁ経路間違いで、あの、本来行く方の待っている方に、まあ行けなかったことに対して、まだ待っていると思って、あのいち早く、あの報告を入れようと思いまして

 

(甲47号証18頁7行目~)

清水  ただね、気づいて、パニックになっててね、一刻も早く連絡しなくちゃいけないということで、踏切で止まってね、まぁちょっとこのすきにっていうことで、そういう心情は理解できるでしょ?

MT  それはね

N弁護士  質問していいですか、N弁護士です、その時乗客は乗ってらっしゃいましたか?

N弁護士  1人?その、確かにあわてますよね、パニックかどうかはともかくね、自分が道を間違えてしまった、これはたいへんだって。そのことだけは私も理解できます。ただお客様が乗っている中で選ぶべき行動として踏切を横断中携帯をしているっていうのはいかがなものかというのが群バスの考えなんかなというのは私の想像です。あってるかどうかわかりませんけどね。まぁ連絡を営業所の方にされてるということ自体を、うーん、非難しているわけではないんだと思います。まずお客様がひとりでもいるんであれば、運転中、ましてや踏切を横断中というのは、これは控えるべきでしょうというのが群バスの考えかなと思うんですけどね

清水  わかりますよ。だから処分としては重すぎるでしょっていっているわけ。それだったら、ね、気持ちはわかるけども、200メートルも走れば停留所もあるわけだし、そこでやりなさいよと、ね、処分出すけども、今後気をつけなさいよで済むわけですよ。7日間の停職処分でしょ?これを問題にしているわけですよ

 

 

  • 処分の理由について

 

1  被申立人の処分の理由は「経路を誤り運行し、苦情を生じさせ、且つ携帯電話を使用した状態でバスを運転した」というものであるが、被申立人は「経路を誤り運行し」たということを理由に、ことさら懲戒処分を発令したことはない。

 

被申立人は、第3回団体交渉の中で「そもそもかつてこれまで路線間違えて、間違えの事例があるのかというとそれはあるかもしれない」「しかし今回はそれに比して度合いがひどいんじゃないか」(甲47号証7頁25行目~)と証言した。

また「携帯のね、問題がなかったら、どのぐらいの懲戒になるんですか?」との申立人・清水委員長の問いに対して「判断してないんじゃないんですか」(N弁護士代理人)、「総合的に判断している」(MT営業所長)(甲47号証8頁21行目~)と答えた。

 

路線のコースの間違いは、被申立人においては、過去何度もあった。申立人組合員・Mは2016年入社して2017年3月までに2回やっているし、他のドライバーも何回かやっていることが確認されている。(甲86、87号証)しかしそれらで懲戒処分を受けた事例は存在しない。

 

本件のミスがなぜ他の経路・コース間違いと違うかというと、他の間違いは「室田中学校というのがあるんですが、その辺でたいがいみなさん気づいてお戻りになってくるんですよ、そうするとたとえ10分くらい遅れるかもしれませんけれども、また元に戻ってやり直してもらうというような形にはなる」(甲47号証7頁15行目~)というところ、本件のミスは車両が新しく、次の系統の入力を前日業務終了後に行うタイプであって、その前日の系統の入力・セッティングを間違えてしまったがために、間違いに気づかないまま北高崎駅付近まで行ってしまった、というものであった。O本人のミスの程度がひどいというよりもシステム上の問題で間違いに気づくのが遅れたにすぎない。(甲86号証)

 

2  「苦情を生じさせ」については、事実か否か、申立人は承知していない。

 

3  「携帯電話を使用した状態でバスを運転した」という理由について

 

A 本件に関する情状酌量の余地について

 

  • 申立人組合員・Oの本件ミスは経路・コース間違いに気づき、一刻も早く、会社に待っている乗客の対応をしてもらおうと思ったが故の、業務上の緊急連絡としての携帯電話の使用である。その点については第3回団体交渉の中で申立人・清水委員長に「そういう心情は理解できるでしょ?」と聞かれて「それはね」と被申立人・MT営業所長も答えた。(甲47号証18頁7行目~)
  • Oはパニック状態になる中で、北高崎駅前で踏切待ちでバスが停止したタイミングを見計らって、携帯電話にて緊急の連絡を入れた。報告が長引いて、踏切が開いてしまい、そのままバスを発進させてしまった。走行しながら携帯電話をかけたわけではない。

 

B 国土交通省・日本バス協会の指導について

 

  • 今回の処分に関して被申立人は以下の通り、第3回団体交渉の中で行政や日本バス協会の通達を理由としてあげている。

「まことに申し訳ないけどね…去年の11月の部分で貸切…のなかでですね、…、そういった形の中で通達が出ているわけでございまして」(甲47号証8頁14行目~)

「アルコールを飲んで運転すること、あと携帯電話っていうのに関して、この二つに関してはすごくうるさいわけですね、そういう中においてとくに携帯電話をしながら運転したっていうことにおいていろいろテレビでもさわがれているわけですよ、そういう中において、携帯電話に関してもいろいろと注意するようにということでいろいろと文書等も行政官庁からも来ていますのでね。そういう中においてうちでも電話携帯の使用についてということでちゃんとこういうようなやつをやっているわけですよ。その関係からして、通達でもし緊急の場合については、うちの営業所に関しては無線が使えないという状況がありますので、11月の段階でそれに関する通達の方でこういうふうに緊急の時にもお客様にきちっとしてやるという方式をえーみなさんにね確認しているところでございますので」(甲47号証18頁26行目~)

 

  • 被申立人が前項①で指摘した、国土交通省自動車局安全政策課長が公益社団法人日本バス協会会長に対して平成28年(2016年)11月7日付で出した通達(以下「国交省通達」という)は以下の通り(甲95号証)

「乗務中の携帯電話・スマートフォンの使用禁止の徹底について」

「事業用自動車の安全確保の徹底については、機会あるごとに注意喚起しているところであるが、今般、大阪府門真市において、貸切バスの運転者が運転中にスマートフォンを用いてゲームアプリを操作するという事案が発生した。

本件については幸い事故に至らなかったものの、先月26日には愛知県一宮市において運転者がスマートフォンでゲームアプリを操作しながら走行していた自家用トラックに小学生がはねられ死亡するという事故が発生している。いうまでもなく、運転中にスマートフォン等の画像を注視する行為や携帯電話を用いて通話する行為は、道路交通法で禁止されている極めて危険な行為であり、本年1月に発生した軽井沢スキーバス事故を受け、貸切バスの信頼を回復するための様々な取り組みを行っている最中に、事業用自動車の運転者が、このような安全を軽視する行為を行ったことは極めて遺憾であると言わざるを得ない。

ついては、貴会会員に対し、乗務中の携帯電話による通話やスマートフォンの操作の禁止について改めて徹底するとともに、貴会においても、同種事案の再発防止のための有効な対策を速やかに検討し報告するよう要請する。」

 

  • 被申立人が前々項①で指摘した、前項②の通達を受けて「公益社団法人日本バス協会 参与」が「各地方バス協会専務理事」に対して出した通達(以下「日本バス協会通達」という)は以下の通り(甲96号証)

「乗務中における携帯電話・スマートフォンの使用に関する社内規定策定のガイドラインについて」

乗務中の携帯電話・スマートフォンの使用は、重大事故を引き起こすおそれが高いため道路交通法においても使用が禁止され、罰則も課せられています。

しかしながら、昨年末以来、運転中の携帯電話・スマートフォンの使用事案が相次いで発生しており、国土交通省から同種事案の再発防止対策を講じるよう要請されているところです。

つきましては、会員事業者に対し、道路交通法等の法令遵守及び安全運転に関する啓発と指導教育を強化するとともに、下記を参考にした社内規程を策定し、同種事案の再発防止に努めるようご指導をお願いします。

「乗務中の携帯電話・スマートフォンの取扱いに関する社内規程のガイドライン」

1.社内規程の整備

乗務中の携帯電話・スマートフォン(ハンズフリー機能のあるものを除く。以下「携帯電話等」という。)の取扱要領等関する社内規程(以下「規程」という。)を整備する。

2.規程に盛り込むべき事項

(1)乗務中の携帯電話等の使用禁止

①運転者は、運転中に携帯電話等を使用(操作・使用し、又はその画面を注視することをいう。)してはならない。

②乗務員(運転者を含む。)は、乗務中に携帯電話等を私的な目的で使用してはならない。

(2)携帯電話等の保管

携帯電話等は、乗務中は携帯電話の保管場所(専用ケース、グローブボックスや運転席背面等の運転席から容易に手が届かない位置に設置)に保管すること。

(3)携帯電話等の使用方法

運転者は、業務目的のため携帯電話を使用するときは、休憩地点や待機場所等の安全な場所に停車してから連絡を行うこと。

(4)営業所等からの連絡及び対応要領

営業所等から運転者に連絡を行う場合には、メールや留守番電話サービスを活用することとし、休憩地点や待機場所等の安全な場所に停車させた後に連絡をさせること。

3.規程を遵守させるための措置

(1)点呼時における運行管理者の指導等

運行管理者は、点呼時に以下のことを実施すること。

①携帯電話等の電源がオフ又はマナーモードになっていることを確認すること。

②定期的に、乗務中の携帯電話等の使用禁止規程の遵守を指示するとともに、違反した場合には社内罰則規定等に基づき処分が行われることを通告すること。

③必要に応じて、乗務中に携帯電話等を使用しないことを運転者に宣言させること。

(2)乗務員相互の確認

運転者以外の乗務員が乗務する場合は、運転席への携帯電話等の持ち込みがないことを相互に確認すること。

4.規程の遵守状況の確認

(1)ドライブレコーダーの活用

ドライブレコーダーを用いて乗務中の携帯電話等の使用の有無を定期的に確認するよう努めること。また、乗客等から苦情等があった場合には、事実関係を確認すること。

(2)巡回指導等

不定期に巡回指導を実施し、乗務中の携帯電話等の使用の有無を確認するよう努めること。

5.業務用携帯電話の貸与

運転者との連絡用に通話機能専用の業務用携帯電話等を貸与するよう努めること。

 

  •  以上のように、第一に、国土交通省や日本バス協会は、運転中のゲームやメールなどの危険な携帯電話の運転中の使用に対して、厳しく事業者としての監督・指導責任を問題として、対策を立てるように通達したものである。

第二に、日本バス協会通達は、乗務中における携帯電話・スマートフォンの使用に関する社内規定策定をうながすものであり、そのガイドラインを示したものである。

第三に、日本バス協会通達は「定期的に、乗務中の携帯電話等の使用禁止規程の遵守を指示するとともに、違反した場合には社内罰則規定等に基づき処分が行われることを通告すること」としているのであって、厳格な処分を即座に実施することを通達したものではない。

 

  •  被申立人は日本バス協会通達に対して誠実な対応をしていない

第一に、乗務中における携帯電話・スマートフォンの使用に関する社内規定策定を行っていない。

第二に、運転者との連絡用に通話機能専用の業務用携帯電話等を貸与することも、ハンズフリーシステムの導入も検討せず、箕郷営業所所属のバスには設置されている無線交信システムを榛名営業所に設置することも検討していなかった。

 

  • よって国土交通省や日本バス協会の通達や指導がOの処分の理由とはなりえない。

 

 

被申立人は、日常的に、非常時連絡用として、従業員各人の携帯電話の使用を前提に業務連絡を行っている。このような実態を被申立人は認識しているにもかかわらず何ら抜本的な対策を講じていない。

 

  • 申立人組合員・Mの以下の報告の通り、被申立人は運転手に携帯電話を常に使える状態にしておくように指導していた。

・「2016年3月に一人立ちし初めの頃、バスに電話は持ち込まず、俺は携帯電話をマイカーに置いといて、運行管理の渡辺が電話をして通じなかったため、マイカーに置いとかないで常に持っていてと言われ そんな権限があるのか?MTと話すよとやりあった事があります」(甲94号証)

・「運転中の携帯電話使用で懲戒処分になるなら 営業所からドライバーに電話をするのはおかしくないですか?」(甲88号証)

・「俺は何度もありますよ 終点まで行って着信になってるのに気がついたのですが かけ直さないで怒られましたが」(甲89号証)

・「俺は運転中に榛名営業所からの電話にでた事あります」(甲91号証)

・「冬の榛名湖線は雪の影響などもあり 例えば榛名神社以降が運休が解除になったりすると運転中にも関わらず電話してきます Oさんにも掛かってくるはずです」(甲90号証)

・「2017年1月に、室田にてチェーン脱着後、斉渡上宿にて折り返しって連絡を家畜市場前ってバス停から上並榎ってバス停間を走行中で信号待ちで受け、話が終わらないまま青になり走行しました」(甲92号証)、「雪のため走行困難で斉渡以降は運休になったからです」(甲93号証)

 

小括。

被申立人は、本件懲戒処分の理由として、「携帯電話を使用した状態でバスを運転した」ことを重要視しているが、ミスを報告する緊急時の業務連絡に使用したのであり、また踏切停止中を見計らって電話をかけたところ、やむをえず発進してしまったものであり、何ら故意や悪質性は認められない。被申立人が、懲戒の理由としてあげる国土交通省や日本バス協会の指導は、主に運転中のゲームやメール、SNSなどで事故が頻発している社会情勢に鑑みて、事業者がそれを抑止する対策を立てることを求めるものであるにも関わらず、被申立人は非常時の連絡体制として箕郷営業所では導入している無線交信システムの導入など真っ先に具体的に検討しなければいけないことをしていない。また過去の被申立人による運転中の電話使用に関わる懲戒処分は、運転中のメールであり、しかも客から通報を受けるなど悪質なものであることなどと比較しても、本件の懲戒の特異性は明らかである。

 

 

  • 処分の重さについて

 

本件懲戒にあたって、「携帯電話を使用した状態でバスを運転した」ことが重視される中での「総合的判断」であることは第3回団体交渉の以下のやり取りから明らかである。(甲47号証8頁21行目~)

 

清水  携帯のね、問題がなかったら、どのぐらいの懲戒になるんですか?この…

N弁護士  …ご判断してないんじゃないんですか

MT  そこまで…全体の総合的な判断で処分は出しているということだと思いますけど。全体の中で事実関係を会社もやりますのでその中で総合的に判断している…

 

系統・コース間違いの事例は、バスが新型だったために北高崎まで行ってしまった初めてのケースである(これまではアナウンスと停留所が違うことから間違いにすぐに気づき修正できた)ことから比較ができないが、これまでに系統・コース間違いで処分された例は存在しない。

同様に、被申立人では緊急の業務上の連絡は、携帯電話の使用は禁止という扱いではなく、むしろ個人の携帯電話の使用が基本となっているのであり、安全な場所に停止してから電話をかけるというものであり、本件ではそれが踏切停止中で、動き出してしまったという事例であって、本来は停職に該当する事案ではない。

また被申立人において、「携帯電話を使用した状態でバスを運転した」ことに対する処分の基準は定められていなかったというべきである。

よって、本件停職7日という懲戒処分は、不当に重い処分である。

 

  • 差別的不利益取扱いであることについて

 

被申立人において、本件の懲戒処分にあたって、「携帯電話を使用した状態でバスを運転した」ことに対する、過去の懲戒処分の履歴を比較・検討した形跡がない。また申立人が2017年7月10日付要求書で「O組合員に対する2017年6月23日付「懲戒」を撤回すること。同「懲戒」は、理由についても、処分の重さについても、当労働組合員に対する差別的不利益取扱いであるので、撤回されたい。」との要求を出し(甲44号証)ているにも関わらず、第3回団体交渉でも責任ある回答を誰もしなかった。(甲47号証8頁35行目~)

 

清水  携帯電話で処分を受けた人というのは7日の停職を受けたということですか

MI 7日よりたぶん、今わかんないですけど、7日よりも上だったような気がしましたけどね

清水  それはいつ頃ですか

MI ちょっと日にちはわかりません

清水  だいたい

MI だいたい?何年か…

?   明確に答えられない…

N弁護士  N弁護士です、N弁護士です、MIさん、あのご質問に対して誠実に答えられていいと思いますが、わからないものはわからないですね、でおそらくといってしまって後でもちろん訂正も可能でしょうけど、現時点ではわからないのであればわからない、これが正確な回答だと思います。ご判断にまかせますが。

MI はい…日にちに関してはちょっと資料がないんでわかりません

清水  だいたい何年前とかっていう

MI ちょっとわからないですね

清水  それはどの営業所の運転手ですか

MI たしか、私、2人いたと思ったんだけど、ちょっと申し訳ないけどどこの営業所だったか、ええ…

清水  MTさんわかりますか

MT  私も日付的にはわからないですけども、貸切でありましたよ

清水  貸切で

MI …

MT  僕が知っているのは貸切でありました。まあ今みたいなあれじゃないですけども、いわゆるメールです、携帯電話持って通話というよりその時はメールやっていたんじゃないかな

清水  運転中

MT  ちょっと今あれですけど。そういう事実はありましたよね

清水  それは停職になった

MT  処分です、したと思うんですよ

 

また被申立人が処分の理由としてあげる日本バス協会通達は、乗務中における携帯電話・スマートフォンの使用に関する社内規定策定をうながすものであり、そのガイドラインを示したものである。であるにもかかわらず被申立人はなんら乗務中における携帯電話・スマートフォンの使用に関する社内規定策定を行っていなかった。さらに日本バス協会通達は「定期的に、乗務中の携帯電話等の使用禁止規程の遵守を指示するとともに、違反した場合には社内罰則規定等に基づき処分が行われることを通告すること」としているが、これさえも被申立人は行っていない。

つまり被申立人において、「携帯電話を使用した状態でバスを運転した」ことに対する処分の基準は定められていなかったというべきである。

であるにもかかわらず、先に指摘したように、被申立人は過去の「携帯電話を使用した状態でバスを運転した」ことに対する処分の事例と比較検討することもなく、Oに対して処分を下した。

 

また、この過程は、2016年夏の申立人組合分会結成以降、度重なる申立人と被申立人の争いの中で起こっており、一連の不当労働行為の流れの中で起こっているのであって、単独に判断できるものではない。

この時期のインターネット書き込みサイト「爆サイ」「群馬バス」スレッドでは以下の通り、本件事案が起こると同時にOと申立人組合員に対する誹謗中傷と非難・悪口がくり返された。(甲97号証)とりわけ翌日の6月10日には「その後が悪い!ドラレコ見れば解るよ」と会社ぐるみでこれらの投稿が行われていることを示す投稿が行われている。これらは被申立人による不当労働行為意思の表れである。

 

  • #604 2017/06/09 09:06

先日、前分会長を見掛けましたが、顔がイキイキしてました?やっと自分に合った職場が見つかったのかな⁉

やっぱり、人には、向き不向き、合う合わないがあるから彼は賢いな❕それに比べると他の人たちは、—!

皆さんも、くだらない事してないで、家族の為にも早く新しい人生探して下さい❕[匿名さん]

 

  • #605 2017/06/09 12:18

またやらかしましたね。[匿名さん]

 

  • #608 2017/06/09 17:02

どしよ?道間違えちゃた[匿名さん]

 

  • #610 2017/06/09 19:07

いつも勝ち気満々の副分会長さんの コメントすら ないですね[匿名さん]

 

  • #611 2017/06/09 20:12

今日の失敗は痛い![匿名さん]

 

  • #612 2017/06/09 22:54

庇いきれないな(笑)[匿名さん]

 

  • #613 2017/06/10 05:21

道路交通法第71条五の五[匿名さん]

 

  • #618 2017/06/10 15:45

>>615

とても反省しているとは思えませんが…[匿名さん]

 

  • #619 2017/06/10 17:48

反正しまくりでしょ[匿名さん]

 

  • #620 2017/06/10 18:09

迷惑な人です![匿名さん]

 

  • #621 2017/06/10 18:30

路線間違えても普通修正できないほど走らないで気付きますよね?[匿名さん]

 

  • #622 2017/06/10 18:57

その後が悪い!ドラレコ見れば解るよ‼[匿名さん]

 

また、本件懲戒によって、被申立人は、Oに対して、6月26日、27日、28日、30日、7月2日、3日、4日を停職日として指定し、この7日間、Oは業務をつけなかった(6月29日は法定外休日、7月1日は法定休日で休日扱いとされた。)。7月25日、被申立人は、Oに対して、停職7日分の勤務が減らされた額を7月度給与として支給した。その額は総額で217,893円、手取りでは138,150円であり、Oは大幅な減額で生活に困り、申立人組合に借金を申し出るほど(甲85号証)であった。これは明らかな不利益取扱いである。

 

よって、申立人組合員・Oに対する2017年(平成29年)6月23日付停職(7日)の「懲戒」は理由についても、処分の重さについても不当であり、申立人組合員であることを理由とする、差別的不利益取扱いであり、労働組合法第7条第1号に違反したものである。

 

 

第6 被申立人が、就業規則(賃金支給規程含む)、三六協定(別添協定書含む)、ダイヤグラム及びそれぞれのダイヤグラムのハンドル時間・中休時間を記した書類、「中休時間における賃金の取扱いに関する事項」及び「正社員化に伴う労働条件に関する事項」の群馬バス労働組合との労使協定の写しを申立人組合に交付しないことは組合差別であり、不当介入・支配に該当する

 

  • 具体的事実等

 

1  申立人、2016年8月31日付で、被申立人に対して「要求書」を提出して、M、Oが申立人組合に加入したことを通知すると同時に、(1)として「就業規則、三六協定を開示すること」を要求した。

 

2  申立人、2016年9月26日付で、被申立人に対して「追加要求書」を提出して、(1)として「現在有効な「賃金支給規程」、及び三六協定に関する「別添協定書」の写しを当組合に交付すること」を要求した。

 

3  2016年10月12日、申立人と被申立人の間で第一回団体交渉が開催された。被申立人は「回答書」を申立人に交付して、以下の通り回答した。

【(1)「(1)就業規則、三六協定を開示すること」について】株式会社群馬バス(以下「当社」といいます。)は、当社従業員がいつでも閲覧できるようこれらを掲示し、周知を図っています。したがって、貴組合にこれらを開示する必要性はなく、その意思もありません。

【(1)現在有効な「賃金支給規程」、及び三六協定に関する「別添協定書」の写しを当組合に交付すること。』について】当社は、当社従業員がいつでも閲覧できるようこれらを掲示し、周知を図っています。したがって、貴組合にこれらを開示する必要性はなく、その意思もありません。

 

4  2016年10月12日、第1回団体交渉の中で、被申立人・MI代表取締役(専務)は、群馬バス労働組合に写しを交付していることから、就業規則、36協定、賃金規程、36協定の別添協定書の写しに関して申立人にも交付することを約束した。

その時のやり取りは以下の通り。(甲31号証20頁8行目~)

 

清水  いや新たに出されたんじゃないよ、最初から出しているよ、何でねそんなもん検討しないで来ているんですか?ね、差別…ね、群馬バス労働組合に出しているもん出してくださいと、それはね、いえないと、なにがあるかもいわない、ね、具体的にね、具体的な問題で、出してくれと、だから具体的な問題で出しているんじゃないですか、賃金規程ね、群馬バス労働組合に出しているのか、出しているっていったでしょ、そうしたらね。、いっしょに、おんなじように扱えっていっているだけですよ、当たり前でしょ

組合員 ワーワー

清水  だからさ、そんなインチキな対応しないでくださいっていっているの

N弁護士  なにがインチキですか

清水  群馬バス労働組合にも出しているんだから、じゃあこちらにも出しますよといえばすむ話でしょ?それをしないというんだったら、それは組合に対する差別扱いだよといっているんですよ。差別扱いするんですね?

MI いや

清水  じゃあ出しなさいよ

SI  出しなさいよ。なんではいって言えないの?社長連れてきなよ。専務じゃダメみたいね。社長連れてきなよ次は。話にならねぇから。

MI (出させていただきます)

清水  はい

SI  最初からそういえばいいんだ。時間かせぎだ、それは

清水  同じ理由でですね、えーっと、別添協定書と36協定も当組合に交付をしてください

MI どれですか

清水  36協定と別添協定書。よろしいですか?

MI 36協定ですよね?じゃあ出します。

清水  はい。協定書もね?別添の

MI …

 

 

5    被申立人、2016年11月30日付で、申立人に対して「回答書」を交付して、以下の通り、就業規則(賃金支給規程含む)及び三六協定、ダイヤグラムの開示を拒否するなどの回答をした。(甲25号証)

(1)【就業規則(賃金支給規程含む)及び三六協定を開示することについて】就業規則(賃金支給規程含む)及び三六協定には、上記団体交渉(※第1回団体交渉のこと)においてお渡しした「労働時間の考え方」という書面と同様、競合他社に渡すことのできない機密情報が含まれています。同書面は、当社が貴組合に対し開示すべき義務を負わないにもかかわらず貴組合を信頼して団体交渉における便宜を図って交付したものであったところ、貴組合は、上記団体交渉の後、当社の許可を得ずに貴組合のウェブページ上に同書面を掲載して競合他社にとって閲覧可能な状況を作出しました。当社は、貴組合によるかかる取扱いにつき遺憾の意を表するものです。したがって、機密情報の取扱いに関して貴組合と信頼関係を維持することはできず、「労働時間の考え方」よりも秘匿性の高い機密情報が含まれる就業規則(賃金支払規程含む)及び三六協定を貴組合に対し開示することはできません。もっとも、就業規則(賃金支給規程含む)は当社において閲覧可能な状態にして周知しておりますので、M氏及びO氏がこれらを閲覧することは可能です。

(2)【各路線のダイヤグラムを開示することについて】当社は貴組合に対し同ダイヤグラムを開示する義務を負わないことに加え、同ダイヤグラムは部外秘の記載のあるとおり機密情報を含む社内資料ですから、貴組合に対し同ダイヤグラムの開示はいたしません。なお、上記団体交渉時においてM氏が当社の許可も得ずに機密性の高いダイヤグラム写しを所持していたことは当社及び貴組合間の信頼関係を損なうものであり、当社としては甚だ遺憾である旨表明いたします。

 

6  申立人は、2017年2月1日付で、被申立人に対して「要求書」を提出した。その中で、冒頭、被申立人が第1回団体交渉の場で約束した、申立人への賃金支給規程・36協定書の交付を、2016年11月30日付「回答書」であらためて拒否したことに抗議すると同時に、次の要求をした。

(5)「中休時間」のうち時間外にあたる部分を二分の一に計算する根拠となっている「中休時間における賃金の取扱いに関する事項」に関する群馬バス労働組合との労使協定について、当組合に開示、写しを交付すること。

(6)現在のOの労働条件に関して、2015年に群馬バス労働組合と合意された労使協定「正社員化に伴う労働条件に関する事項」について、当組合に開示、写しを交付すること。

(7)最近2カ年のM・O二名の「乗務員乗務報告書」の写しを当組合に交付すること

 

7  2017年3月27日、申立人と被申立人との第2回団体交渉が開かれた。被申立人は同日付「回答書」を文書にて申立人に交付して、その中で「当社は、貴組合に対し、群馬バス労働組合との交渉結果そのものともいうべき協定を開示することはできませんので、本件要求書(5)及び(6)のご要求には応じられません」「「乗務員乗務報告書」は社内文書であり、当社は貴組合に対し同文書を開示すべき義務を負わないので、本件要求書(7)のご要求には応じられません」と回答した。

 

8  2017年8月22日付追加要求書(甲45号証)で、申立人は、被申立人に対して「(1)2016年4月1日から一年間のTとの雇用契約書の写しを当人および当組合に交付すること。」「(3)過去3年間の当労働組合組合員、O、T、Mの3名の給与明細ないしは賃金台帳の写しを当人および当組合に交付されたい。」と要求した。

 

9  被申立人は、8の事項について、平成29年(2017年)9月11日付回答書(甲46号証)にて、以下の通り回答した。

「(1)について

平成28年4月1日から1年間を有効期間とするT氏及び当社間の雇用契約書につき、当社は貴組合に対し交付すべき義務を負っていません。また、T氏は同契約書原本を保管されているはずです。したがって、貴組合のご要求には応じかねます。」

「(3)について

給与明細につき、当社は貴組合に交付すべき義務を負っておりません。また、当社は、既に、O氏、T氏及びM氏に給与明細を交付しております。したがって、貴組合のご要求には応じかねます。」

 

 

  • 被申立人は誠実団交応諾義務を履行していない

 

1  そもそも労働組合法において、使用者は、単に団体交渉に応じるのみならず、誠実に交渉をなす義務を負うとされ、これに反した場合は不当労働行為となる。具体的には組合の要求・主張に対し回答や反論をなし、これによって組合との合意達成の可能性を模索することである。また、必要な資料の提示を求められた場合は、合理的理由がない限りこれを提示しなければならないとされる。

 

2  しかしながら、被申立人は、(1)の経過で見たように、申立人が必要な資料の提示を求めても、申立人に開示する「必要性がない」「義務がない」「意志がない」と要求を拒み続けている。

 

3  就業規則(賃金支給規程含む)、三六協定(別添協定書含む)については、被申立人は、第1回団体交渉の中で申立人への写しの交付について明言しながらも、「機密情報」が含まれていること、団体交渉で被申立人が提出した「労働時間の考え方」という資料を申立人がホームページ上で公開したことを理由として、約束を反故にして、交付を拒否した。しかしながら、被申立人が申立人が交付した「労働時間の考え方」という資料は、あくまでも「考え方」であって、「競合他社に渡すことができない機密情報」などではない。このような給与計算の基本的考え方でさえ「機密情報」だと主張する姿勢そのものが、問題である。また申立人と被申立人の間で、この資料を公開しないという約束は存在せず、一方的に「機密情報の取扱いに関して貴組合と信頼関係を維持することはでき」ないと(甲25号証2頁6行目~)決めつけた。信頼関係を云々するのであれば、気がついた時点で申立人に対して、それは困るという申し出をするべきであろう。

 

4  申立人が写しを交付するように要求した、就業規則(賃金支給規程含む)、三六協定(別添協定書含む)、ダイヤグラム及びそれぞれのダイヤグラムのハンドル時間・中休時間を記した書類、「中休時間における賃金の取扱いに関する事項」及び「正社員化に伴う労働条件に関する事項」の群馬バス労働組合との労使協定は、群馬バス労働組合には交付しているものである。就業規則(賃金支給規程含む)、三六協定(別添協定書含む)、ダイヤグラム及びそれぞれのダイヤグラムのハンドル時間・中休時間を記した書類については、群馬バス労働組合には写しを交付していることが明らかになっている。「中休時間における賃金の取扱いに関する事項」及び「正社員化に伴う労働条件に関する事項」の群馬バス労働組合との労使協定は、群馬バス労働組合との労使協定であるが、それぞれ、被申立人従業員すべてに適用されているので、申立人組合員の労働条件も規定するものとなっている。

 

5   同一企業内に複数の労働組合が併存する場合には、各組合は、それぞれ独自の存在意義を認められ、固有の団体交渉権及び労働協約締結権を保障されている。使用者は、労使関係のすべての場面で、中立的態度を保持し、その団結権を平等に承認、尊重しなければならず、組合の性格、傾向や従来の運動路線の違いによって差別的な取扱いをしてはならないとされる(日産自動車救済命令取消事件・最三小判昭和60年4月23日)。

ところが、被申立人は、群馬バス労働組合に写しを交付している就業規則(賃金支給規程含む)、三六協定(別添協定書含む)、ダイヤグラム及びそれぞれのダイヤグラムのハンドル時間・中休時間を記した書類を不当に申立人組合には交付せず、また、申立人組合員の労働条件を規定している「中休時間における賃金の取扱いに関する事項」及び「正社員化に伴う労働条件に関する事項」の群馬バス労働組合との労使協定の写しを交付しない対応を続けている。

 

6  よって、被申立人が、就業規則(賃金支給規程含む)、三六協定(別添協定書含む)、ダイヤグラム及びそれぞれのダイヤグラムのハンドル時間・中休時間を記した書類、「中休時間における賃金の取扱いに関する事項」及び「正社員化に伴う労働条件に関する事項」の群馬バス労働組合との労使協定の写しを申立人組合に交付しないことは組合差別であり、不当介入・支配に該当するものである。

 

 

 

以上

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